乳がんについて
乳がん

現在、乳がんと診断される女性は年間で4万人にのぼると言われております。また罹患率だけでなく、乳がんによる死亡率も上昇しております。
乳がんに関しては30代から増加し始め、40代後半から50代前半の女性に特に多く見られる傾向にあります。また乳がんは女性の病気と思われがちですが、男性でも発症します。
現在では、日帰り手術も可能になってきました。欧米ではほとんどのケースで日帰り手術が行われています。乳がんは何よりも早期発見が大切です。40歳を過ぎたら2年に1回は検査を受けるようにしましょう。
乳がんの症状について
乳がんの原因
乳がんの原因は、はっきりとしていませんが、考えられているのは、エストロゲンという女性ホルモンです。この女性ホルモンに関与しているものとして以下のようなことが挙げられます。
食生活の欧米化・肥満

食生活が欧米化してきたことで、動物性脂肪の多い食事が増えて、それに伴い肥満になる方も増ええきました。肥満の方は、体重が重いぶん、脂肪量も多くなります。脂肪には女性ホルモンも蓄えられており、脂肪が多いほどホルモンの量も増え、乳がんを招く要因となると考えられています。
アルコールの過剰摂取

アルコールの摂取により、乳がんのリスクが高くなるとも言われております。1日1杯程度であれば、問題ないとされていますが、それ以上の量はできるだけ控えましょう。
出産経験

出産経験がなかったり、高齢出産をした場合は、乳がんのリスクが高くなると言われております。特に出産経験がない場合、妊娠中に分泌される黄体ホルモンが減少し、エストロゲンにさらされる期間が長くなることが原因の一つと言われております。その分、初産年齢が低い人ほど、乳がんのリスクは低いというデータもあります。
乳がんの症状
乳がんの主な症状についてご紹介します。
乳房のしこり
乳がんが発達し、大きくなると、自分で注意深く触ってみることでしこりができているのがわかるようになります。しかし、しこりがあるからと言って必ずしも乳がんであるとも限りません。乳腺症や線維腺腫の可能性もあります。しかりに気づいた場合は検査を受けましょう。
皮膚の変化
乳がんが乳房付近まで進行すると、エクボのようなくぼみができたり、乳頭や乳輪部分に湿疹ができたり、オレンジの皮にように赤くはれ上がったりすることがあります。またしこりがはっきりせず、痛みや熱を伴う場合は炎症性乳がんと言います。
リンパ節の腫れ
乳がんは、わき下の腋窩(えきか)リンパ節、胸骨付近にある内胸リンパ節、鎖骨の上下にある鎖骨上リンパ節・鎖骨下リンパ節に転移しやすいです。これらのリンパ節は領域リンパ節と呼ばれています。リンパ節が腫れることリンパ液の流れが止まってしまい、腕がむくんだり、しびれが生じます。
遠隔転移の症状
転移した臓器によって症状は異なります。症状がないこともあります。領域リンパ節以外のリンパ節に転移することを、遠隔リンパ転移と言います。背中や肩、腰に痛みが続く場合は、骨への転移の可能性があり、骨折を起こす場合もあります(病的骨折)。肺に転移した場合は咳が出たり、呼吸が苦しくなります。肝臓に転移した場合は、症状はでにくいですが、肝臓が大きくなることで、お腹がはったり、食欲低下がみられます。痛みや横断がおこることもあります。
乳がんの手術方法について
乳がんの治療は、手術や放射線療法、睾丸治療などがあります。早期のがんであれば日帰り手術が可能です。
手術療法
手法 | 内容 |
---|---|
乳房温存手術 | しこりを含む乳腺の一部分を切除する方法です。乳頭を中心に扇形に、もしくはしこりの周囲を円形に切除します。しこりの大きさや数によっては適応できない場合があります。 |
胸筋温存乳房切除術 | 最も一般的に行われている乳がんの手術方法です。しこりを含んだ乳房とわきの下のリンパ節を切除します。大胸筋と小胸筋を残すオーチンクロス法と、大胸筋だけを残すペティ法があります。 |
皮下全乳腺切除術 | 乳頭を含む乳腺を全切除し、できるだけ皮膚を残す手法です。胸筋温存乳房切除術との違いは、こちらは乳腺だけを取り除きます。 |
腋窩リンパ節廓清(かくせい) | 腋窩リンパ節廓清とは、乳がんの手術と同時に、わきの下のリンパ節を取り除くことです。こうすることで、がんの転移の有無を調べることができ、また転移していた場合も再発を防ぐことができます。 |
センチネルリンパ節生検 | 腋窩リンパ節廓清とは、乳がんの手術と同時に、わきの下のリンパ節を取り除くことです。こうすることで、がんの転移の有無を調べることができ、また転移していた場合も再発を防ぐことができます。 |
治療の流れ
1初診
問診・診察を行います。
2検査
CT検査、X線検査等を行い、乳がんの状態を調べます。
3検査結果の説明・治療方針決定
検査結果と今の病状について説明を聞きます。その後、治療方針を決めていきます。
4治療・手術
手術は日帰りか入院かは医院によって異なります。入院する場合は手術前日からすることもあります。
5術後
日帰り手術の場合、休憩をした後、手術の結果の説明を受けてご帰宅いただけます。入院している場合は自室に戻ります。入院期間はおおよそ1週間ほどです。
6リハビリ・退院
術後は傷部分のガーゼ交換や腕のリハビリを行います。
治療費について
乳がんの手術は保険適応です。
治療法 | 保険適用 | 治療費(3割負担) | 入院する場合(3割負担) |
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手術 | ○ | 10万円前後 | 20万円前後 |
※入院日数により、費用は異なります。
高額療養費制度
乳がんの治療は、高額療養費制度の対象になります。1ヶ月分の医療費の負担額が限度額に達した場合、超過分が変換されます。ただし入院費用は対象外になります。
任意保険の手術給付金について
乳がんの手術をおこなった場合、給付金を受け取ることができる場合があります。任意の保険会社により詳細は異なりますので、事前に給付金が受け取れるか確認しましょう。