2016.04.14

痛みは大丈夫?医師が教える下肢静脈瘤のレーザー治療と手術費用

この記事の監修ドクター

監修ドクター
医療法人社団暁心会 品川ハートメディカルクリニック
末石 通暁 医師

東京都港区高輪2丁目15-11

050-5828-4779

http://www.1day-surgery.com/top_30943.html

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下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足のむくみや、だるさ、人によっては若干の痛みを感じる症状です。下肢静脈瘤のいやなところは症状よりもその見た目・・・

血管がボコボコと浮かび上がってしまい、非常に気になる見た目になってしまうのです。下肢静脈瘤の治療は大きく分けると以下の5種類があります。

・保存的治療
・硬化療法
・高位結紮術
・ストリッピング手術
・レーザー治療(血管内治療)

治療法毎に保険、治療費、適している症状が異なります。今回は伏在型の下肢静脈瘤(ふくざいがた:肌の表面の血管ではなく、伏在静脈に異常がでる下肢静脈瘤)に効果的と考えられている「レーザー治療」の手術に関し、詳細、参考費用を説明したいと思います。

※掲載内容に関しては、専門の医師に監修いただいております。


下肢静脈瘤のレーザー治療が必要な症状

 

2011年にレーザー治療が一部保険適用になったことで、近年ではレーザー治療を希望する患者様が増加の傾向にあります。もともと下肢静脈瘤の治療には全身麻酔や下半身麻酔を使っていたので、入院が必要でしたが、最近では麻酔や医療機器の進歩もあり、入院の必要がない、日帰り手術も普及しているので比較的治療が受けやすくなりました。

下肢静脈瘤には大きく分けて、以下4つの種類があります。

・伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)
・側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)
・網目状静脈瘤(あみめじょうじょうみゃくりゅう)
・クモの巣状静脈瘤
この内、レーザー治療が必要な症状は、「伏在静脈瘤」に属する、「大伏在静脈瘤」「小伏在静脈瘤」の症状です。

下肢静脈瘤のレーザー手術内容(日帰り手術が可能)

レーザー手術の内容について説明します。

まず、麻酔をかけるのですが、局所麻酔のみで手術を行う病院もあれば、局所麻酔と静脈麻酔(かるい全身麻酔)をあわせてかける病院もあります。麻酔に対し不安がある場合は事前に医師としっかり話し合い、手術の進め方を把握しておきましょう。

麻酔をかけたら、膝の辺りから針を刺し、静脈瘤の中にレーザーファイバーを通します(穿刺法)。そして、血液の逆流をおこしている血管を内側から焼いて閉塞(へいそく)します。この方法では傷口も小さくみますし、手術時間も15~30分ほどなので、身体への負担も少なく下肢静脈瘤の治療をおこなうことができます。

ただし、症状によってはレーザー手術が適さない場合があります。レーザー手術(血管内治療)は伏在静脈瘤に適した治療方法です。他の症状の場合は別の治療方法で治療を行う場合もあります。治療を受ける際には、きちんと医師からお話を聞きましょう。


レーザー手術とストリッピング手術の違い

レーザー手術(血管内治療)

[良い点]
・手術時間が短い
・保険適応
・針を刺すだけで切開の必要がなく、傷痕が残らない
・ストリッピング手術に比べて術後の出血や痛みが少ない
・再発率、合併症の可能性が少ない
・局所麻酔でできるため入院の必要がない(日帰り手術が可能)
・手術後、歩いて帰宅できる

[検討が必要な点]
・比較的新しい治療なので長期的な治療成績データが他の治療に比べて少ない。
※各医療機関からの情報から再発率は最新のレーザー1470nmや高周波では、再発率が非常に低いと報告があります。

・認可されていないレーザーだと自費診療になる
※レーザー手術が保険適用になったので、自費診療のレーザーで治療を行っている医療機関は少なくなりました。

ストリッピング手術(血管抜去)

[良い点]
・レーザー同様に再発率が低い
・保険適応
・局所麻酔で日帰りが可能
・治療成績が安定している、長年治療方法として採用されてきた。

[検討が必要な点]
・入院が必要になる場合がある
・切開を行うため、傷が残る
・皮下出血や神経障害の後遺症が起こる
※これらの症状は、手術後数日で治っていきます。



下肢静脈瘤レーザー治療(血管内治療)のこれまでの経緯

日本では、下肢静脈瘤の血管内治療としてレーザー手術が行われるようになったのは、2002年に初めてレーザー治療が行われました。それまでは、ストリッピング手術が主流でした。そこから自費診療であればレーザー手術で下肢静脈瘤の治療は行えましたが、治療費が高額なためなかなか普及しませんでした。

2011年1月からElvesレーザー980nmが保険適用になりました。

980nmレーザー

2011年1月から保険適用となったレーザーです。最新のELVesレーザー1470nmと比較すると、手術後の痛みや皮下出血等が強かったようです。長く治療を行っている医療機関の先生方からは、症例によっては、ストリッピング手術の方が、手術後の副作用が少ないケースもあると言われておりました。ただ、手術時に切開を必要としないレーザー手術は、このレーザーが保険適用になったことで、採用されるケースが増えてきました。

2014年5月からELVesレーザー1470nmが保険適応になりました。

1470nmレーザーレーザーファイバー

ELVesレーザー980の後継機となります。2014年5月から保険適用になり、治療にかかる時間がさらに短くなりました。また、レーザーの波長が1470nmであることで、血管内治療をより効率よく行えるようになったと言われております。血管内治療は、レーザーの波長を水と血液が吸収して、その吸収した水と血液がレーザーのエネルギーを熱に変換して血管内を焼いていきます。1470nmの波長は、水と血液に非常によく吸収され、静脈だけをしっかりと焼く事ができます。それに加え、レーザーファイバーが先端からではなく、側面から照射されるようになったので、360度血管内を均一に焼きやすくなりました。その結果、治療時間や再発率がさらに改善されたと言われております。現在では、1470nmレーザー手術(血管内治療)が下肢静脈瘤の伏在静脈型では主流となっております。今までの手術方法から、血管内治療が主流になってきたのは、手術後の痛みや皮下出血の症状が少なく、治療結果が良いから考えられており、また多数の症例が報告されているようです。

2014年6月から高周波治療が保険適応になりました。

高周波機器

こちらも2014年6月から保険適用となった高周波カテーテル治療(血管内治療)の機器です。1470nmレーザーと高周波カテーテル治療が現在の下肢静脈瘤の伏在静脈型の手術の主流となってきております。局所麻酔、日帰り手術、手術時間、手術後の痛み・皮下出血において血管内治療が最適と考えられるようになってきております。専門の医師に聞いたところ、1470nmレーザーと高周波カテーテル治療では、ほとんど差がなく手術は行えるようで、あとは医師の技術による差が出てくるそうです。


手術費用と保険適応

下肢静脈瘤のレーザー手術は保険適用のものと、適用外の自費のものがあります。保険診療として行うには、薬事承認されたレーザー機器であること、レーザー治療の学会に認定された医師、及び施設であることが条件になります。

また、近年は保険会社が「手術給付金」の支払い対象としている場合もおおいので手術を受ける際には加入している保険プランについても確認しましょう。

また、症状によっては「高額医療費」の対象となる場合もございます。自身の症状、状況をしっかり把握し、「手術給付金」「高額医療費」を受け取る資格があるのか否か把握しましょう。

保険適用レーザー手術(血管内治療)の費用

3割負担の場合
片足:約40,000~50,000円(3割負担)

両足:約80,000~100,000円(3割負担)

自費レーザー手術の費用

片足:約200,000~円
両足:約400,000~円
※保険適用のレーザー手術が2011年からできるようになり、ほとんど行われておりません。

治療後の痛みや後遺症は?

治療後の痛み

下肢静脈瘤のレーザー手術で治療した後に痛みや出血はあるか? というご質問がおおくよせられます。基本的に痛みも出血もほとんどないです。手術した当日は包帯、または弾性ストッキングで足を固定し安静にします。

治療後の後遺症

静脈瘤の位置によっては、近くに神経が走っていて、それに障ってしまうと足が痺れるなどの後遺症がのこる可能性があります。ですが、このような後遺症が残る可能性は極めて稀です。


再発リスクと再発予防対策

再発リスク

下肢静脈瘤は治療法によって再発する確率が異なります。

硬化療法の場合は、治療する部位にもよりますが、20~30%ほどで、再発する場合は術後半年以内に症状がみられる場合がおおいです。

ストリッピング手術の場合は静脈ごと取り除いてしまうので確率はグッとさがって1.6%ほどです。

レーザー手術の場合、静脈瘤を焼いてしまうので、再発の可能性は低く、ストリッピングと同じで1.6%ほどです。

再発予防策

下肢静脈瘤は静脈にある弁に異常がおきることで発症する病気です。その為、再発しないようにするには静脈を健康な状態に保つ必要があります。

[弾性ストッキング]

下肢静脈瘤予防の最重要アイテムといっても過言でないのが「弾性ストッキング」です。弾性ストッキングは、足首の部分を強く圧迫し、上に向かうほど圧迫が弱くなるつくりになっているため、静脈に流れる血液が下から上に流れやすくなるのです。

そのため、日頃から使い続けることで、足のむくみ、だるさなどの下肢静脈瘤の原因となる症状を改善する効果があります。また弾性ストッキングは、ふくらはぎの「筋ポンプ作用」を助ける効果があります。

ふくらはぎの「筋ポンプ作用」は足の先に運ばれた血液を心臓に戻す動きをする作用です。長期間運動などせず、ふくらはぎを使わないでいると、この作用が弱まり、足の血管内に血液が溜まりやすくなるのですが弾性ストッキングが筋ポンプ作用を助けることで改善することができます。

女性や、高齢者などの筋力の少ない方にとって弾性ストッキングは欠かせない存在なのです。

[トレーニングで足を鍛える]

足を鍛えてふくらはぎを鍛えることで、筋ポンプ作用も鍛えることが可能です。そうすることで血液が溜まりにくくなり、下肢静脈瘤を予防することができます。

トレーニングは短期間で結果のでるものではありません。定期的にトレーニングすることで健康的なふくらはぎを維持しましょう。

[身体を締め付けるような衣服の着用を避ける]

特に女性に注意してほしいのですが、ガードルやジーンズなどの体を締め付ける衣服を好んで着用する方は要注意です。

締め付けることで血行が悪くなってしまったり、筋ポンプ作用が低下することで、足に降りてきた血液が心臓に戻りづらくなり、下肢静脈瘤を発症してしまうのです。1度下肢静脈瘤になった経験がある人は、すこし大きめのゆったりした衣服を好んで着用するようにしましょう。


まとめ

では最後に下肢静脈瘤のレーザー手術(血管内治療)についておさらいしましょう。

下肢静脈瘤には、大きく分けて、伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)、側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)網目状静脈瘤(あみめじょうじょうみゃくりゅう)、クモの巣状静脈瘤の4つの種類があり、治療法も保存的治療、硬化療法、高位結紮術、ストリッピング手術、血管内治療の5種類があります。

レーザー手術は血管内治療にあたり、伏在静脈瘤の治療に適しています。2011年より保険も適用されるようになりました。手術と治療前に自身の状態、適切な治療法について医師とよく相談しましょう。

レーザー手術(血管内治療)の場合、痛みや出血を伴ったりすることはほとんどありません。また、後遺症が残る場合や、同じ静脈から再発することも稀です。また、日帰り手術が可能で、手術後もすぐに歩いて帰宅できます。治療をお考えの方は、ご検討してみてはいかがでしょうか。

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