尿失禁について

尿失禁とは

尿失禁

本来、尿は膀胱に蓄尿され、尿意を覚えたら、意識的に排尿を行います。しかし、尿失禁は無意識的に、尿が漏れてしまいます。
今や成人女性の4人に1人が悩まされているようなとても身近な疾患です。

特に高齢になるにつれて、尿失禁になる方は増えてきます。例えば、くしゃみや咳をした際に勢いで尿がもれてしまったりすることもあります。その反面、デリケートな悩みでもあるので、相談しにくかったりもします。

もちろん女性だけではなく、男性にも起こりうる病気です。早めの検査、治療を心がけましょう。

尿失禁の症状について

尿失禁の原因

女性の場合は、男性よりも尿道が短いことが原因の一つとも言われております。男性の尿道は約20cmあるのに対し、女性の場合は約3cmです。尿道を締めるときに機能する骨盤底筋も男性に比べてもともと弱いとされており、出産や加齢に伴い、さらに筋肉が弱まり、尿が漏れやすくなります。男性の場合は前立腺肥大症が影響してくることもあります。下記の症状の説明でも、症状ごとの原因を記載します。

尿失禁の症状

尿失禁は大きく4つに分類されます。

腹圧性尿失禁 咳やくしゃみをした時、立ち上がった時や重いものを持ち上げた時などにお腹に力が入ってしまい、その圧力が影響して尿が漏れてしまいます。尿道括約筋を含む骨盤底筋群という筋肉が緩んでしまうことが原因です。日本でも約4割の女性がこの症状に悩まされているとも言われております。出産や加齢をきっかけに起こります。
切迫性尿失禁 急に尿意をもよおし(尿意切迫感)、我慢できずに尿を漏らしてしまうのが切迫性尿失禁です。原因もなく膀胱が収縮してしまい、少量の尿がたまっただけで、トイレに行きたくなります。そのため頻尿になります。脳血管障害や神経障害が原因で起こると言われております。また男性の場合は前立腺肥大症に起因して、切迫性尿失禁が起こることもあります。
溢流(いつりゅう)性尿失禁 尿を出したくても、うまく排尿ができず、膀胱から尿が溢れてしまうのが溢流性尿失禁です。この症状に関しては、前提として尿が出にくくなる尿障害があります。こちらも原因としては前立腺肥大症が代表的で、男性患者が多いです。
機能性尿失禁 排尿機能は正常ですが、認知症や身体運動機能の低下が原因となるのが機能性尿失禁です。例えば、認知症のため正しい排尿が行えないケースや、身体運動機能の低下のため、歩いてトイレまで間に合わず漏らしてしまうといったようなことが該当します

尿失禁の治療方法

尿失禁の治療には保存的療法と手術療法があります。

薬物療法

  効果
抗コリン剤 尿失禁に対して広く使われている薬です。膀胱の緊張をほぐし、収縮を抑えることで、尿もれも改善されます。副作用として、口が渇いたり、便秘になることがあります。
β受容体刺激薬 膀胱と尿道括約筋を動かす受容体を刺激することで、尿道を引き締め、尿もれを改善します。吐き気、動悸など副作用がでることもあります。

保存的療法

  効果
骨盤底筋体操 腹圧性尿失禁に対して有効な治療法です。特に軽症の場合であればかなりの効果が得られます。体操の種類もありますが、基本的には肛門と膣を締めて緩める運動を繰り返します。早い人で1ヶ月、ほとんどの人が3ヶ月ほど効果を得られます。長期的に続けましょう。

手術療法

  内容 日帰り
TVT手術 日本でも多く行われている手術です。前膣壁を小切開し、ポリプロピレンというメッシュのテープで尿道をU字型に補強し、尿もれを防ぐ方法です。お腹ではなく膣を数cm切開するので、術後の痛みも少なく、再発率も少ないです。まれに恥骨の裏の血管を傷つけてしまう危険性があります。
TOT手術 TVT手術によりもさらに安全性の高い手術として開発されたのがこの方法です。TVTと同様にメッシュテープを使いますが、こちらは骨盤の間の閉鎖孔を通して、V字型に尿道を補強します。合併症もほとんどありません。しかし重症の場合には効果は薄いとされております。
コラーゲン注入法 尿道の括約筋にコラーゲンを注入して、尿道を狭くします。手術は15~30分程度で終わります。時間がたつとコラーゲンは吸収されてしまうため、再発率も高くなります。
MMK法 下腹部を切開し、直視下で膀胱と尿道を挙上させ、恥骨の裏側に縫いつける手術です。 不可
膀胱頸部つりあげ術 MMK法とほとんど同じような手法ですが、MMK法に比べて切開は小さく済みます。腹圧性尿失禁はほとんど改善されます。 不可
膀胱拡大術 切迫性尿失禁に対して行われる手法です。その名の通り膀胱を大きくします。身体への負担が大きいため、手術としても最終手段として選択されます。 不可
レーザー治療 レーザー治療は手術とは異なり、切開を行わないため、身体的負担が少ない方法です。熱を用いて膣を引き締めます。効果は個人差があり、1度の治療で大体1年効果が持続しますが、重症例には効果がないこともあります。(自由診療となります)

治療・手術の流れ

1初診

問診・診察を行います。

2検査

尿検査、超音波検査、尿流量測定、パッドテスト(尿漏れの量のチェック)、膀胱尿道造影などを行います。

3検査結果の説明・治療方針決定

検査結果の説明をうけ、薬物療法をとるか手術をうけるか決定します。

4手術

治療に内容によって入院するか、日帰りで行えるかが変わります。事前に確認をしましょう。

5術後

手術の結果の説明を受けてご帰宅いただけます。入院の場合は安静にしましょう。

6再診・退院

術後の経過を観察します。入院期間は手術内容や医院によって異なります。また再発することもあるので、生活を見直しましょう。

治療費について

尿失禁の手術は保険の適応がされます。

治療法 保険適用 治療費(3割負担) 入院する場合(3割負担)
手術 7〜9万円前後 12〜24万円前後

※費用は入院日数により異なります。

高額療養費制度

尿失禁の方は、手術だけでなく、おむつ代も医療費高所の対象になります。その際はおむつ使用証明書とおむつ代の領収書が必要になりますので、気を付けましょう。

任意保険の手術給付金について

尿失禁の手術を受けた場合、加入している生命保険により給付金が受け取れることあります。事前に保険会社に詳細を確認を行いましょう。