かんやまクリニック
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対応疾患 | 鼠径(そけい)ヘルニア、痔(いぼ痔、切れ痔、痔瘻) |
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電話番号 | 0568-23-2007 |
診療時間 | 月・火・水・金 9:00~12:00 / 17:00~19:00 木・土 9:00~12:00 手術は月・火・水・金の13:00~16:00で、予約制になります。 休診日: 木曜午後、土曜午後、日曜、祝日 |
住所 | 〒481-0004 愛知県 北名古屋市 鹿田栄109番地1 (地図) |
特徴 |
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痔の治療・日帰り手術について
◆痔の疾患について
肛門の3大疾患というと、1.いぼ痔(痔核)、2.切れ痔(裂肛)、3.あな痔(痔瘻)があります。成人の3人に1人が痔を持っていると言われており、半数以上の方が、痛み、出血、いぼの腫れなど、なんらかの症状を経験したことがあると言われ、痔はとてもポピュラーな病気です。
患者様の中には、痔の治療というと手術が必要ではないかと考える人が多いようです。また、手術に痛いイメージがあったり、恥ずかしいため治療を避けている人も多くいると思います。
実際のところは、痔で病院を受診される方のほとんどは手術をすることはなく、保存的治療法(塗り薬や生活習慣の改善など)で改善するケースが多いです。また、症状がひどく手術が必要なケースでも、最近では、切らずの治療ができるジオン注射(ALTA療法)などが行われるようになっております。症状が悪化する前に治療をする事をお勧めします。
痔の治療は、患者様の症状によって的確な診断と治療方法の選択が必要で、高い専門性が必要となります。当院では、大腸肛門病の専門医・指導医である院長が患者様の治療を担当いたします。治療はできるだけ保存的治療から行い、手術が必要な場合も患者様に負担が少ない治療方法を提案いたします。手術は日帰り手術が可能です。
◆痔の種類について
いぼ痔
いぼ痔はもっとも多い症状で痔核とも呼ばれます。痔核の場所によって、内痔核と外痔核に分類され、症状は、痛み・出血・脱肛など様々です。症状に応じて治療方法が違います。下記に代表的な疾患例を記載しますのでご参考ください。
症状例1.痛みが中心のもの
・血栓性外痔核
肛門の外側(肛門のふち)に痛みを伴うしこりがあり、中には血栓と呼ばれる血豆があります。治療方法としては、薬を塗る(保存的治療)と血栓除去手術などがあります。
・内痔核かんとん
肛門の内部にできた痔核(内痔核)が脱出してもとに戻らなくなり、うっ血して腫れと痛みを伴います。治療方法は、腫れが引くまで保存的治療を行います。
症状例2.出血が中心のもの
・出血性内痔核
排便するたびに出血し、ひどい場合は、便器が真っ赤になるほど出血する事もあります。また、最近では他の病気の治療のため血液が固まりにくくなる薬(抗凝固剤)を服用されている方も多く、出血がなかなか止まらない方もおみえになります。
治療方法は、保存的治療、ジオン注射(ALTA療法)、輪ゴム療法、手術があります。
症状例3.肛門から脱出があるもの
・脱出性内痔核
脱出度合いにより、Ⅰ度~Ⅳ度の段階に分類されます。
Ⅰ度 排便する際に出血するが、痔核は脱出していない状態
Ⅱ度 排便の際に痔核が脱出するが、排便の後は自然にもとに戻る状態
Ⅲ度 排便の際に痔核が脱出し、排便後は指で戻さないと戻らない状態
Ⅳ度 常に痔核が脱出しており、指で押し込んでも元に戻らない状態
治療方法は、段階に応じて保存的治療、ジオン注射(ALTA療法)輪ゴム療法、PPH法、手術(切除術)となります。Ⅲ度以上の症状は、手術(切除術)が必要でしたが、ジオン注射(ALTA療法)の出現で、一部の症状では、手術(切除術)せずに治療が可能となりました。
ジオン注射(ALTA療法)
当院で行っているジオン硬化療法(ALTA療法)とは、ジオン注とよばれる薬剤(硬化剤)を内痔核に対して投与し、縮小させて痔核の脱出や出血を改善させる治療法です。治療にかかる時間は10分程度で済み、外来での日帰り手術が可能です。この手術では、切る必要がないため、術後の痛みや出血を抑えられるため、安心して受けていただけます。しかし、この治療法は決められた手技講習会(四段階注射法という手法のための講習会)を受講した専門医でしか実施することができません。当院ではその講習会を受講した医師がジオン硬化療法を行います。
四段階注射法のイメージ図
ジオン注射を打った後は、縮小した痔核への血流が減るため、出血が止まります。また、脱出の程度も徐々に軽くなります。ほとんどの方は、注射後翌日には出血・脱出の症状改善を認められています。
最終的には痔核が癒着・固定して出血・脱出がみられなくなります。
切れ痔
便秘の際に、固い便などが原因で肛門が裂けたり、切れてしまった状態です。また、下痢による頻回な排便でも切れ痔になる事はあります。症状としては痛みと出血があります。治療方法は、塗り薬と排便習慣の改善です。ただ、何度も繰り返し切れ痔を起こしてしまう方は慢性化し、肛門狭窄(肛門が狭くなる)場合があります。その場合は手術が必要で、手術方法としては、側方内括約筋切開術(LSIS)や皮膚弁移動術(SSG法)などがあります。
痔瘻(あな痔)
痔瘻は、男性に多くみられる疾患です。痔瘻とは、肛門内部から肛門の外側の皮膚に膿のトンネルができる状態です。痔瘻の前段階として、発熱と共に肛門周囲に痛みを伴うしこりができ、膿が出てきます(肛門周囲膿瘍)。その膿が排出されると痛みや発熱は軽減されますが、その後も膿のトンネルが残ったままになるのが痔瘻です。肛門周囲膿瘍になった方がすべて痔瘻になるとは限りませんが、半数以上の方が痔瘻に移行してしまうと言われています。
治療方法は、肛門周囲膿瘍は切開して膿を出すことが必要です。
痔瘻に移行した場合は、手術が必要になる事が多いです。手術は、入院が必要な切開開放術、括約筋温存術と外来手術(日帰り手術)が可能なシートン法などがあります。シートン法は日帰りで行えますが、治癒までに数か月必要となります。
◆痔の手術費用について
治療法 | 保険適用 | 治療費(3割負担) |
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ジオン注入法 | ○ | 約1.5~2万円 |
いぼ痔の手術 | ○ | 約2~3万円 |
切れ痔の手術 | ○ | 約2~3万円 |
あな痔の手術 | ○ | 約3~4万円 |
◆当院で治療を行うメリットについて
手術が必要な症状の場合、日帰り手術で治療を行います。入院準備の手間がないこと、できるだけ体の負担が少ない麻酔法や小さな傷口で手術を実施いたします。また、入院しないで手術を行うので入院費が削減できます。 プライバシーの配慮から女性専用待合室を設けておりますので安心して来院いただけます。 手術はすべて健康保険が適用となります。
◆通院と自宅療養について
ジオン注射を受けられた方
手術後、自宅に帰るとまれに痛みが出る場合がございます。処方する薬を内服するようにしてください。
- 再来院について
ジオン注射治療後は概ね手術1週間後、3週間後、5週間後に診察をしていただきます。
その他の手術を受けられた方
手術後の痛みは同様に痛み止めを服用していただきます。
- 再来院について
翌日から3日を目安に再来院いただきます。その後は1週間後に再来院いただき、その後は症状を診て医師から指示致します。
◆教えてドクターQ&A
Q1妊娠8か月目なのですが、以前から持っていた痔が妊娠中に大きくなってきているような気がします。痛みはないのですが、このままでも大丈夫ですか?
A1妊娠中は痔が悪化しやすい傾向にあります。原因として、子宮が大きくなるにつれて腸管が圧迫され、血流のうっ滞や排便障害が起こりやすいこと、妊娠ホルモンによる充血等が考えられています。また、妊娠中は便秘にもなりやすいため、肛門に負担がかかってしまいますのでなおさらです。しかし、妊娠中での痔の手術治療は原則として行えないため、坐剤等での治療と生活指導を中心とした対応になってしまいます。たとえ妊娠中に痔の症状が悪化したとしても、出産後数か月で改善されるケースがほとんどですので、質問者様の場合はもう少し様子を見てもよいかと思います。
Q2便秘になってしまい、排便時に思いきりいきんだら出血してしまいました。血は真っ赤で痛みはなかったのですが、これは痔の出血なのでしょうか。
A2血が真っ赤であれば肛門から近いところからの出血、黒っぽい血であればもう少し奥からの出血が考えられます。痛みを伴う真っ赤な出血の場合は切れ痔が、痛みがない真っ赤な出血であればいぼ痔(内痔核)が、粘液や下痢便を伴った出血であれば出血性腸炎や潰瘍性大腸炎が疑われます。しかし、どのような出血であっても、大腸がんやポリープなどの腫瘍性病変の存在の可能性を考えねばならないため、痔だからという安易な判断は厳禁です。自己判断で済まさずに、必ず診察を受けるようにしましょう。
Q3便秘のため、排便時に強くいきんだら、翌日から肛門付近にしこりができました。しこりには痛みもありますが、すぐに切った方がいいですか?
A3肛門部に突然発生するしこりで一番多いのは血栓性外痔核です。この痔は、肛門の縁に小豆~大豆程度のしこりができ、しこりの内部に血栓とよばれる血の塊が形成されたものです。ほとんどは薬で治癒しますが、場合によっては切除が必要となります。また、肛門から少し離れた場所に腫れが見られる場合は、肛門周囲膿瘍が疑われます。肛門周囲膿瘍は、肛門の中から細菌が侵入し、肛門の周囲に膿を形成したしこりで、そのほとんどが切開の必要があります。他にも内痔核が脱出したものなども考えられますが、しこり一つで様々なタイプの病気が考えられますので、自己判断せずに早めに診察を受けていただくことをお勧めします。
Q490歳の母親が咳をしたりすると肛門から5cmほどのしこりが出て、便が漏れ下着が汚れることがあり、外出をあまりしなくなりました。どのような病気が考えられますか?
A4肛門からしこりが出る病気には、いぼ痔(内痔核)の脱出や肛門ポリープなどが考えられますが、お母様の場合は5cmくらいのしこりとのことなので、直腸脱の可能性もあります。
直腸脱とは高齢の女性が発生しやすい傾向にあり、直腸が肛門から脱出する疾患です。肛門周囲の筋肉が弱くなることが大きな原因の一つだといわれています。通常5cm前後の脱出の症状がほとんどなのですが、なかには20~30cm脱出される方もみえます。直腸脱に似た疾患もあるため、まずは病院で診てもらうようにしましょう。
治療には基本的に手術での治療になりますが、手術の方法は複数ありますので、年齢や生活環境に合わせて手術の選択を行いましょう。
Q52年ほど前、肛門近くの皮膚が急に腫れ、その腫れから膿(うみ)が出てきました。その後は膿が出たところがにきびのようなしこりになり、時々血や膿が出るのですが、このまま放置しても大丈夫でしょうか。
A5痔瘻(じろう)の疑いがあります。痔瘻は痔の三大疾患のひとつであな痔ともよばれ、男性に多くみられる痔の病気です。痔瘻になる前は、肛門周囲膿瘍とよばれる状態になります。これは、肛門から細菌が侵入し、肛門の周囲に膿によるしこりが形成された状態です。
肛門周囲膿瘍がある状態では腫れや痛みが強く、発熱もみられます。ほとんどの方が強い痛みによって来院され、しこりを切開して膿を出すのですが、まれに自然にしこりが破れて膿が出る場合があります。切開して、あるいはしこりが破れて膿を出した方の半分は炎症が治まり治癒しますが、残りの半分の方は患部の炎症が治まらずに膿が出続けます。この状態が痔瘻です。
痔瘻になってしまうと、自然に治癒することがなく、治療には手術が必要になります。痔瘻の状態によって、治療方法も異なってきますので、早めに病院で診てもらうことをお勧めします。
Q6硬い便によって肛門が切れ、痛みと出血を伴います。前は2~3日ほどですぐによくなっていたのですが、最近では痛みがしばらく残っています。まだ様子をみていた方がよいのでしょうか。
A6ご質問の方の疾患は切れ痔(裂肛)と思われます。
切れ痔は痔の中でも最もポピュラーな痔疾患で、通常は数日で軽快しますし、痛みも排便時にしか出ません。しかし、切れ痔を繰り返し慢性化しますと、切れたところに潰瘍ができてしまい、難治となることがあります。この状態では、痛みも強くなるばかりか、排便後も痛みが継続します。こうなってしまっては、薬のみでの治療は難しくなるため、手術が必要になることもあります。
切れ痔だからといって放っておかず、症状が改善されない方は早めに病院で診てもらうことをお勧めします。
Q7排便後に肛門からいぼが出ています。最近ではそのいぼが自然に戻らないため、指で押し込んでいます。早めに診てもらった方がいいのでしょうか。
A7排便後に肛門から出るしこりで多いのは内痔核の脱出です。
内痔核は進行の程度で4段階にわけられます。
Ⅰ度:出血のみ
Ⅱ度:排便時にいぼが脱出するが、自然に元に戻る
Ⅲ度:脱出したいぼが指で押し込まなければ元に戻らない
Ⅳ度:排便時以外でも脱出する
ご質問をいただいている方のいぼ痔はⅡ度からⅢ度へ進行した状態だと考えられます。内痔核の治療はⅡ度までであれば薬物療法が中心となる治療になるのですが、Ⅲ度以上になると何らかの処置・手術をしたほうがよいとされています。
内痔核の治療でも最近では、ALTA(ジオン注)硬化療法など、切ることなく治療が受けられたり、日帰りによる手術を行えるので、お気軽にご相談ください。
Q8下痢をした翌日に肛門の周りにいぼのようなしこりができていました。痛みが強く、座ることすら難しい状態です。中に戻そうにもすぐ出てくるため、どうしたらよいか教えてください。
A8血栓性外痔核が疑われます。血栓性外痔核とは、急にできるいぼ痔で強い痛みを伴う痔疾患です。
いぼの中に血の塊が形成されており、急激に大きくなります。長時間座っていた、下痢をした、お酒を飲みすぎた、排便時にいきみすぎたなど、肛門に対して強いストレスがかかることが原因となり血栓が形成されます。
血栓性外痔核の治療は薬や手術で血栓をとり除く方法がありますが、ほとんどの場合薬で治療が可能です。
Q9以前から痔で悩んでいます。治したいとは思うのですが、仕事が忙しいためなかなか入院のための長期休暇を取ることができません。手術は必ず受けなければならないのでしょうか。また、痔の日帰り手術は可能なのでしょうか。
A9痔には大きく分けて3種類あり、いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・あな痔(痔瘻)とあり、あな痔以外は手術をしなくとも改善できる治療法があります。
まずは生活・排便習慣の改善の治療法から始め、そのうえで薬物療法を行います。それでも症状の改善がみられない場合は手術という選択を初めて考えます。初診時にいきなり手術を行うということはまれですのでご安心ください。
また、痔の手術には根治性を保ちつつ、体に負担をかけない治療法があるので、日帰り手術を行うことが可能です。
痔の状態にもよりますが、長期休暇を取ることなく、入院せずにその日のうちにご帰宅できる手術を選択することもできますので、一度ご相談いただけたらと思います。
Q10私は便秘症で排便時によくいきみます。最近では排便のたびにいぼのようなものが出るようになりました。
いぼ痔の治療は切ることなく治す方法があると聞きましたが、どのような治療なのでしょうか。
A10脱出する内痔核の治療にはジオン注という硬化剤をいぼ(内痔核)に対して注射して治す硬化療法が可能です。この治療では、いぼを切除することなく治療できるので、痛みが少なく、日帰りによる治療が可能です。
しかも従来では手術でしか治すことのできなかった重度の内痔核に対しても効果が認められたため、最近では急速に普及されている治療法です。ただし、すべての内痔核に適応できるわけではないため、専門医と相談の上、最適な治療法を決めるのがよいでしょう。