2017.02.10

耳に石!実はめまいの原因かも…症状の改善や治療方法は?

この記事の監修ドクター

監修ドクター
たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

075-752-3387

http://www.tatemoto.jp/

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めまい

突然、目の前がグルグル回るめまいは、とても恐ろしい印象があります。
めまいには重大な病気の症状として現れる場合もありますが、症状が強くてもそれほど心配がいらないめまいも存在します。

耳の中には耳石という石があって、それが身体の動きなどの情報を脳に伝えています。
この耳石が原因になってめまいが起こるのは良性発作性頭位めまい症です。

病名に「良性」と入っていることからもわかるように、これはそれほど心配がいらないめまいです。
ただし、専門的な検査を受けなければ、めまいの原因となっている病気はわかりませんので、症状があったら受診する必要があります。

めまいの症状はとてもつらいものですし、日常生活に支障も出てきます。耳石によるめまいであれば治療によって早く治癒できるケースは珍しくありません。そこで、耳石によるめまいの原因、対処法、検査や治療から予防までをご紹介します。



耳石が原因で起こるめまい ~こんな症状ではありませんか?~

ぐるぐる

頭を動かした時にめまいが起こったら、耳石によるめまいである「良性発作性頭位めまい症」の可能性があります。

突然、世界がグルグル回りだした
目が回って立っていられない
目が回って吐き気がする
頭を傾けた拍子にめまいが起こる
起き上がった時に立ちくらみがする
リクライニングシートを倒した時や戻した時にめまいがある
振り返ったり、寝返りを打った時に浮遊感がある
船に乗っているようにグラグラする
揺れていないのに地震が起きているように感じる
かなり強いめまいがあるが意識を失うことはない
しばらくじっとしていれば、めまいがおさまる

良性発作性頭位めまい症の場合、世界が猛スピードで回転しているように感じる激しいめまいの場合もあれば、ちょっとした浮遊感や立ちくらみのように感じる弱いめまいが起こることもあります。
症状の持続時間は数秒から数十秒であり、長くても1分でおさまります。
シャンプーの時のように頭を少し下向きにしたり、棚のものを取る際に上を向いてめまいが起こることもあり、めまいが強いと日常生活に大きな影響を与えます。
耳鳴りや難聴などの症状をともなっていたら、良性発作性頭位めまい症ではなくメニエール病の可能性があります。
めまいは眼科ではなく耳鼻咽喉科が専門的な検査や治療を行っており、良性発作性頭位めまい症やメニエール病は耳鼻咽喉科で診療を受けられます。

ただし、めまいだけでなく、ろれつが回らなくなる、手足を動かしにくい、意識がなくなるなどの症状もある場合は脳が原因のめまいという可能性がありますので、脳外科や内科の診察を受けてください。

耳石によるめまいで考えられる原因と可能性のある病気

めまいは、耳に原因がある場合と、脳に原因がある場合とがあり、めまいを起こす病気は20種類以上あります。
そのため、正確な診断がとても重要になってきます。耳石が起こすめまいには耳にある器官が関係しています。
めまいで受診する方の中でいちばん多いのが、耳石による良性発作性頭位めまい症です。

耳の役割

耳は音を聞くという機能を持っていますが、もうひとつ重要な役割を持っています。
それは身体のバランスを保つための平衡感覚をつかさどることです。
平衡感覚は耳の奥にある三半規管と耳石器の働きによってもたらされています。

三半規管と耳石器

平衡感覚は、耳の中にある半規管、卵黄嚢(らんおうのう)、球形嚢(きゅうけいのう)が担っている感覚です。
三半規管には輪状の半規管が3つあり、その根元に耳石器があります。

耳石器には卵黄嚢と球形嚢があり、その上に0.3㎜程度と砂粒のように細かい耳石が無数にあります。
耳石は炭酸カルシウムを主成分としており、卵黄嚢と球形嚢のゼラチン質でできた膜の上に乗っています。

顔や身体の動きにより耳石が動くと、卵黄嚢と球形嚢の有毛細胞がそれを感知してその情報が脳に送られます。
一方、半規管は、動いたときに慣性の法則でとどまろうとするリンパ液の動きを有毛細胞が感知して、情報を脳に送ります。

3つの半規管はお互いが垂直になっているので、どの角度の動きでもキャッチすることができます。
卵黄嚢と球形嚢は直線的な動きを、半規管は回転を感知します。
この耳石器と三半規管からの情報と、目から入ってきた情報により、傾きの角度、スピード、回転などの動きを脳が総合的に判断しています。

良性発作性頭位めまい症が起こるメカニズム

良性発作性頭位めまい症は、耳石器にある耳石がはがれ、それが半規管に入ってしまうことで起こるとされています。
入り込んだ耳石が半規管のリンパ液を刺激して、身体は回転していないのに回転しているという誤った情報が脳に送られてしまいます。

すると、半規管からの情報と目から入ってくる情報が食い違ってしまうため、めまいが起こっていると考えられています。
耳石がはがれるのは、外傷などの衝撃やカルシウム不足、加齢による変性などが理由だと言われており、中耳炎など内耳に感染があるとリスクが高まる傾向があります。入り込んだ耳石を半規管から出すことができればめまいは解消します。


耳石が原因でめまいが起きた時の対処法

横になる

良性発作性頭位めまい症であれば、症状は短時間でおさまりますし、何度か繰り返しても数週間でめまいが自然に消えていくことがほとんどです。
ただし、ほかの病気によって起こっている可能性がありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
また、良性発作性頭位めまい症である場合、頭位治療で耳石がうまく出れば1回の受診で治ってしまうこともあります。
また、早めに受診することで強いめまい症状を出さずによくなる可能性も高くなります。
良性発作性頭位めまい症は、かなり激しいめまいが起こることがあります。
とても怖く感じると思いますが、良性発作性頭位めまい症と診断されているならそれほど心配する必要はありません。
吐き気があるなどで横になって休む場合、めまいの症状が軽くなる頭の向きを探して、できるだけ楽な姿勢をとってください。
めまいの症状が軽い場合、積極的に身体を動かすことで症状を解消できる場合もありますが、逆に強いめまいに襲われることもありますので注意しましょう。

良性発作性頭位めまい症では、頭を動かすことでめまい発作が起こります。
目を開けていられないほど激しいめまいが起こることもありますので、完全に治るまでは車や自転車の運転を控えましょう。

耳石が原因で起こるめまいの検査と治療

めまいの症状があったらまず耳鼻咽喉科を受診します。
めまいは耳か脳に原因があって起こりますが、耳に原因があるめまいの方が多く、耳鼻咽喉科ではめまいの専門的な検査を受けることができるからです。
耳に原因がないことがわかったら、脳外科や内科でめまいを専門的に診療している医療機関を紹介してもらいます。

めまいの検査

めまいの起きた時の状況や、持続時間、ほかの症状がないか、そして既往症や飲んでいる薬などについて問診時にくわしく医師に伝えます。
症状の特徴により良性発作性頭位めまい症であることは耳鼻咽喉科の専門医であればある程度予測できますが、念のためほかの病気がないか聴力検査、レントゲン検査、血液検査、眼振(がんしん)検査などを行います。眼振検査は、めまいに特有な眼の動きをみる検査です。
ただし頸椎異常の既往症があったり、その可能性がある場合には眼振検査を行わないこともあります。

良性発作性頭位めまい症の治療

耳石を移動させてめまいを解消させるために、頭や上半身を動かしながら行う頭位治療を行います。
この治療がうまくいけば、その場で良性発作性頭位めまい症は治ってしまいます。
この頭位治療は60~80%に有効だとされていますが、耳石の位置などにより効果がない場合もあります。
また、治療中に激しいめまいが起こる場合もありますので、体調などを考慮して行わないという選択肢もあります。
なお頭位治療後、めまいの症状が消えても浮遊感やふらつきなどの症状がしばらく残ることがあります。

頭位治療は半規管に入ってしまった耳石を元の耳石器に戻すためのものです。
耳石が移動する際に強いめまいが現れますが、うまく出すことができればそれでめまいは完全に解消します。
3つの半規管は互いが垂直になっており、それが左右にありますので、単純に頭を回すだけではめまいがひどくなるだけで、なかなかうまく耳石が出てくれません。

内耳前庭器の解剖や生理、中でも前庭動眼反射について専門的な知識を持った耳鼻咽喉科専門医が頭位治療の決められたメソッドに従って動かし、様子を観察しながら行う必要があります。また頭位治療のほか、平衡訓練を行うことで症状が軽くなることもあります。
強いめまいがある間は、抗めまい薬,抗不安薬,血管拡張薬などめまいの症状を和らげる薬を用いた治療を行うこともあります。

メニエール病と良性発作性頭位めまい症

内科で「メニエール病」と言われて耳鼻咽喉科を受診し、専門的な検査を受けてみると良性発作性頭位めまい症をはじめとするほかの病気が原因で起きているめまいだったことがわかるケースもよくあります。
メニエール病の場合、利尿剤を使って内耳のリンパ液が溜まり過ぎないようにしますが、良性発作性頭位めまい症の場合、そうした治療を行っても効果はありません。めまいの症状があったら専門医による検査と診断を受けることが重要です。


耳石が原因で起こるめまいの予防

良性発作性頭位めまい症の原因は、頭部に受けた外傷やカルシウム不足、加齢による変性、ストレスや疲れなどだとされていますが、まだよくわかっていません。そのため、はっきり効果のある予防法というより、発症リスクを下げるための予防についてご紹介します。

症状がある場合

症状を起こす側がどちらかわかっている場合、横になるときにそちらを上にするとめまいが起こりにくくなります。

平衡訓練を受ける

耳鼻咽喉科では平衡感覚を鍛える平衡訓練を受けることができます。平衡訓練を受けると、めまいの症状を軽減できたり、発症を減らせる効果が期待できます。

疲れやストレスをためないように心がける

よく寝る

良性発作性頭位めまい症の原因には疲れや睡眠不足、ストレスが関係しているとされています。
睡眠をたっぷりとって、疲れやストレスを上手に解消しましょう。

内耳の疾病を治療する

耳に炎症があると、良性発作性頭位めまい症の発症リスクが高まる傾向があるため、中耳炎などの治療をしっかり受けてきちんと治しましょう。中耳炎には、痛みなどの症状なく進行していくものもあるので、聞こえにくさなどがあったら耳鼻咽喉科を受診してみましょう。

カルシウムをしっかり摂りましょう

カルシウム

良性発作性頭位めまい症にはカルシウム不足も原因になっているのではと言われています。
日本人の食生活では、1日に必要なカルシウムを摂りきれていないことがよく指摘されています。
小魚や乳製品などを食事に取り入れて、意識してカルシウムを多く摂取するようにしましょう。

耳石が原因で起こるめまいのポイントまとめ

良性発作性頭位めまい症は激しいめまいが起こることがありますが、めまいの持続時間が短く、ほとんどが数週間から数ヶ月で自然治癒するため、それほど心配する必要がある病気ではありません。
ただし、めまいの症状が起こる病気にはさまざまなものがあり、中には危険な病気も含まれています。

めまいというと目の症状のように感じますが、めまいの多くは耳の問題によって起こっています。
そのため、耳鼻咽喉科ではめまいを専門的に検査して治療することが可能ですし、原因が耳以外であれば適切な医療機関の紹介を受けられます。めまいの症状があったら、必ず耳鼻咽喉科の診察を受けましょう。

また、良性発作性頭位めまい症は日常生活に大きな支障を及ぼす可能性があります。
頭の角度によりめまいの発作が起こるので、車や自転車の運転は危険ですし、階段の上り下りにも注意が必要になってきます。
耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることで、症状が長引くのを抑えたり、早く治すことができる場合も可能性も高まります。



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