2017.01.27

耳がかゆいのはカビのせい?対処法や耳鼻科に行く基準について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

075-752-3387

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耳が痒い

皮膚の乾燥や炎症に伴って、耳のかゆみに悩まされることがあります。でも、なかなか治らない、しつこいかゆみが続くようなら、原因はカビかもしれません。カビ(真菌といいます)は駆除がとてもたいへんです。今回は、専門医の監修の元、耳のかゆみの原因と症状、治療法について説明します。


かゆみの原因

耳がかゆくなる原因はだいたい以下の5つです。

・耳の肌の乾燥
・外傷による傷
・アレルギー
・病気の炎症に伴うもの
・カビ(真菌)によるもの

そもそも、人はなぜかゆみを感じるのでしょう?
実は、かゆみが起きる詳しいメカニズムは分かっていません。従来は痛みの軽いものがかゆみだとされていたのですが、最近の研究でかゆみと痛みはまったく別物だということが分かってきました。

かゆみを引き起こす物質は皮膚の肥満細胞から分泌されるヒスタミンであることは分かっています。ヒスタミンが知覚神経を刺激して脳にかゆみを伝えます。
同時に、神経の末端から神経ペプチドという物質が放出されるのですが、これが肥満細胞を刺激してさらにヒスタミンの分泌を促すようなのです。かゆいから掻くと、その刺激が知覚神経から神経ペプチドを放出させ、ヒスタミンが分泌され……という具合にかゆみが広がってしまう「かゆみの悪循環」が見らるようです。

肌が乾燥するとかゆみを感じるわけ

かゆみ

乾燥肌がかゆみを感じることは皆さんよくご存じの通りです。季節の変わり目や、とくに湿度が下がる冬季には肌がかさかさになって「かゆくて仕方がない」という方が多くいらっしゃいますね。
でも、肌が乾燥するとどうしてかゆみを覚えるのでしょう?

肌は、表面から角質層・表皮・真皮・皮下組織という構造をしています。乾燥に大きく関係しているのが角質層です。角質層はわずか0.02mmほどの厚さしかありませんが、中にスポンジのように水分を貯め込んでいます。肌の表面を覆っている皮脂膜は、体内から分泌される皮脂と汗からできていて、天然の保湿クリームの役割を果たしています。この2つの層によって、外部からの異物の侵入を防ぐとともに、肌は潤いを保っているのです。

角質層がダメージを受けたりすると水分が失われ、乾燥肌になります。
かゆみを感じる知覚神経は普段は皮膚の奥の方に控えています。ところが、肌が乾燥すると異物の刺激や侵入を警戒して、かゆみ神経が皮膚の表面にまで伸びてきます。そこで外部からの様々な刺激をかゆみ神経が察知してかゆみを覚えるようです。かゆみは、異物を感知して「引っ掻いて異物を落としなさい」という体を守るメカニズム(引っ掻き反射)なのです。

耳のかゆみの原因

かゆみを感じる仕組みは、耳でも同じです。耳の皮膚が乾燥すれば、かゆみを覚えます。

耳の皮膚はデリケートな構造をしていて、耳掃除などで簡単に傷つきます。綿棒を使ったとしても、ちょっと強く擦るだけで皮が剥けてしまうこともあります。かさぶたができるとかゆみを感じますね。それが気になって耳掻き棒などで触るうちに傷が広がって、ますますかゆくなることもよくあります。

アレルギーがもとで、耳にかゆみを感じるケースもあります。花粉症に悩んでいるなど、何かしらのアレルギーを持っている人は一度検査をしてみましょう。アレルギーの場合は、アレルゲンを特定して近づけないことが第一です。ハウスダストやダニなどが原因であれば、こまめに掃除をするなどの対策が必要となります。

外耳炎などの炎症を起こしている場合にも、かゆみを感じます。ひどい炎症になれば痛みが優先しますが、軽い場合にはかゆみを感じることも多いでしょう。
外耳炎は耳掻きなどの傷が原因で起こることがほとんどですが、通常、健康な人であれば軽度の炎症が起こるだけで、放っておいても自然に治ってしまうことが多いようです。
ただ、いつまで経ってもかゆみや痛みが取れない、耳垂れがあるという場合には、外耳道真菌症を疑ってみる必要があります。真菌とはカビのことです。耳の中にカビが繁殖してしまう病気です。

以下、外耳道真菌症について説明します。


カビが引き起こす外耳道真菌症

人の体にカビが生える!?

そもそも人の体にカビが繁殖するんでしょうか? そんな疑問を持つ方もいるかもしれませんね。
一年中革靴をはき続けるビジネスマンの方なら身近かもしれませんが、水虫の原因は白癬菌というカビの一種ですね。カビは真菌とも呼ばれます。酵母も真菌の一種です。

カビ(真菌)は通常、その他の常在菌とともに皮膚や粘膜などに棲みついています。健康な状態では感染症を起こさないのですが、病気や強いストレスで免疫力が落ちていたり、炎症などを起こしていたりすると、感染して発症する場合があります。
こうした感染を日和見感染といいます。体力や免疫力が落ちている入院患者などに次々と感染する院内感染はその典型例です。外耳道真菌症も日和見感染で発症します。

外耳道真菌症の原因

外耳道真菌症の原因菌は、おもにカンジダ菌やアスペルギルス菌などの真菌類です。通常、鼓膜より奥の中耳、内耳に入ることはありません。
通常、人体に感染することがない真菌が外耳で繁殖するきっかけは、おもに次の3つが考えられます。

・免疫力が低下している
・外耳炎を起こしている
・イヤフォンや補聴器を日常的に使用している

先にも説明したように、健康体であれば真菌に感染することはまずありません。
ただ、強度のストレスを抱えていたり、他の治療の一環として免疫抑制剤を使用していたりする人は、抵抗力が落ちているため真菌の侵入を許してしまうことがあるようです。

糖尿病の人も注意が必要です。糖尿病では免疫力の低下があらゆる部分に出てきます。真菌の感染だけでなく、通常は感染しない緑膿菌に感染して外耳道炎を起こす場合があります。緑膿菌に感染すると、やがて血管内に入って全身感染を起こし、敗血症などで死に至ることもあります。

外耳炎を起こしていると、やはり外耳の皮膚の抵抗力が弱いため、真菌をはねつけられないことがあります。とくに外耳炎のかゆみがあるため、耳掻きなどで患部を触りがちです。こうした傷口から真菌が入り込んで繁殖します。

また、外耳炎の大きな原因ともなっている耳掻きは外耳道に傷をつけやすいものです。真菌や真菌の胞子はどこにでもいる常在菌ですから、耳掻きに付着していても不思議ではありません。そんな耳掻きで傷ついた患部を触ることは、感染のリスクを非常に高めることになります。
また、感染を拡げないためにも、家族でも耳掻き棒などを共有しないようにしましょう。

意外に落とし穴なのが、イヤフォンや補聴器の使用です。
最近では耳の穴にぴったりフィットする高性能のイヤフォンがあります。長時間音楽を聴いていても疲れにくく、装着感も薄いため、ずっと耳を塞いだ状態でいる人も少なくありません。
常にイヤフォンや補聴器を清潔に保っていればいいのですが、これにも真菌は付着します。しかも、耳を塞いで外耳を長時間、高温多湿の状態にしてしまいます。まさにカビの繁殖に好適な環境ですね。
使用前にはアルコールなどで消毒してから装着するといいでしょう。

外耳道真菌症の症状

外耳道真菌症を疑うおもな症状は

・頑固で強烈なかゆみ
・外耳道が腫れて痛む
・耳垂れ(耳漏)が出る
・耳垢や耳垂れが臭う
・耳垢に黒や黄などの菌糸が混ざる(目には見えない)

などです。
とくに特徴的なのは、大きく厚い耳垢のようなものができることです。時に酒粕のようであったり、黄、白、黒などの色が混ざったものができます。これはカビが繁殖する過程で出した膜状の菌膜です。取っても2週間〜1ヵ月程度で再びできます。菌膜の下の皮膚は湿って赤く爛れたようになっています。

この菌膜が外耳道の奥から鼓膜を覆うようになると、耳が塞がった感じで聞こえにくい状態(難聴)になります。


外耳道真菌症の対処法

真菌は完治に時間がかかる

耳_女性

お風呂のタイルの目地にこびりついたカビを落とすのはたいへんですよね。洗剤をつけたタワシなどで擦ってきれいになったと思っても、いつの間にか真っ黒にカビが生えている……その繰り返しで、根気強く対処するしかありません。それは病気を引き起こす真菌(カビ)でも同じです。

細菌感染による外耳道炎も同じようにかゆみや痛み、耳垂れなどを伴いますが、軽傷であれば放っておいても自然と治ってしまうことがよくあります。また、抗生剤や副腎皮質ステロイドを含む軟膏を塗ることで、比較的容易に完治します。
このように、細菌などに感染した場合、軽傷であれば免疫によって軽快しますし、症状が重くなっても抗菌薬、抗生物質などによって最近を死滅させれば症状は次第に軽くなってきます。

真菌が一般の動植物と同じように真核生物(細菌は原核生物)で厚い細胞壁を持っています。そのため、真菌感染がやっかいなのは、人体組織に害を与えず真菌だけを破壊するのが難しいことです。抗真菌薬も限られていて、治療にとても時間がかかることを覚悟しなければなりません。

外耳道真菌症の治療

まずは検査でカビの種類を特定します。細菌性の外耳道炎の治療薬である抗生剤や副腎皮質ステロイドを含む軟膏などは、カビの繁殖を促進する場合があります。外耳道炎を併発しているような場合には、適正なタイミングで抗菌、抗真菌の薬の切り替えが必要になります。

検査後、耳垢と菌膜、カビそのものをすべて取り除き消毒します。少しでも残っているとそこから再び繁殖するのは、お風呂のカビと同じです。慎重にすべて取り除く必要があります。したがって、何度も通院して治療を受ける必要があります。カビの除去に1ヵ月以上かかる場合があります。

その後、耳を乾燥させながら抗真菌薬を患部に塗布します。重症の場合には、抗真菌薬を内服することもあります。また、ブロー液という薬で外耳道を満たす耳浴などを行うこともあります。

治療中の注意

カビは湿ったところが大好きですね。イヤフォンや補聴器などで耳を塞ぐとカビに好適な環境をつくってしまいますので、治療中にイヤフォンなどを使うことは避けたほうがいいでしょう。

当然ですが、耳掃除は厳禁です。気になって指で触ったりしたくなりますが、それも厳禁です。カビの繁殖しにくい環境をつくり、最後の最後までカビを取り除く必要があるためです。

完治までは1ヵ月〜数か月かかります。この間、自己判断で通院をやめてしまうとカビが再繁殖して、それまでの治療が無駄になってしまいます。


おわりに

耳のかゆみで耳鼻科に行く基準

治療

ここまで、耳のかゆみの原因と対処法、カビ(真菌)の感染による外耳道真菌症について見てきました。では、耳のかゆみに悩んでいる場合、どのタイミングで耳鼻科に行ったらいいのでしょうか?

耳が「かゆい」というだけで耳鼻科を受診するのも大袈裟な気がするかもしれません。病気の可能性もありますが、耳漏などの症状が出て確実に炎症があることが分かるまでは、様子を見たほうがいのでしょうか。

結論から言えば、かゆみが気になったら、まずは耳鼻科を受診することです。

たとえ肌の乾燥が原因であっても、かゆみが続けば、指や綿棒、耳掻きなどで引っ掻いて外耳道炎などに悪化させてしまうリスクもあります。まずは耳鼻科で耳の健康状態を見てもらい、必要であれば保湿効果のある薬を出してもらいましょう。

耳掃除については、外耳道を傷つけ耳の様々な疾患の原因になるものです。せっかくですから耳鼻科に行って正しい耳掃除の方法を聞いてみるだけでも、耳の衛生管理の役に立ちます。
また、耳鼻科の医師に耳掃除をしてもらいましょう。その際に、耳の健康状態について確認してもらえば安心です。

また、耳鼻科でアレルギー検査もしてもらえますから、アレルゲンの特定や予防方法などの指導を受けましょう。

感染症については、軽度であっても耳鼻科を受診することをお勧めします。できるだけ症状を進めないことがもっとも重要な対処です。

今回取り上げた外耳道真菌症は、感染後ゆっくりと症状が出はじめます。強いかゆみなどの自覚症状が出たときには、カビの繁殖がだいぶ進んでしまっています。真菌の感染は自然には治りません。必ず耳鼻科を受診して、完治まで治療を受けてください。

この記事の監修ドクター

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たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

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