2016.03.28

これでワキ汗も安心!医師が教える脇汗(腋窩)多汗症の原因と治療方法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
二光クリニック
大西 克幸 医師

愛媛県伊予郡砥部町砥部町大南457番地1

050-5282-3815

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腋窩

多汗症は体の特定の部位が集中的に多量の汗をかいてしまう病気です。汗は人間の体の体温を調整する重要な役割を担っており、汗をかかない人はいません。ですが、多汗症を発症すると周りの人から注目されるほど汗をかいてしまいます。症状がひどいと汗をしたたるほどかくこともあります。このような症状は50人に1人の割合で発症しており、とても身近な病気です。

脇汗(腋窩)多汗症は、脇から多量の汗をかいてしまう病気です。脇汗は非常に目立つため人知れず悩みを抱えている方は沢山います。また、ワキガと脇汗(腋窩)多汗症を同じ病気だと勘違いしている人もいますがこの2つは全く別の症状です。今回は脇汗(腋窩)多汗症について発症してしまう原因、治療方法を中心に説明したいと思います。

※掲載内容に関しては、専門の医師に監修いただいております。



脇汗(腋窩)多汗症とは

脇汗(腋窩)多汗症は、脇に集中して多量の汗をかいてしまう病気です。脇からは多量に汗をかくのに対し、背中、ふともも、胸、お腹など他の部位からは余り汗をかかないのも特徴です。汗をかいてしまうきっかけは運動、気温、緊張など様々です。

本来であれば全身のいたる部位から流れるはずの汗が、脇から集中して流れるため多量になります。症状がひどい人は、衣服が水をかけられたのか?と思うほどに濡れてしまうこともあります。
とはいえ、脇汗(腋窩)多汗症の症状は多量の汗をかくことなので、治療をせずに放置しても命に関わるようなことはありません。「所詮は汗」と治療せずに放置する人もいます。しかし、脇汗(腋窩)多汗症で精神的に悩んでしまう人もいます。

特に少年少女期、青年期は周囲の目が気になる年頃なので、脇汗が気になって塞ぎこんでしまったり、周囲とのコミュニケーションを避けたりします。また、就職する際には美容師や、看護師のようなお客さん、患者さんと積極的にコミュニケーションを図る仕事は避けたい・・・と考えてしまう人もいます。

脇汗(腋窩)多汗症・ワキガは周囲に相談しづらく、自分1人で悩みを抱え込んでしまう人もいるので、もし、自分の子供が脇汗(腋窩)多汗症・ワキガの疑いがあるようでしたら気にかけてあげるようにしてください。

脇汗(腋窩)多汗症とワキガとの違い

脇汗多汗症とワキガの違いは明確です。判断するポイントは「汗の量」と「臭い」です。

人は「汗腺」と呼ばれる器官から汗をかきます。そして、人間には2種類の汗腺があります。脇汗多汗症とワキガでは原因となる汗腺も違います。

アポクリン汗腺はワキガの原因

アポクリン汗腺は耳の穴、脇、下腹部等、体毛が生える場所にある汗腺です。アポクリン汗腺から流れる汗自体には臭いはありません。ですが、この汗が毛穴から出る皮脂と交わると細菌が発生します。この細菌がワキガ特有の嫌な臭いを発生させるのです。

黄色い汗染みを発生させているのもこのアポクリン汗腺から流れる汗です。

エクリン汗腺は脇汗(腋窩)多汗症の原因

エクリン汗腺の役割は、汗を流し、体温調整を行うことです。その為、エクリン汗腺は全身にあります。エクリン汗腺から流れる汗も無臭です。ですが、一部のエクリン汗腺が発達してしまうと、その部分から集中的に汗をかくようになってしまいます。この症状が脇にみられることがあります。この状態が脇汗(腋窩)多汗症なのです。

脇汗(腋窩)多汗症とワキガは同時に発症することもある

前述したように脇汗(腋窩)多汗症とワキガは症状、原因ともに異なります。汗の量と、臭いは関連しておらず、まったく別の病気です。しかし、この2つは同時に発症することがあります。その為、[脇汗をかく人=ワキガ]といったイメージが浸透してしまっているのです。

日本人は欧米人と比較し、ワキガの人が少ないです。その為、ワキガがより目立ってしまいます。また多量の汗をかくと臭いが拡散しやすくなってしまう為、余計に目立ってしまいます。どちらかの症状で悩んでいるようでしたら1度医療機関でカウンセリングだけでも受けてみてはどうでしょうか。

脇汗(腋窩)多汗症の原因

前述しましたが、汗は汗腺という器官からながれます。そして人間には「アポクリン汗腺」と「エクリン汗腺」の2つの汗腺があります。

脇汗(腋窩)多汗症の原因は「エクリン汗腺」にあります。エクリン汗腺の役割は汗を流し、体温調整をすることです。エクリン汗腺は全身にあるので、本来であれば均一に汗を流します。ですが、一部のエクリン汗腺が発達してしまうと、その部分だけ局所的に汗をかいてしまうのです。さらに、運動、気温、緊張などの要因が加わることで汗をかきやすくなります。

この状態が「脇汗(腋窩)多汗症」です。

脇汗多汗症は体質的な要因と、精神的な要因、2つの要因が引きおこす病気です。その為、生活環境が変わってしまうことで一時的に脇汗(腋窩)多汗症を引きおこしてしまうようなこともあります。このような多汗症は環境に順応することで改善することもあります。なので「脇汗(腋窩)多汗症かな?」と思っても、少し様子を伺うことも必要です。

こんな症状は脇汗(腋窩)多汗症かも

脇汗(腋窩)多汗症と汗っかきをはっきり区別するのは難しいです。今回は脇汗(腋窩)多汗症と判断する要素を紹介します。

・汗が止まらない

特別暑い場所にいるわけでもない、運動をしたわけでもない、なのに汗が1日中とまらない。暑い場所、運動後の発汗は脇汗多汗症でなくても当然の現象です。なんでもないのに汗が止まらない状態は脇汗(腋窩)多汗症を疑う必要があります。

・緊張すると汗が止まらない

日常生活ではあまり汗をかかないのに、重要な場面に直面して緊張してしまうと、とたんに汗が止まらない。これは精神的な問題からくる脇汗多汗症かもしれません。



脇汗(腋窩)多汗症の治療方法

脇汗多汗症の治療方法脇汗(腋窩)多汗症の症状は薬で抑えられないのか、手術は保険が適用されるのか、こういった質問をよくされます。

脇汗(腋窩)多汗症は前述しましたが命に関わる病気ではありません。治療は必ず必要なわけではなく、どうしても症状を改善したい人が選ぶ方法です。ですが、捻挫や風邪のように放置することで症状が改善することは決してありません。その為、改善には医療機関による処置が必須なのです。

ここでは脇汗(腋窩)多汗症の治療について説明します。

薬による治療

脇汗多汗症の治療には薬が用いられることがあります。薬には内服薬、外用薬塗布等ありますが、いずれも問題を根本から解決することは難しく、薬による完治は困難です。完治には手術が必要になります。

内視鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)

ETS手術内視鏡下胸部交感神経遮断術
脇汗(腋窩)多汗症に限らず、多汗症の治療は以前から様々な方法が試されてきましたが、いずれも満足いく効果が得られないものばかりでした。

試行錯誤される中、欧米では内視鏡を使った開胸手術が注目されだしていましたが、日本では「汗を止めるために大掛かりな手術までするのは・・・」という考え方が残っていました。

しかし、近年では欧米の考え方が日本でも復旧しだし、内視鏡を使用した下胸部交感神経遮断術(ETS)が脇汗(腋窩)多汗症の治療に活用されています。

内視鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)は脇に2mmほどの小さな穴をあけて、ファイバースコープをつかいモニターで確認しながら、交感神経核、神経線維の切除、ブロックが行われる手術方法です。脇を切開するというよりも、注射をする感覚に近いと思います。手術でつく傷は非常に小さいので身体的な負担が少なくすむうえ、片脇ずつですが日帰りで手術が可能な手術方法です。

また、以前は保険適応外でしたが、現在は保険適応の手術となっております。
保険適応になったこともあり、現在では多汗症の治療で一番主流となっている治療方法です。

反転剪除法(はんてんせんじょほう)

皮膚を脇のしわに合わせて切開し、切開した皮膚を裏返した後に、汗腺を医師が目視で切除していく手術方法です。手術の際には汗腺と一緒に毛根も切除してしまうので、毛が薄くなります。

反転剪除法は脇汗(腋窩)多汗症の原因になっている汗腺を切除してしいます。その為、症状が改善する可能性が高い方法です。脇汗(腋窩)多汗症の症状がひどく重かったり、手術の効果を実感したい場合に適切な手術方法です。

脇汗(腋窩)多汗症の手術である反転剪除法は保険が適用される場合があります。治療を受ける際に自身の症状は保険が適応されるのか確認してください。

吸引法

内視鏡下胸部交感神経遮断術、反転剪除法より比較的簡単な手術方法です。数ミリほどの小さな穴を脇の下に開けます。開けた穴に「カミューレ」と呼ばれる細い管を入れます。管を使って汗腺を吸引し、原因となっている汗腺を除去します。

手術にはメスが使われません。その為、手術で残る傷は最低限で済ますことができます。ですが、簡単な分、他の手術方法よりも効果が薄いので脇汗(腋窩)多汗症の症状が軽度な場合に適切な手術方法です。

代償性発汗について

前述したように、人は発汗することで体温を適切な温度に調整しています。その為、汗をかかなくなることはありません。脇から多量に流れていた汗を止めることで、他の部位から汗をかくようになります。

この症状は「代償性発汗」といい、脇汗(腋窩)多汗症を治療した人はほぼ必ずといっていいほど発症する症状です。代償性発汗で汗をかく場所は主に胸の下、背中、腹部、臀部といった部位です。多汗症の治療を行う場合は、代償性発汗の十分な理解が必要です。多汗症を患っている方は、他の部位からの汗に慣れておりませんので、十分な理解がないと、他の部位から出る汗のために治療を後悔する方(約1%)もいると聞いております。実は、暑い日や運動した後に全身から汗をかくのは普通の事ですが、多汗症の患者様は、今まで経験したことが少ない部位からの汗に困惑してしまう事があります。多汗症の治療を行う医師は、治療後に患者様が後悔しないように、代償性発汗の説明に非常に注意払って治療を行うようにしているそうです。

まとめ

以上が脇汗(腋窩)多汗症の原因と治療方法になります。

ポイントを箇条書でまとめます。

・多汗症は体の特定の部位が集中的に多量の汗をかいてしまう病気
・ワキガと脇汗多汗症は全く別の病気
・子供は悩みを打ち明けられず1人で塞ぎこんでしまうことがあるので注意が必要
・脇汗(腋窩)多汗症とワキガの判断ポイントは「汗の量」と「臭い」
・脇汗(腋窩)多汗症は「汗の量」に注目
・ワキガは「臭い」に注目
・脇汗(腋窩)多汗症とワキガを併発することもある
・根本的な治療には手術が必要
・代償性発汗について医師と納得するまでお話をしてから治療を受けるようにしてください。

手術にはリスクもあるので慎重に判断する必要があります。ですが、もし脇汗でお悩みでしたら1度カウンセリングだけでも受けてみはいかがでしょうか。



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