胃・大腸ポリープについて
ポリープとは

大腸や胃で、粘膜の一部が隆起した(ふくれた)状態になっているものをポリープと言います。消化器以外にも声帯などにできるケースもあります。
胃のポリープはおおよそ30歳以上、大腸ポリープは40歳以上になってくるとできやすくなってきます。
胃に関しては、ほとんどが良性のものが多く経過観察となります。
大腸に関しては、癌の原因になるものも多く、もしくは初期状態の癌である可能性もあり、発見され次第、切除を行うことで、未然に癌の進行を防ぐことができます。
良性とは言え、ポリープは病気なので、健康診断や人間ドックでポリープと診断された場合や、心配な方は、クリニックで内視鏡検査を受けることをお勧めします。
ポリープの症状
ポリープの種類
【胃ポリープの種類】
種類 | 特徴 |
---|---|
過形成性ポリープ | 良性のポリープです。一般的には、癌化する危険性もほとんどなく、経過観察で様子をみることが多いです。表面が苺のように赤く光沢しており、凹凸があります。大きさが2cm以上に増大傾向を示したり、表面にびらんや陥凹を形成し癌化の可能性がある場合、出血による貧血を来す場合、などは内視鏡切除の適応とされています。良性とはいえ、注意が必要ですので経過観察をしましょう。 |
胃底腺ポリープ | 30~40代の女性に多く見られるポリープです。ピロリ菌のいない健康な状態の粘膜にできることが多いと言われています。色調の変化はなく(周囲の胃粘膜と類似)、小さい半球状の形をしており、多発しますが、癌化する可能性もごく稀で、ピロリ菌の感染もほとんどありません。経過観察で良いポリープです。 |
腺腫性ポリープ | 高齢の男性に多く見られるポリープです。蒼白色をしており、その多くは扁平な隆起形状をしています。大きくなると癌化する危険性がある前癌病変であることと、他の部位で癌が発生する可能性もあるので、定期的に内視鏡検査をしたり、もしくは内視鏡切除を行います。 |
【大腸ポリープの種類】
種類 | 特徴 |
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過形成性ポリープ | 胃と同様に基本的には良性と判断され、大きさ5mm以下で直腸に多く見られ、癌化をしなければ切除不要のポリープです。しかし、最近、serrated pathwayという発癌経路が注目されており、特に右側結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)にみられる過形成ポリープは大きさが6mm以上と大きくなるとSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)となり癌化する可能性もありますので、内視鏡で切除します。 |
炎症性ポリープ | その名の通り炎症によりできたポリープです。癌化の心配はほとんどありません。腸が炎症を起こした後、粘膜を再生する際に増えた細胞から形成されます。 |
腺腫性ポリープ | 胃とは違い大腸では最も多いポリープです。大腸ポリープの約80%はこの腺腫性ポリープで、特にS状結腸や直腸で発見されますが、全大腸のどこにでもできます。腺腫は粘膜上皮を形成する腺細胞に異常が生じて増殖してきます。大きくなると(1cm以上)腺腫は前がん状態となり、癌化する可能性が最も高いポリープです。発見された場合はその場でポリープを切除し、癌化を未然に防ぐことが大切です。 |
若年性ポリープ | 一般的に過誤腫性ポリープとされ、単発例では癌化することはないですが、多発例の場合、約20%に癌化すると言われています。通常、子供や若年に多いポリープですが、高齢者にも認められます。特に、S状結腸や直腸で発見されますが、大きくなるとポリープが自然に脱落して血便や下血などを来す恐れがありますので、発見したらその場で内視鏡切除します。 |
ポリープの症状
胃ポリープ
基本的に自覚症状はありません。胃もたれや食欲不振の症状が出ることもありますが、ほとんどの場合、併発している慢性胃炎によるものが多いです。また前述したように、ポリープからの出血により貧血を起こすこともあります。
大腸ポリープ
こちらもほとんどの場合自覚症状はありません。しかしポリープが大きくなると、排便時に出血、腹痛、下痢、お腹が張る等の症状が出てきます。また大腸癌の場合も、同様の症状が見られますので、内視鏡検査をお勧めします。
胃・大腸ポリープの治療方法
大腸ポリープの治療法
ポリープに関しては、できている場所(部位)や大きさやその数によって経過観察を行うか、切除をするか、どちらかの処置をとります。切除と言っても、近年では内視鏡を用いた切除が多くなっております。癌化を防ぐためにも早めの治療を心がけましょう。
手法 | 内容 | 日帰り |
---|---|---|
ポリペクトミー | 内視鏡の先端部から輪状のワイヤーをだし、ポリープにかけます。徐々にワイヤーを締め、電流を流し焼き切る方法です。 | 可能 |
手法 | 内容 | 日帰り |
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内視鏡的粘膜切除術 (EMR) |
ポリープが平坦でワイヤーがかけにくい場合、その粘膜下層に生理食塩水を注入することで、病変を膨らせます。その後、ポリペクトミーと同じ操作を行います。場合によっては入院が必要になります。 | 可能 |
手法 | 内容 | 日帰り |
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内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) |
ポリープが2cm以上の大きい場合に保険適用される方法です。粘膜下層に生理食塩水を注入し膨らませた後に、電気メスで粘膜下層ごとポリープを切り取ります。一般的には、術後は入院が必要ですが、日帰りが対応可能な病院もあります。 | 不可 |
治療費や保険の対応についてはこちらのページをご参照ください。
治療・手術の流れ
1外来・検査結果の説明
ドクターより説明を受け、内視鏡手術のスケジュールを決めます。
2手術
内視鏡手術の種類にもよりますが、検査開始後ポリペクトミーやEMRであればおおよそ15分から30分前後で終了します。ESDの場合には、1時間から3時間ほど治療に時間を要します。
3術後
施設内で1~2時間ほど回復するまで休養していただきます。その後、ドクターより説明を受けます。入院期間は、各クリニックや病院にお問い合わせください。
4帰宅
問題がなければそのままお帰りいただけますが、場合によっては入院が必要なケースもあります。また手術には鎮静剤や麻酔薬を使用するため、術後のお車の運転は控えて頂きますので、一般の交通機関をご利用下さい。
5療養
自宅で安静・療養いただき、術後3日から7日は消化のよい食べ物を摂取してください。また1週間ほどアルコールの摂取、運動、重労働、旅行は控えてください。
※こちらはあくまで大まかな流れになります。クリニックや病院により多少異なることもあるので、詳しい内容が知りたい方は、ホームページを確認したり、お問い合わせすることをお勧めします。
治療費について
ポリープ切除の手術は健康保険適応の対象になります。
こちらはあくまでも目安になりますので、詳しい料金を知りたい場合は、医院に確認しましょう。
治療法 | 保険適用 | 治療費(3割負担) | 入院する場合(3割負担) |
---|---|---|---|
胃ポリープの切除 | ○ | 約2~3万円 | 約3~4万円 |
大腸ポリープの切除 ポリペクトミー・EMR |
○ | 約2~3万円 | 約3~4万円 |
大腸ポリープの切除 ESD |
◯ 大きさ2cmから5cm |
- | 15~17万円 |
※内視鏡治療は治療の内容によって料金が異なります。
※ESDの場合、5日間から1週間ほど入院が必要になります。
各病院で多少異なりますので、詳しい内容が知りたい方は、ホームページを確認したり、お問い合わせすることをお勧めします。
高額療養費制度について
ポリープ切除の手術は高額医療の適応になる場合があります。
医院から発行される領収書を保管し、書類をご用意のうえ、お手続きを行ってください。
任意保険の手術給付金について
現在、任意の生命保険や入院保険に加入されている場合、手術給付金が受け取れます。保険会社により詳細は異なりますので、一度ご確認・ご相談したうえで、必要書類を持参してください。