2017.02.03

目がかゆいのは病気かも?眼科の先生に聞いた原因と正しい対処法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

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目がかゆい

「目のかゆみ」は、おそらく誰もが日常的に感じたことのある、ごくありふれた症状だと思います。
一方で、目のかゆみは病気によっても発生し、時に人を悩ませます。
その代表格といえば、今や日本人の5人に1人がかかっているといわれる「花粉症」ですが、他にもさまざまな目の病気が目のかゆみに深く関係しているのです。

ここではそんな目のかゆみについて、その原因や考えられる病気から、対処法、検査や治療、さらには予防法までをご紹介していきます。


目がかゆい ~こんな症状ではありませんか?~

目のかゆみは、それだけであれば病気ではなく、ただの症状にすぎないのかもしれません。
しかし、そのかゆみをこじらせて目の病気にかかってしまったり、あるいは逆にそのかゆみの原因が実は病気だったりという可能性もあるのです。


ここではそんな目のかゆみに対する理解を深めるため、どうして目がかゆくなるのか、その仕組みや、症状の出方についてご紹介します。

目がかゆくなる仕組み

かゆい

人間の身体には、外から侵入してきたウイルスや細菌といった異物を体外に排除しようとする自己防衛システムが備わっています。
異物が侵入すると、その刺激を受けた細胞から「ヒスタミン」という物質が分泌され、炎症が発生します。
この炎症が警告となって、異物を排除しようとするシステムが活動を開始します。
この一連の働きを「免疫」といいます。そして、この免疫が痛みや腫れ、かゆみといったさまざまな症状をもたらすのです。


これは目においても同様で、目のかゆみもなんらかの異物が目に侵入することによって起きる免疫反応の1つということになります。

一方、本来なら異物と認識しなくても問題ないはずの物に対して免疫が過剰反応を起こしてしまうこともあります。
これを「アレルギー」といい、アレルギーとして起きた免疫反応もまた、目のかゆみを始めとするさまざまな症状として現れるのです。


このようなアレルギー反応が目において起きる場合のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)はいくつか知られていますが、その代表格が花粉症の原因となる花粉です。

かゆみの発生部位による違い

一口に目がかゆいといっても、眼球そのものがかゆい場合と、まぶたがかゆい場合があります。
眼球そのもののかゆみをともなう病気として多く見られるのが、白目の部分を覆っている「結膜」という透明な膜に炎症が起きる「結膜炎」です。

一方、まぶたのかゆみをともなう主な病気としては、いずれもまぶたが炎症にかかる「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」や「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」、「眼瞼炎(がんけんえん)」があります。
ただし、病気の種類によっては眼球とまぶたのどちらにもかゆみが発生する場合もあるので、自己判断に頼らず、まずは眼科できちんとかゆみの原因を特定してもらうことが重要といえるでしょう。


目のかゆみで考えられる原因と可能性のある病気

目のかゆみをともなう主な目の病気やそれ以外の原因をご紹介します。少しでも思い当たる症状があったら、眼科できちんと診断を受けることをおすすめします。

アレルギー性結膜炎

なんらかのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が目の表面に侵入することで起きる結膜炎です。
目のかゆみの他に、目の充血、涙や目やに、ゴロゴロとした異物感といった症状が現れます。


また、このタイプの結膜炎は、花粉などのように特定の時期にだけ身のまわりに現れるものが原因の「季節性アレルギー性結膜炎」と、ハウスダストやダニといった時期に関係なくいつでも身のまわりに存在するものが原因の「通年性アレルギー性結膜炎」に分けられます。
たとえば、目のかゆみが発生する病気の代表格ともいえる花粉症は季節性アレルギー性結膜炎にあたります。
また、最近では通年性アレルギー性結膜炎がコンタクトレンズの汚れによっても起きることがわかってきました。

ウイルス性結膜炎

アデノウイルスやヘルペスウイルスといったウイルスが目の表面に侵入することで起きる感染性の結膜炎です。
目のかゆみの他に、目の充血、涙や目やに、ゴロゴロとした異物感といった症状が現れます。


プールで感染することが知られている「はやり目(流行性角結膜炎)」もこれにあたります。
また、他の人への感染力が強いので、かかったあとも感染を広げないための注意が必要です。

細菌性結膜炎

黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌といった、主にふだんから身のまわりにも存在する細菌が目の表面に侵入することで起きる感染性の結膜炎です。
目のかゆみの他に、目の充血、涙や目やに、ゴロゴロとした異物感といった症状が現れます。

ウイルス性に比べると他の人への感染力は弱いのですが、免疫力の低い小さな子どもや高齢の方などがいる環境では感染を広げないための注意が必要です。

春季カタル

特に症状が重いとされるアレルギー性結膜炎の一種で、なんらかのアレルゲンが目の表面に侵入することで起こりますが、最も多い原因はハウスダストといわれています。
春から夏にかけて症状が悪化し、秋から冬にかけて緩和されることが多いので、病名に「春季」という言葉が入っています。

主に幼稚園児や小学生くらいの子どもに発症することが多く、ほとんどの場合思春期とともに症状が落ち着いてきます。また、発症した人がアトピー性皮膚炎も患っている例がたいへん多く、関連も指摘されています。

まぶたの裏側にでこぼこの隆起(乳頭)ができ、黒目(角膜)と白目(結膜)の境目がぐるりと腫れるのが特徴です。
さらに、重症化するとまぶたの裏の隆起が大きくなり(巨大乳頭)、その摩擦で角膜に傷がつくことで、場合によっては視力低下につながることもあります。

その他、目のかゆみや涙、目の充血、ゴロゴロとした異物感といった症状に加えて、白っぽい糸を引くような粘り気の強い目やにが出たり、目の痛みを感じる場合があるのもまた特徴です。

アトピー性角結膜炎

アトピー性皮膚炎をともなう慢性のアレルギー性結膜炎です。
原因となるアレルゲンが複数あるので通年性ですが、冬に悪化する傾向があるといわれています。


同じくアトピー性皮膚炎との関連が指摘されている春季カタルとほぼ同様の症状が現れますが、たとえば眼瞼炎を併発する場合もあるなど、より重症化する可能性が高い傾向があります。
また、角膜に影響がおよんだ場合の重症例もより多く見られることから、病名に「角」の文字が入っています。

春季カタルと違い、発症するのはほとんど成人です。


巨大乳頭結膜炎

主にコンタクトレンズに付着した汚れが原因となって起きるアレルギー性結膜炎の一種です。
装用後のレンズにはタンパク質や脂質、ゴミといったさまざまな物質が付着しています。
ふだん誤った方法でレンズを手入れしていたり、手入れを怠ったりすると、落としきれなかった汚れに細菌が繁殖します。
その状態でレンズを装用すると、繁殖した細菌が目の表面に侵入してアレルギー反応を起こしてしまう可能性があるのです。


症状が進むと、まぶたの裏側にでこぼこの巨大乳頭ができるのが特徴です。その乳頭による摩擦でレンズの装用中に違和感を覚えたり、まばたきをした時にレンズが引き上げられ、ずれてしまうといったことが起こります。
その他、目のかゆみや涙、目の充血、ゴロゴロとした異物感といった症状に加えて、ゼリー状の目やにが出るのもまた特徴です。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)

ものもらい

いわゆる「ものもらい」とも呼ばれるまぶたの病気です。
まぶたの汗を出す腺やまつ毛の根元、涙の蒸発を防ぐ脂を分泌する「マイボーム腺」などが主に黄色ブドウ球菌に感染することで起きる炎症です。
まぶたの表側に起きる「外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)」と、裏側に起きる「内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)」に分けられます。


まぶたの一部に痛みやかゆみをともなう赤い腫れが現れて発症します。
炎症が強まると腫れがまぶた全体に広がり、目やにや目の充血も現れる場合があります。
やがて化膿するまでに至ると、腫れた部分が自然に破れて膿が出てくることがあります。

膿が出てしまえば、その後はおのずと回復に向かう場合がほとんどです。
ただし、腫れが長引いて膿が溜まりすぎた場合、切開して排出する治療が必要になることもあります。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

麦粒腫と似た病名ですが、こちらの原因は細菌感染ではありません。
なんらかの原因で脂がマイボーム腺に詰まることで、まぶたに硬いしこりができ、腫れぼったい見た目になります。

この状態で慢性化している間はゴロゴロとした異物感を覚える程度で、まぶたの上から触っても痛みやかゆみはほとんどなく、赤みも見られません。また、小さなしこりなら、自然に吸収されてなくなることもあります。
しかし、いったんしこりが細菌に感染すると、まぶたの痛みやかゆみ、腫れ、化膿といった麦粒腫に似た症状が現れます。

この状態を「急性霰粒腫」といいます。また、しこりが大きくなると角膜を圧迫して視力に影響がおよぶ可能性があるので、手術で取り除く場合もあります。

眼瞼炎(がんけんえん)

まぶたに起きる炎症です。まつ毛の根元部分に起きる「眼瞼縁炎(がんけんえんえん)」、まぶたの皮膚に起きる「眼瞼皮膚炎」、目尻に起きる「眼角眼瞼炎(がんかくがんけんえん)」の3種類に分けられます。
このうち、眼瞼縁炎はウイルスや細菌への感染が原因で起きる感染性のタイプと、脂腺による皮脂の過剰分泌が原因で起きる非感染性のタイプがあります。

一方、眼瞼皮膚炎と眼角眼瞼炎はまぶたの皮膚に起きるアレルギー反応を原因として発症します。
そのアレルゲンは点眼薬などの薬品やアイメイク用などの化粧品が多いとされていますが、他にも石鹸やシャンプー、毛染め剤、金属、皮革、ゴム、植物、食品など多岐にわたります。

まぶたにかゆみをともなう赤い腫れが現れ、同時に涙や目やに、ただれ、水ぶくれ、ゴロゴロとした異物感といった症状をともなう場合もあります。
症状が軽ければ腫れたまぶたがかさつく程度で済むこともありますが、重症化した場合、まぶたの縁にできたかさぶたがくっついて目が開けにくくなったり、まつ毛が何本も抜けてしまうことなどもあります。

また、一度治っても再発することが多く、慢性化しやすい病気とされています。

ドライアイ

ふだん、目の表面は涙に覆われることで守られています。涙腺から分泌された涙が、まばたきによって目の表面に広がり、常に涙の膜を作っているのです。
しかし、さまざまな原因で涙の分泌量が減ったり、涙の成分バランスが崩れて均等に行き渡らなくなると、目は潤いを保ちきれずに乾いてしまいます。

この症状が常態化した病気が「ドライアイ」です。

そして、ドライアイはかゆみの原因となる可能性があります。目が乾くと、本来であれば涙の膜が食い止めていたはずのさまざまな刺激が目の表面に届きやすくなり、結果として目にかゆみが生じやすくなるのです。
さらに、目の乾きによって目の表面にある結膜や角膜に傷がつくことがあり、ゴロゴロとした異物感を覚えたり、場合によっては傷から感染が起きて結膜炎や角膜炎といった病気に発展する可能性もあります。
この他、目のかすみや疲れ、不快感、充血、涙、目やにといった症状も現れることがあります。

ドライアイの原因はさまざまですが、パソコンやスマートフォンなどの長時間使用によるまばたきの回数減少、エアコンの使用などによる周囲の空気の乾燥、コンタクトレンズの装用による目の表面の酸素不足、加齢による涙腺の分泌機能低下などがあげられます。

病気以外の原因

目のかゆみは、病気未満の状態が原因でも起こります。
たとえば、ドライアイにまでは至らない程度の目の乾きでも、かゆみの原因となる場合があります。
目が乾くと、一時的であれ目の表面がさまざまな刺激にさらされる状態になるのはドライアイと同じです。
そのタイミングで花粉やウイルス、細菌といった異物が目の表面に侵入することで、かゆみが起きるのです


さらに、疲れ目や眼精疲労、エアコンの使用、コンタクトレンズの装用なども目の乾きを招くので、結果としてかゆみの原因となる場合があります。


また、目の乾き以外にも、過剰使用や手入れ不足によって細菌の温床と化したコンタクトレンズを装用することで、目の表面に細菌の侵入を許す可能性が高まって、やはりかゆみが起きやすくなります。



目がかゆい時の対処法

既に眼科で治療中の方もそうでない方も、今この時に感じるしつこい目のかゆみに悩んでいる方は決して少なくないと思います。
目のかゆみを感じた時に、一時的であれ比較的手軽かつ効果的な方法で対処できれば、悩みを少しでも和らげ、さらには生活の質を上げることもできるかもしれません。


具体的には以下のような方法に効果がありそうです。注意事項を交えつつ、ご紹介します。

1.かゆくても目をこするのはNG

かゆいからと目をかいたりこすったりすると、かえってかゆみが増すばかりか、炎症や感染症の原因となったり、場合によっては角膜などを傷つけて視力にまで影響がおよぶ可能性もあります。
中には寝ている間に無意識でこすってしまっているケースもあるので、思わず目をこすってしまいがちの方は、一度眼科で相談してみることをおすすめします。

2.冷やした濡れタオルを目の上にあてる

目を冷やすことで炎症が落ち着くため、かゆみが緩和される場合があります。
ただし、効果はあくまで一時的です。
慢性的な目のかゆみに悩んでいる方は、一度眼科を受診することをおすすめします。

3.目を洗う

目の表面に侵入した花粉などの異物を洗い流すことで、かゆみが緩和される場合があります。
ただし、水道水や市販の洗眼液は目の表面を保護する大切な成分まで洗い流してしまうこともあるので、どうしても頻繁に洗いたい場合は市販の人工涙液タイプの目薬を使いましょう。

4.市販の目薬を使用する

目薬

市販の目薬で少し様子を見たい場合は、目のかゆみの原因に応じた成分の入ったものを使いましょう。
たとえば、花粉症のようなアレルギー症状なら抗アレルギー成分や抗ヒスタミン成分入り、麦粒腫のような炎症なら抗菌成分や抗炎症成分入り、ドライアイならドライアイ向け成分入りの目薬になります。
ただし、使用開始から1週間経過しても症状が改善されない場合は使用をとりやめて、眼科できちんとした診断を受けるようにしましょう。

5.アレルゲンに接触する機会を減らす

アレルギー症状による目のかゆみに対しては、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に接触する機会をできるだけ減らすよう心がけることもまた、かゆみを緩和することにつながる場合があります。
たとえば、花粉なら天気予報の花粉情報を活用したり、外出時にメガネやマスクを着用することなどで、目のかゆみを感じる場面を少しでも減らしましょう。

6.「初期療法」を行う

花粉のような時期限定のアレルゲンに対して、その時期の2~3週間ほど前から抗アレルギー薬の点眼を始めると、目のかゆみなどの症状が緩和される場合があります。
これを「初期療法」といいます。適切に行うためには早めに眼科を受診して、ピークの時期に備えましょう。



目のかゆみの検査と治療

基本的には、まず眼科で診察と検査を受けて、かゆみの原因を特定した上で、その原因を解消するための治療が開始されることになります。
ここでは視力や屈折、眼圧といった眼科受診時に行われる基本的な検査以外で、病気ごとに行われる主な検査と治療法をご紹介します。

なお、点眼や内服といった投薬は、決められた量や回数を治療が終了するまでしっかりと守り続けることが大切です。
また、2種類以上の点眼薬を処方された場合は決められた時間だけ点眼の間隔をあけるなど、医師や薬剤師の指示にきちんと従いましょう。

目のかゆみの検査

検査

目のかゆみがなんらかの病気を原因にしたものかどうかを確認するために行われる検査としてあげられるのは、多くの目の病気を診断できる「細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)」です。

細隙灯と呼ばれる細い帯状の光で目を照らし、顕微鏡を通して結膜や角膜といったさまざまな組織を細部に渡って観察することで、眼球やまぶたに異常が発生していないかを調べます。
目のかゆみの原因が病気であると疑われる場合は、この検査でその特定を試みます。

アレルギー性結膜炎の検査と治療

ここでは春季カタル、アトピー性角結膜炎、巨大乳頭結膜炎を含むアレルギー性結膜炎全般の検査と治療をご紹介します。

1.アレルギー性結膜炎の検査

まず、目やにを採取して顕微鏡で特定の細胞の有無を調べる方法か、涙を採取して専用の検査キットで特定の物質の有無を調べる方法で、アレルギー性結膜炎かどうかを確定させます。
アレルギー性結膜炎であることが確定したら、血液検査か、疑わしいアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の候補を皮膚に塗布して反応をみるパッチテストで、アレルゲンを特定します。

2.アレルギー性結膜炎の治療

まずは、かゆみの元になる物質を抑える抗アレルギー点眼薬で症状の緩和をはかります。
それだけでは効果が得られなかった場合、ステロイド薬を点眼します。

また、巨大乳頭結膜炎などのコンタクトレンズに関連したアレルギー性結膜炎の場合、コンタクトレンズの装用を中止した上で治療を進め、装用を再開する際にはレンズの種類をしっかりとこすり洗いのできるハードタイプか、1日で使い捨てるソフトタイプに変更して、衛生的な使い方を徹底します。

そして、春季カタルやアトピー性角結膜炎といった重症度の高いアレルギー性結膜炎の場合、症状の度合いによってはステロイド薬の内服による全身投与や結膜下注射を追加したり、手術でまぶたの裏側にできた巨大乳頭を切除する場合もあります。


感染性結膜炎の検査と治療

ここでは、ともに感染性であるウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎の検査と治療をそれぞれご紹介します。

1.ウイルス性結膜炎の検査

結膜をこすった綿棒を専用のキットで調べる方法で特定のウイルスを検出したり、血液検査で感染しているウイルスの種類を特定します。

2.ウイルス性結膜炎の治療

感染源となるウイルスに効果のある薬剤が存在しないので、細菌感染防止目的の抗菌薬や症状緩和目的の抗炎症薬を点眼しつつ、生活習慣の改善などで免疫力を高めるよう努めながら、自然治癒を待つ形になります。
体内でウイルスへの抗体が順調に作られていけば、通常3週間~1ヶ月ほどで完治します。

また、ウイルス性結膜炎は他の人への感染力が強いので、二次感染が起きないよう注意しなければなりません。
具体的には、医師の許可が出るまで仕事や学校を休む、目にさわらない、よく手を洗う、家族とタオルを共用しない、お風呂は最後に入るなどといった対策が必要になるでしょう。

3.細菌性結膜炎の検査

目やにを培養して抗菌薬に対する感受性を調べる試験を行い、細菌の種類を特定します。

4.細菌性結膜炎の治療

効果が確認されている抗菌薬を点眼すれば、1~2週間ほどで完治する場合がほとんどです。

麦粒腫・霰粒腫の検査と治療

ここでは、まぶたの病気として並び称されることの多い麦粒腫と霰粒腫の検査と治療をご紹介します。

1.麦粒腫の検査

麦粒腫は比較的診断が容易な病気なので、多くの場合は特別な検査を行うことなく、医師による視診などによって診断を受けることになります。
ただし、症状の似た急性霰粒腫や感染性の眼瞼縁炎などとの区別が難しい場合などには、原因となっている細菌の種類を特定するための検査を行うこともあります。

2.麦粒腫の治療

効果が確認されている抗菌の点眼薬や眼軟膏の投与を中心に治療を進め、必要に応じて抗生物質や抗炎症の内服薬も併用します。
1週間ほどで完治する場合がほとんどです。
ただし、腫れが長引いて膿が溜まりすぎた場合、切開して排出する治療が必要になることもあります。
特に内麦粒腫の場合は腫れが自然に破れにくい傾向があり、切開を行うケースも少なくありません。

3.霰粒腫の検査

霰粒腫かどうかを明確に診断するための特別な検査はありません。
しかし、比較的診断が容易な病気なので、多くの場合は特別な検査を行うことなく、医師による視診などによって診断を受けることになります。

4.霰粒腫の検査

霰粒腫に対しては、痛みなどのない慢性の状態では細菌感染防止目的の抗菌薬や症状緩和目的の抗炎症薬を点眼しつつ、温湿布をまぶたの上にあててしこりの吸収を促すといった治療を行います。

この治療でいったんはしこりがなくなることもありますが、再発するケースも少なくありません。
一方、細菌感染を起こした急性霰粒腫の場合、抗菌の点眼薬や眼軟膏の投与を中心に治療を進め、必要に応じて抗生物質や抗炎症の内服薬も併用します。

また、自然な吸収が期待できないほどしこりが硬くなったり、角膜を圧迫するほど大きくなって視力に影響がおよぶ可能性がある場合は、手術で取り除いたり、吸収を促すためにステロイド薬を注射することもあります。

眼瞼炎の検査と治療

ここでは、まぶた上の発生箇所によっていくつかの種類に分けられる眼瞼炎の検査と治療をご紹介します。

1.眼瞼炎の検査

感染性と非感染性のどちらなのかを確認するために、まぶたの分泌物を採取して細菌を培養します。
また、アレルギー性だと疑われる場合はパッチテストでアレルゲンを特定します。
ただし、この病気の対象となるアレルゲンが多岐に渡ることもあって、特定がかなうとは限りません。

2.眼瞼炎の治療

眼瞼炎全般に対しては、まず何よりまぶたをよく洗浄して清潔に保つことが大切です。
洗浄には主に1000倍ほどに薄めたベビーシャンプーなどが使われます。
その上で、感染性の眼瞼縁炎の場合は抗菌の点眼薬や眼軟膏を、非感染性の眼瞼縁炎の場合はステロイドの点眼薬や眼軟膏をそれぞれ投与します。

また、アレルギー性の眼瞼皮膚炎または眼角眼瞼炎の場合、アレルゲンが特定されていれば、そのアレルゲンにできるだけ接触しないように過ごしながらステロイドの眼軟膏を投与し、必要に応じて抗ヒスタミン薬の内服を併用する場合もあります。

ドライアイの検査と治療

ここでは、目が乾く現代病ともいえるドライアイの検査と治療をご紹介します。

1.ドライアイの検査

ドライアイに深く関係している涙についての検査を行います。
「シルマー試験」では、専用の濾紙(ろし)を両目の下まぶたの端に挿入して、涙の分泌量を調べます。
また、「涙液層破壊時間(Break Up Time/BUT)検査」では、染色液を点眼した目の表面を10秒間まばたきせずに観察することで、涙の質や安定性を調べます。

また、同じく染色液を点眼した目の表面を観察し、ドライアイによる目の乾きが原因で角膜などに傷がついていないかを確認する「染色検査」も行います。
なお、涙液層破壊時間検査と染色検査は細隙灯顕微鏡検査を通して行われます。

2.ドライアイの治療

点眼薬の投与が基本となります。症状が軽い段階なら、涙に近い成分でできた人工涙液の点眼だけで目の乾きを緩和できる場合がほとんどです。
その上で、必要に応じて目の表面を健康に保つ成分の分泌を促す効果や、角膜についた傷を修復する効果をあわせ持つ点眼薬が処方される場合もあります。

一方で、点眼薬だけでは効果が得られなかった場合、「涙点」という涙の排出口を「涙点プラグ」と呼ばれる栓で塞ぎ、強制的に涙の排出量を抑えることで、目の表面の潤いを十分な状態に保つという治療も行われることがあります。
また、特殊なコラーゲンを注入して塞ぐ方法や、手術で塞ぐ方法などもあります。


目のかゆみの予防

日常生活にも取り入れやすいちょっとした心がけや対策が目のかゆみを予防し、ひいてはかゆみの原因となる目の病気をも予防することにつながる可能性があります。
その上で、目になんらかの異変を感じたら、すみやかに眼科を受診することもまた大切です。

規則正しい生活や十分な睡眠、栄養バランスのよい食事といった健康的な生活習慣の維持が重要なのはもちろんですが、その他にも以下のような対策に効果がありそうです。

1.ウイルスや細菌から身を守る

洗っていない手で目に触れることで、目の表面にウイルスや細菌が侵入することがあります。
そのせいで目のかゆみをともなう病気にかからないよう、帰宅後の手洗いを徹底し、場合によっては人工涙液タイプの目薬などで洗眼も行いましょう。
また、拭く時は清潔なタオルやハンカチを使いましょう。さらに女性の場合、アイメイク用の化粧品や道具の清潔を保ち、メイク落としもしっかりと行うよう注意しましょう。

2.アレルゲンから身を守る

マスク

アレルギー症状で目のかゆみをともなう病気にかからないよう、花粉やハウスダスト、ダニといったアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を避けるため、外出時はメガネやゴーグル、マスク、帽子などを着用したり、家に入る前に衣服に付着した花粉などを払い落としましょう。
また、室内の掃除や換気をこまめに行い、清潔な生活環境を保つよう心がけましょう。

3.目を乾燥させない

目の乾きによるかゆみが生じないよう、空調の効いた環境下では加湿器などを使ったり、パソコンやスマートフォンなどの前では意識的なまばたきを心がけたり、コンタクトレンズの長時間装用を避けたり、時には人工涙液タイプの目薬などを使うなどして、目が乾燥しないよう、ひいてはドライアイにならないよう注意しましょう。

4.目を使いすぎない

目の使いすぎによる疲れ目や眼精疲労は目の乾燥を招き、結果として目にかゆみをもたらす可能性があります。
パソコンやスマートフォンのような目に負担のかかる機器の長時間使用を避け、定期的に目を休める時間を設けましょう。
また、それでも目が疲れたら、蒸しタオルなどで目を温めると疲労回復が促される場合があります。

5.コンタクトレンズのケアや種類に注意する

汚れたコンタクトレンズの装用で、目の表面にウイルスや細菌が侵入することがあります。
そのせいで目のかゆみをともなう病気にかからないよう、レンズのケアは怠りなく正しい方法で行いましょう。
また、使用するレンズの種類をしっかりとこすり洗いのできるハードタイプか、1日使い捨てでケアの楽なソフトタイプに変更することも検討しましょう。

6.疲労やストレスをためない

疲れやストレスをためこむと免疫力が低下し、身体がウイルスや細菌に感染しやすい状態になります。
そのせいで目のかゆみをともなう病気にかからないよう、少しでも疲れを感じたら積極的に休養をとるよう心がけ、旅行やスポーツ、ショッピングといった自分なりの趣味に興じたりすることで、早め早めのストレス解消に励みましょう。

目のかゆみポイントまとめ

しつこく続くかゆみは目にストレスを与えます。さらに放置すれば、やがては仕事や勉強に集中できなくなったり、些細なことにイライラしてしまったりと、日常生活の質や感情面にまで影響をおよぼし始めることもあります。

目のかゆみで治療というとおおげさに聞こえるかもしれませんが、「目がかゆいけど、きっとすぐ治る」などと軽く見てしまうと、なんらかの目の病気が発するサインを見逃してしまう可能性もあります。逆に、早い段階での眼科受診は、もしかしたら隠されている病気を早期発見できる機会にもなり得るのです。

目のかゆみを必要最小限に抑え、症状を改善へと導くためにも、日頃の予防と対処、そして何より眼科の受診できちんとかゆみの原因を特定した上で適切な治療を受けることが、目の健康を保つために大切なことだといえるでしょう。



この記事の監修ドクター

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