下肢静脈瘤について

このページの監修:
お茶の水血管外科クリニック 院長 広川 雅之 先生

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、簡単に言うと足の血管の病気です。下肢とは脚部のことを指し、瘤とは文字通りこぶのことを指します。
つまり足の静脈(血管)に瘤のような膨らみができてしまった状態です。

下肢静脈瘤は良性の病気で、急激に悪化したり、命にかかわったりするようなことはありません。しかし、足が重くだるさを感じたり、むくんだり、つりやすくなったりと慢性的な症状が起こり、日常生活に支障をもたらすことも確かです。

また血管が浮き出たり、皮膚の色が変色することもあるので、見た目も気になってきます。特に男性よりも女性のほうがなりやすい病気と言われており、スカートがはけないというお悩みを抱えている女性も多いです。

下肢静脈瘤は自然に治ることはなく、悪化すると潰瘍ができたり、皮膚の壊死に至るケースもあります。

下肢静脈瘤の症状について

下肢静脈瘤の原因について

下肢静脈瘤

血液は心臓から動脈を通じて酸素を送り、静脈を通じて二酸化炭素を心臓に戻します。静脈には血液が心臓に戻る際に、その働 きを手助け、血液の逆流を防ぐための役割をする静脈弁が存在します。この静脈弁が壊れて正常に動作しない場合、本来足から心臓に戻る血液が逆流を起こして しまい、足に血液がたまってしまいます。その結果、静脈が腫れて瘤ができてしまうのです。

下肢静脈瘤は遺伝性のある病気でもあり、ご家族に下肢静脈瘤のある方がいる場合は注意が必要です。また、立ち仕事に従事していたり、加齢や妊娠・出産が原因にもなりやすいとも言われており、特に男性より女性に多くみられます。

このような症状がある方は要注意!

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤の症状として見られるのは、以下のようなものがあります。

  • 足がよくつる
  • 足がむくむ、だるい、重い
  • 足に疲れがたまりやすい
  • 足がかゆい、湿疹ができた
  • 足の血管が浮き出している
  • 足の血管がボコボコ腫れている
  • 皮膚が変色している
  • 皮膚が硬くなる
  • 皮膚に潰瘍や火傷のような痕がある

上記の症状がある場合は下肢静脈瘤の可能性があります。症状には個人差がありますが、下肢静脈瘤は自然に治ることはありません。悪化したまま放置しておくと、切開手術が必要になるケースもあります。1つでも該当する症状があれば、専門医に早めに診断していただくことをお勧めします。

下肢静脈瘤の種類

種類伏在静脈瘤側枝静脈瘤網目状クモの巣状
特徴 足の最も太い静脈の「伏在静脈」で形成されます。大伏在静脈や小伏在静脈の2種類あります。 伏在静脈から枝分かれした、さらに先にある静脈で形成された瘤です。 皮膚の直径2~3mm下にある静脈で形成され、網の目状になります。青色になるのが特徴でもあります。 皮膚の1mm下にある静脈で形成されます。クモの巣のように放射状に拡張しているのが特徴で赤紫色になります。
伏在静脈瘤側枝静脈瘤網目状クモの巣状
伏在静脈瘤
伏在静脈瘤

足の最も太い静脈の「伏在静脈」で形成されます。大伏在静脈や小伏在静脈の2種類あります。

側枝静脈瘤
側枝静脈瘤

伏在静脈から枝分かれした、さらに先にある静脈で形成された瘤です。

網目状
網目状

皮膚の直径2~3mm下にある静脈で形成され、網の目状になります。青色になるのが特徴でもあります。

伏在静脈瘤
クモの巣状

皮膚の1mm下にある静脈で形成されます。クモの巣のように放射状に拡張しているのが特徴で赤紫色になります。

下肢静脈瘤の治療法

下肢静脈瘤の治療は進行具合やタイプによって異なります。

手法内容日帰り
ストリッピング手術 弁不全を起こしている静脈を抜き取る治療法です。下肢静脈瘤の根治療法として最も代表的な治療でもあります。鼠径部と膝下を切開し、ワイヤーを通して静脈を引き抜きます。再発率が低く、日帰り手術も可能ですが、場合によっては入院が必要になることもあります。 可能
硬化療法 瘤ができてしまった血管に硬化剤を注入する治療法です。側枝型、網の目状、クモの巣状に適した方法です。硬化した静脈には血液が流れなくなり、徐々に縮小し、最終的には静脈瘤ごと消えていきます。注射だけで済むので、傷痕も小さく、短時間で治療が行えます。しかし外科的処置に比べると再発率は高くなります。 可能
高位結紮術 弁不全を起こしている静脈を縛る(=結紮)ことで、血液の逆流を防ぐ治療です。術後の回復が早く、傷痕も小さく済みますが、再発する可能性はあります。現在はストリッピング手術や硬化療法と併用することが多く、再発率も減らすことができます。単独での治療は少なくなっています。 可能
血管内レーザー治療 病変している静脈に非常に細いレーザーファイバーを入れて、血管の内側を焼き閉塞させる手術です。その後血管は繊維化して体内に吸収されていきます。ストリッピング手術とは違い傷痕は残りませんが、根治性は同等の効果があります。平成23年より健康保険の対応ができるようになりました。 可能
高周波治療 レーザーの代わりに、高周波(ラジオ波)を用いて、血管内を焼く治療です。治療方法はレーザーの治療とほとんど変わりません。レーザーが光で焼灼するのに対し、高周波は熱で焼灼します。こちらの治療は平成26年より保険適応が可能となりました。 可能
圧迫療法 弾性ストッキングを使った治療法です。保存的治療とも言われています。ストッキングを着用し、脚部を圧迫することで、血液の循環の手助けをします。これにより静脈瘤の予防や進行の防止につながります。しかし効果はストッキングを着用しているときに限られてしまうので、根治には至りません。 可能

治療・手術の流れ

1外来

問診・診察を行います。

2検査

超音波検査を行います。血管の太さや弁の状態を調べます。

3検査結果の説明

ドクターより説明を受け、治療方針を決めます。

4手術

ストリッピング手術はおおよそ1〜2時間程度、レーザーの場合は30分前後かかります。

5術後

施設内で2~3時間ほど安静にしていただきます。その後、ドクターより手術結果の説明を受けます

6帰宅

会計を済ませ帰宅になります。痛みがひどい場合は入院していただくこともあります。基本的には術後から日常に復帰できます。

7療養・外来

数日~1週間ほど経過してから再度検査を受けます。

※こちらはあくまで大まかな流れになります。クリニックにより多少異なることもあるので、詳しい内容が知りたい方は、ホームページを確認したり、お問い合わせすることをお勧めします。

治療費について

下肢静脈瘤の治療は健康保険適応の対象になります。
こちらはあくまでも目安になりますので、詳しい料金を知りたい場合は、医院に確認しましょう。

治療法保険適用治療費(3割負担)入院する場合(3割負担)
ストリッピング手術 約4万円 約6万円
硬化療法 約5,000円
高位結紮術 約1~2万円
血管内レーザー治療 約5万円 約7万円
高周波治療 約5万円 約7万円
圧迫療法 × 約5,000~10,000円

高額療養費制度について

下肢静脈瘤の手術は医療費控除の対象です。
おおよそ2~5万円ほどが医療控除の適応となります。
詳しくは税務署や税理士にご確認ください。

任意保険の手術給付金について

現在、任意の生命保険や入院保険に加入されている場合、給付金が受け取れることもあります。保険会社により詳細は異なりますので、一度ご確認・ご相談したうえで、必要書類を持参してください。