2016.03.25

名医が教える下肢静脈瘤の症状・原因・治療方法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
医療法人斉智会おだクリニック日帰り手術外科
小田 斉 医師

福岡市中央区高砂1-8-8 サンクス渡辺通3F, 4F

050-5281-3353

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下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、下肢(脚)の静脈が瘤(こぶ)のようにデコボコになってしまう病気です。症状としては足のむくみや、足をつりやすかったり(こむら返り)、軽度の痛みをひきおこします。下肢静脈瘤は良性の病気ではありますが、見た目が気になったり、日常生活に支障をきたすほど、症状がある方も多くいらっしゃいます。

「さいきん足のむくみがひどい・・・」
「すこしだけど・・・痛みをかんじる」
「血管が浮かびあがってきている」
「さわるとボコボコしている」
「湿疹ができている、かゆい」

これらの症状に心当たりがあるようでしたら、はやめに医療機関に相談するようにこころがけましょう。
今回は専門医の監修のもと、下肢静脈瘤がひきおこす具体的な症状、発症する原因、治療方法に関する情報を紹介させていただきます。


下肢静脈瘤の症状について

下肢静脈瘤の症状には4つの種類があり、それぞれ見た目も異なります。

伏在静脈瘤

伏在静脈瘤

伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)と言います。下肢静脈瘤の症例でもっとも多いのが、この伏在静脈瘤です。血液の逆流により太く拡張した血管がボコボコと皮膚の表面上に浮かびあがります。伏在静脈には、「大伏在静脈」と「小伏在静脈」の2種類が存在します。伏在静脈は、脚の表在静脈(表面にある静脈)の中で比較的太い血管となり、伏在静脈で静脈瘤ができると見た目上、かなり目立ってしまいます。

大伏在静脈で起こる静脈瘤は、ふくらはぎの内側、太ももにできることがおおく、小伏在静脈で起こる静脈瘤は、ふくらはぎの外側と、膝の裏にできることが多いです。治療を行うには手術が必要となります。

側枝静脈瘤

側枝(そくし)静脈瘤は、浮かびあがる血管は細く、伏在静脈瘤が枝分かれすることによって発症する種類の静脈瘤です。症状は膝から下に現れることが多いです。
発症すると、足のむくみ、だるさ、かゆみ、若干の痛みを引きおこします。浮かびあがる血管が伏在静脈瘤より細いとはいえ、見た目上、目立ってきます。

クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤

クモの巣状静脈瘤は皮膚のすぐ下にある毛細血管が拡張し、表面上に浮かび浮かびあがってくる種類の下肢静脈瘤です。浮かびあがる毛細血管の太さは1mm以下で、「網目状静脈瘤」よりも細いです。クモの巣状静脈瘤は太もも、ふくらはぎ、膝の裏にできます。クモの巣状静脈瘤が発症することで、むくみ、だるさ、かゆみなどを引きおこします。

クモの巣状静脈瘤を発症する原因は、年齢、長時間同じ姿勢でいることで身体にかかる負担、妊娠、遺伝などで、血管が老化したり、悪くなってしまうからです。特に妊娠中は通常時よりも静脈瘤を発症する可能性が高くなるので予防が必要です。

大きな病気に発展する可能性が低く、治療の負担を考えた結果、様子を見て、治療しない方針を勧める医療機関もあります。ただ、症状が足全体に広がることもあります、そのような可能性を踏まえた上で医師に相談しましょう。

網目状静脈瘤

網の目状静脈瘤

網目状静脈瘤派は皮膚のすぐ下にある血管が肌の表面に浮かびあがってくる種類の下肢静脈瘤です。クモの巣状静脈瘤と見た目、症状が類似していますが、網目状静脈瘤の方が浮かびあがる血管が若干太いです(クモの巣状静脈瘤は1mm以下、網目状静脈瘤は1~2mmほどの血管が浮かびあがる)

網目状静脈瘤は膝の裏にできることが多い静脈瘤です。発症するとむくみ、だるさ、かゆみ、若干の痛みを引きおこします。クモの巣状静脈瘤と同じく、伏在静脈瘤ほどに見た目も気にならない上、症状も緊急性が低いので、治療を行わずに様子見を勧める医療機関があります。ただし、以下のような場合は治療が必要です。

・外見が気になる
・症状がひどい、辛い
・血液がうっ滞して皮膚炎を発症している


下肢静脈瘤の原因について

「最近、足がむくみやすくなった」「疲れ、だるさがなかなかおさまらない・・・」
その原因は下肢静脈瘤かもしれません。日本で下肢静脈瘤を発症している人の人口は1,000万人ほどと言われており、なんと、12人に1人は発症していることになります。
なぜ下肢静脈流になるのか? 主な原因は4つあります。

加齢・血管の老化

下肢静脈瘤は心臓から動脈を通って脚に流れている血液が心臓に戻らず、脚に滞ってしまうことで発症します。本来であれば血管(静脈)の中にある「逆流防止弁」という弁が血液が滞るのを防いでくれるのですが、齢をとると弁の機能が低下したり、壊れたりしてしまいます。弁が機能を果たさなくなると血液が滞りやすくなるので下肢静脈瘤を発症しやすくなります。

長時間同じ姿勢でいる・立ち仕事をしている

業務中ずっと立ちっぱなし、座りっぱなしという人は下肢静脈瘤を発症しやすいです。職業例をあげると、理容師、美容師、アパレルや薬局などの販売員、学校の先生、塾講師、調理師、看護師・・・といった職業です。これらの職業は長時間同じ姿勢でいることが多く、血行が悪くなりやすいため下肢静脈瘤を発症しやすいです。

妊娠

妊娠すると女性ホルモンが多量に分泌されます。妊娠中に分泌される女性ホルモンには血管を拡張させたり、出産時の止血を助けるために血液を凝固させる働きがある上、妊娠中は子宮が大きくなるので静脈を圧迫してしまい、結果として下肢静脈瘤を発症しやすくなります。ただし、出産後はホルモンバランスが元に戻るので下肢静脈瘤が自然に回復することもあります。

遺伝

血族に下肢静脈瘤を発症したことがある人がいる場合、自身も下肢静脈瘤を発症する可能性が非常に高くなります。血族に下肢静脈瘤を発症した人がいる方は、仕事の合間で屈伸運動をする・弾性ストッキングを着用するなど予防するようにしましょう。


下肢静脈瘤の治療方法

下肢静脈瘤の治療は症状によって方法、費用、保険適応・適応外などの詳細がことなります。

保存的治療(圧迫療法)

症状が軽度の場合、手術後の再発を予防する目的で施される治療です。主に弾性ストキングを着用し、血行の改善をはかります。保存的治療では根本的な解決は見込めないので、症状を根本から解決するには、他の治療法を行う必要があります。弾性ストッキングは健康保険適応外ですが、費用は5,000円~10,000円程度です。

硬化療法

硬化療法

硬化療法は、

・クモの巣状静脈瘤
・網目状静脈瘤
・側枝型静脈瘤

以上の症状を治療するのに適している治療法です。症状がある血管に注射器で硬化剤という薬剤を注射します。硬化剤は糊(のり)のような薬剤で、血管をくっつけ、固める効果があります。硬化剤で固まった血管はやがて消失します。ストリッピング手術などの他の治療を施した場合も、治療のなかで硬化療法が併用されることがあります。

硬化療法は注射のみで行えるので日帰り手術(外来手術)が可能です。他の治療法と比較すると身体への負担が少なくできる治療法です。治療した当日の入浴、治療後1週間以内の激しい労働や、運動は避ける必要があります。ただ、再発率が他の治療に比べて高い点が短所となります。

高位結紮術

高位結紮術

問題となる静脈瘤を縛って血液を流れなくして、静脈瘤を改善する治療方法です。日帰り・外来手術で行える点がメリットですが、ストリッピング手術や血管内治療に比べて再発率が高い点がネックとなります。

ストリッピング手術

ストリッピング手術

ストリッピング手術は伏在静脈瘤を治療するのに適している治療法です。症状がみられる血管にワイヤーをとおし、血管と結び付けて、ワイヤーを血管ごと引き抜きます。下肢静脈瘤を発症した原因である血管ごと引き抜いてしまうので、再発率が低いのが、この治療法のメリットの1つです。

ストリッピング手術は、以前は入院手術でしたが、TLA(tumescent local anesthesia)麻酔局所麻酔で手術を行う場合は日帰り手術が可能です。全身麻酔をかける必要がある手術ですと入院が必要になります。入院の期間は2泊3日~3泊4日ぐらいを目安として考えてみてください。

血管内治療(血管内レーザー焼灼術、高周波カテーテル治療)

血管内治療

血管内治療は伏在静脈瘤の治療に適している治療法です。血管に直接医療機具を挿入して行う治療です。下肢静脈瘤の治療にはレーザー、高周波といった機材が使われます。
レーザー、高周波カテーテル治療ともに、血管内に機具を挿入し、血管内へ熱を放出し、症状のある血管を焼いてしまいます。焼かれた血管は半年ほど時間をかけて自然に消失していきます。

レーザー・高周波を使用した血管内治療は日帰り手術で行います。ストリッピング手術のように血管を引き抜いてしまうわけではないので、手術後の皮下出血等が少なく、身体への負担が少ない治療方法です。現在では下肢静脈治療の主流となっております。

皮膚照射レーザー治療

クモの巣状・網の目状静脈瘤の治療に使われるレーザー治療です。血管内治療とは異なり、皮膚の表面からレーザーを照射して治療を行います。レーザー照射は数回行います。
健康保険適応外となります。医療機関によっても費用が違いますので、詳しく聞いてから治療を受けるようにしてください。

静脈切除、スタブ・アバルジョン法

ストリッピング手術や血管内治療(レーザー、高周波)でほとんどの静脈瘤は改善します。ただ症状がひどい場合は、静脈瘤がすべてなくならない場合があります。手術後、3ヶ月くらいした後退縮する静脈瘤もありますが、見た目が気になる方のために、追加で静脈切除やスタブ・アバルジョン法をつかって残った静脈瘤をきれいにします。

静脈切除、スタブ・アバルジョン法も皮膚を小さく切開して、問題となる静脈瘤を切除(取り除く)治療です。


保険が適応される治療法、自費で行う治療法

治療方法には、健康保険が適応となる治療と適応にならない治療(自費診療)があります。

保険適応できる治療

・硬化療法
3割負担:約5,000円~10,000円

・高位結紮術
3割負担:約1万円~2万円

・ストリッピング手術
3割負担:片足約4万円前後

・血管内治療(レーザー焼灼術・高周波治療)
3割負担:片足約5万円前後

保険適応外(自費診療)となる治療

・弾性ストッキング療法
約5,000円~10,000円

・皮膚照射レーザー治療
医療機関によって金額が異なります。詳しく聞いてから治療を受けてください。

下肢静脈瘤の治療にともなう合併症

下肢静脈瘤の治療では以下の合併症をともなう可能性があります。

・皮下出血
・神経痛

可能性はありますが、発症したとしても1ヶ月~6ヶ月の期間で気にならないぐらいに回復します。また、心筋梗塞やエコノミークラス症候群を発症する場合も極稀にありますが、これらの症状は医師の指示に従って生活をすればほとんど発症しません。


まとめ

以上が下肢静脈瘤の症状、原因、治療法に関するまとめになります。下肢静脈瘤は良性の病気で、治療しなければ命が危うい・・・ということはありません。それゆえに治療を先延ばししたり、放置する人も多いのですが、症状が重度になると、肌が色素沈着で黒ずんだり、炎症を引きおこし、皮膚潰瘍を発症したりします。
治療は早期の方が期間も短く済みますし、簡単です。足がだるい、おもい、むくむ、痛い、かゆい。そのような症状に悩んでいるようでしたら1度近くの医療機関で相談してみてはいかがでしょう。

この記事の監修ドクター

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医療法人斉智会おだクリニック日帰り手術外科
小田 斉 医師

福岡市中央区高砂1-8-8 サンクス渡辺通3F, 4F

050-5281-3353

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