手根管症候群について

手根管症候群・肘部管症候群とは

手根管症候群

手首には、骨と靭帯に囲まれた手根管というトンネルが存在します。この手根管の中にある正中(せいちゅう)神経が、何かしらの原因で圧迫されると、手にしびれや痛みが生じます。これを手根管症候群と言います。
どちらかというと女性に多く見受けられます。

この手根管の中には、正中神経のほかに、長母指屈筋腱、浅指屈筋腱と深指屈筋腱が4本ずつ、合計9本の腱が通っています。

手根管症候群が起こる原因はいくつかあげられますが、原因不明なことが多かったりもします。保存的療法でも治療は可能ですが、保存的療法に効果がない場合や、症状を繰り返す場合は手術も選択されます。

手根管症候群の症状について

手根管症候群の原因について

手根管症候群は原因としてあげられるのは、腱鞘炎と同様に日常生活や仕事における手の酷使です。使い過ぎには注意しましょう。また、妊娠や出産期、更年期の女性においては、生じやすいのが特徴ですが、この場合は原因不明なことが多いです。
他にも手首の骨折や脱臼、腫瘍、腱鞘炎、透析、リウマチ、糖尿病などの疾患に随伴して起こることもあります。

手根管症候群の症状

初期症状の段階では人差指と中指にしびれや痛みが生じます。悪化すると、親指と薬指にも症状が現れますが、小指には起こりません。特に朝方、強い痛みやしびれを訴えるケースが多いです。放っておくと、痛みやしびれが弱まることもありますが、これは治ったわけではなく、筋肉の委縮が始まってきていることになります。具体的には、母指球筋(親指の付け根の筋肉)が委縮し、症状が進むと親指を思うように動かせず、日常生活に支障が出てきます。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)の症状

手根管症候群とは別に肘部管症候群というものもあります。こちらは肘の中の尺骨神経が圧迫されたり、牽引されることで炎症を起こすことで発症します。初期症状の段階では小指や薬指にしびれが起こります。麻痺がひどくなると、筋肉が衰え始め、指を動かしにくくなります。こちらは中年男性に多く見られる症状です。

手根管症候群の診断法

主な診断のポイントは、親指から薬指にかけて起こるしびれや、感覚が正常であるかを確かめます。また手首を診察用の機器で叩き、指さきに痛みやしびれがあるティネル徴候、両手の手の甲を合わせるとしびれが強まるファーレン徴候が陽性の場合は手根管症候群と判断されます。その他、X線やMRIなどの検査を行う場合があります。

手根管症候群の治療法

手根管症候群は、保存的治療をとることが多いです。しかし腫瘍を伴っていたり、筋肉が委縮している場合は手術が必要になります。

手法 内容 日帰り
投薬療法 炎症を抑える非ステロイド系の鎮痛剤を処方されることが多いです。他にもビタミンB12製剤を服用し、神経代謝を改善します。 可能
固定法 炎症がひどい場合、患部を動かさないように固定具を装着し、活動を制限させます。こうすることで、炎症を治まるのを待ちます。 可能
温熱治療 腱鞘炎と同様に、超音波やレーザー機器で、患部を温め、血行を改善し、筋肉の緊張をほぐします。痛みを伴うこともありません。 可能
ステロイド注射 投薬や温熱療法でも治まらない場合、ステロイド剤を患部に注入します。そうすることで痛みが劇的に軽減することが多いです。しかし、ステロイドは副作用や誤って神経を傷つけてしまう危険性もあるので、医師の説明をよく聞きましょう。 可能
手根管開放術

保存的療法で効果が得られない場合に適応される外科手術です。局所麻酔を使い、手首から手の平にかけて数センチ切開をし、中にある靭帯を切り離すことで圧迫から解放します。場合によっては神経を切り離す神経剥離を行うこともあります。手術は30分前後で終わり、日帰りが可能です。

可能
肘部管開放術 こちらは肘部管症候群に対して有効な手術法です。こちらも手根管開放術同様に靭帯を切り離し、尺骨神経を圧迫から解放します。 可能
内視鏡手術 こちらも開放術同様の外科手術です。こちらは内視鏡とメスを切開部分から挿入し、靭帯を切除します。開放術に比べ傷痕が小さく済み、術後の痛みも軽いものとなります。しかし行っている医院が少ないのも現状です。 可能

治療・手術の流れ

1外来

問診・診察を行い、症状を確認します。

2検査

基本的には視診、触診行います。X線やMRIを使うこともあります。

3治療方針の決定

保存的療法で様子を見るか、手術を行うか決定します。

4治療・手術

治療の場合は定期的に通う必要があります。手術は大体20~30分で終わります。術後は手首を動かせないようにシーネやギプスで固定します。

5再診・リハビリ

手術後は約1週間後に抜糸を行います。消毒は毎日行いましょう。リハビリは術後翌日から行います。

6治療完了

しびれは大体6~8週間ほどでひきます。

治療費について

手根管症候群の手術は保険が適応されます。
こちらはあくまでも、治療費の目安になりますので、詳しく知りたい方は医院にお尋ねください。

治療法 保険適用 治療費(3割負担) 入院する場合(3割負担)
手根管開放術 15,000円前後
内視鏡手術 30,000円前後

医療費控除

手根管症候群の治療を受けて医療費控除を受けられることがあります。
年間で本人、およびご家族の医療費が10万円を超える場合は確定申告をすることで還付が受けられます。

任意保険の手術給付金について

保険会社により詳細は異なりますので、手術を受ける際は事前にご確認することをお勧めします。