前立腺肥大について

前立腺肥大症とは

前立腺肥大

前立腺肥大症は、男性特有の病気で、高齢の男性がかかりやすいです。50歳を過ぎてからが増え始め、80歳までには80%の割合で前立腺肥大症であるとも言われております。

前立腺は、膀胱のしたにあるのですが、内部に尿道が走っています。
前立腺が大きくなってしまうことで、尿道を圧迫し、排尿障害を起こします。

前立腺肥大症は、歳をとるにつれて誰でもかかる可能性がある病気で、老化現象の1種という見方もあります。

前立腺肥大症の症状について

前立腺肥大症の原因

前立腺肥大症の原因については、はっきりとわかっていません。しかし、男性ホルモンの影響を受けているということは確実と言われております。加齢により、男性ホルモンの分泌が減り、その影響でホルモンバランスが崩れ、前立腺が肥大すると考えられております。また高血圧、高血糖、肥満も原因になりうると言われております。しかし若いときに去勢をした人や、何らかの原因で精巣がない人は前立腺肥大症になりません。

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の症状は1期から3期まであります。

前立腺肥大
第1病期(膀胱刺激期)

夜間にトイレの回数が多くなる(頻尿)、尿の勢いが弱い、排尿が始まるまでに時間がかかる、排尿が終わるまでに時間がかかるなどの症状が現れます。

第2病期(残尿発生期)

排尿困難の程度が強くなり、排尿を終えたあともすっきりしない感じ(残尿感)がします。

第3病気(完全尿閉期)

排尿を終えるまで数分かかったり、自分の力では排尿が困難になります(尿閉)。尿閉になると、膀胱に尿がたまってしまい、腎機能にも障害を及ぼすようになります。

前立腺肥大の治療について

前立腺肥大症は、軽度であれば薬物療法から始めます。薬で効果が得られない場合は手術の選択肢に選ばれます。

薬物療法

効果
α1受容体遮断薬 自律神経からの命令を受け排尿・蓄尿をコントロールする部位をα受容体と言います。自律神経の命令で緊張した前立腺や尿道の筋肉を、薬の作用によって弛緩させ、排尿に関する症状を改善します。重症でなければ、早期改善が可能です。
抗男性ホルモン薬 前立腺肥大の原因とされている男性ホルモンの働きを抑制し、前立腺細胞の増殖を抑え、肥大を防ぐ薬です。効果が出るまでは数ヶ月かかります。また服用を止めると、再び肥大します。
漢方薬 漢方も種類がいくつかあり、その人に合わせたものが処方されます。効果は排尿障害を改善します。他の薬物に比べて、副作用も少ないと言われております。

手術療法

手法 内容 日帰り
経尿道的前立腺切除術
(TURP)
最も多く行われている手術です。尿道から内視鏡を挿入し、内視鏡の先端についている電気メスで患部を削り取ります。前立腺がんの治療にも有効で、日帰りで行える医院もあります。
レーザー治療 尿道に内視鏡を挿入し、その先からレーザーを照射させ、肥大した前立腺組織を焼きます。現在はTURPよりも痛みや出血も少ないPVPという最先端治療も行われており、対応医院はまだ少ないですが日帰り手術も可能です。
開腹手術 前立腺が肥大しすぎている場合は、開腹手術を行い、膀胱の中から前立腺を全摘出します。2週間前後の入院が必要です。 不可
温熱療法 尿道や直腸からカテーテルという細い管を入れ、ラジオ波やマイクロ波により生じた熱で肥大した前立腺細胞を壊し、尿道を開きます。入院する必要がありません。
尿道ステント留置法 尿道の中にステントという網目状の管を挿入します。するとすぐに尿道が広がり排尿が楽に行えるようになります。しかし血尿や尿失禁を起こす可能性もあります。
尿道バルーン拡張術 風船のついた細い管を尿道から挿入し、尿道内で風船を膨らませ、圧迫された尿道を平ゲル手法です。症状は改善しますが、前立腺は肥大したままなので、一時的な処置に近いです。

治療・手術の流れ

1初診

問診・診察を行います。

2検査

直腸診、超音波検査、尿検査、尿流量検査などを行います。

3検査結果の説明・治療方針決定

検査結果の説明をします。軽度の場合は薬物療法をとりますが、重度の場合は手術をすることもあります。

4手術

医院によって入院するか、日帰りで行えるかが決まります。事前に確認をしましょう。

5術後

十分な休憩をおとりいただいき、手術の結果の説明を受けてご帰宅いただけます。入院の場合はそのまま入院になります。

6再診・退院

術後の経過を観察します。入院期間は医院によって異なります。

治療費について

前立腺肥大症の手術は保険の適応がされます。

治療法 保険適用 治療費(3割負担) 入院する場合(3割負担)
手術 約8~10万円 15万円前後

※費用は入院日数により異なります。

高額療養費制度

前立腺肥大症の手術は、高額療養費制度の対象になります。一月分の医療費が限度額を超えた場合、超過分があとで戻ってきます。

任意保険の手術給付金について

任意の保険会社により給付金が受け取れることあります。詳細は異なりますので、手術を受ける際は事前に確認を行いましょう。