2016.08.17

医師が教える眼瞼下垂の日帰り手術・費用

この記事の監修ドクター

監修ドクター
一般財団法人 操風会 高畠西眼科
徳山 英二郎 医師

岡山県岡山市北区田中138-101

086-238-1124

http://takabatake-ganka.org/west/

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瞼を閉じる

眼瞼下垂(がんけんかすい)という病気をご存知でしょうか。眼瞼下垂は、一言でいえば、目が開きづらく、まぶたも重いという状態の事です。

まぶたは非常にデリケートな部分であり、左右の僅かなズレでも気になる目立つ部分でもあります。眼瞼下垂の手術目的は“充分に目が開くようになる”という機能面の改善に加え、二重の形や、左右のバランスと言った外見面の問題もあり、患者さんに満足していただくのが非常に難しい治療だと考えられています。審美面の治療は保険診療の範囲外となる等、手術や治療においては事前に把握しておくべき内容があります。

今回は専門医の監修のもと、眼瞼下垂の日帰り手術と費用についてご説明します。


眼瞼下垂とは

眼瞼下垂(がんけんかすい)とは「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」というまぶたを持ち上げる役割を担う筋肉の力が衰退し、目が充分に開かなくなってしまう症状の事です。


眼瞼下垂


目尻に皮膚がかぶさり、眠そうでぼんやりしている風に見える、目つきが悪い、といった印象に見られがちになります。

眼瞼下垂には先天性のもの、神経筋疾患、老人性、外傷性のもの、長期間コンタクトレンズを装用した事で発症する後天性のものがあります。昨今は20〜30代の若者世代でも発症する事が多い病気です。

こんな人は注意

・おでこにしわが増えてきた
・肩こりや頭痛がする
・年齢より老けて見られる
・「寝不足?」「疲れてる?」と言われる事がある
・目を開いた時に、黒目が隠れ視界が狭くなった
・瞼(まぶた)が重く、開きづらいと感じる時がある
・スマートフォンやパソコン等を使う機会が多い

眼瞼下垂の原因

目をこする女性眼瞼下垂(がんけんかすい)を発症する代表的な原因は以下のとおりです。

・強く眼をこする癖がある
・パソコン・スマホを長時間使用する

・長期間のコンタクトレンズ装用
・加齢により瞼(まぶた)の筋力が低下し皮膚がたるんでいる
・先天的に瞼(まぶた)の厚みが大きい

先天性の場合

生まれつきの眼瞼下垂である「先天性眼瞼下垂(せんてんせいがんけんかすい)」では異常が眼瞼挙筋を働かせる神経にあるもの、眼瞼挙筋の働きが弱いものがあります。中でも最も多いのが「筋肉の働きが弱いもの」です。

後天性の場合

「後天性眼瞼下垂(こうてんせいがんけんかすい)」の場合は、まぶたの皮膚がたるんでしまう場合や、挙筋腱膜が伸びる事で瞼板から眼瞼挙筋が離れてしまう場合が多いと考えられています。

頻繁にまぶたをこする人、眼の周辺に怪我をした事がある人、長期間コンタクトレンズを使用している人、眼の手術をした事がある人が発症する場合もあります。

他の病気の関係で発症する場合

「顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)」のように顔の筋肉を動かす神経が動かなくなる症状や、「動眼神経麻痺(どうがんしんけいまひ)」と呼ばれる眼球を動かす神経が動かなくなる症状、筋肉が弱く、疲れやすくなる症状「重症筋無力症」や、眼球が縮小する病気、骨折が起因となった「眼球陥没」に伴い、発症する場合があります。

まぶたのたるみによる悪影響

あまり知られていませんが、まぶたのたるみは身体に様々な悪影響を及ぼす場合があります。頭の筋肉とまぶたを持ち上げる筋肉は連動しており、まぶたを持ち上げる筋肉の緊張は頭・額の筋肉に伝わることで一緒に緊張してしまいます。頭・額の筋肉が緊張すると、その緊張を首から肩にかけた筋肉がかばうので連なって緊張してしまうため、頭痛や肩こりが起こりやすくなるようです。
肩こり 女性
緊張したまま放置しておくと、頚椎がまがって猫背になり、最終的に腰痛につながる可能性があります。まぶたを持ち上げる筋肉の中に「ミュラー筋」と呼ばれる筋肉が存在しますが、ミュラー筋は眼を開いている時に動いています。そのミュラー筋を司っているのが自律神経なので、ミュラー筋が活発に活動している間は自律神経も同じく活発に活動し、休む時は同じように休みます。

しかし、まぶたがたるんだ状態だと眼を開けている時間はミュラー筋がより多く働く必要があります。すると自律神経が稼動状態を通りすぎてしまい、緊張した状態になってしまうのです。加えて睡眠時に下と上のまぶたが合わさっている時間はミュラー筋が活動を続けており、活動状態を継続しています。

これにより「不眠」状態になってしまうのです。すると不安、慢性疲労という症状がおき身体に悪影響が及ぶのです。



眼瞼下垂の種類

先天性眼瞼下垂

先天性眼瞼下垂とは、眼瞼挙筋が形成不全である等の理由が元で発症するものです。

先天性眼瞼下垂は片方のまぶただけ発症する場合も多く、遺伝が関わっているのではないかと考えられています。まぶたの開瞼には2つの大きな筋肉が関わっています。

1つが「眼瞼挙筋」と呼ばれる動眼神経からの指令で動く筋肉です。2つが「ミューラー筋」と呼ばれる交感神経の緊張で収縮する筋肉です。顔を正面に向けまっすぐにした際の体制で、黒目の上までまぶたが上がらない場合は先天性眼瞼下垂となります。

後天性眼瞼下垂

後天性眼瞼下垂は、筋力があるないではなく、加齢による筋肉の低下、筋肉や皮膚が弛緩、パソコン・スマートフォンの長時間使用等の眼の酷使、アトピー・花粉症等のアレルギー疾患の影響、過剰なメイクによってまぶたをこする等の行為により皮膚が著しくたるんだり、眼瞼挙筋腱膜と瞼板の接合がはずれてしまう等の問題が原因で発症・悪化する場合があります。

後天性眼瞼下垂の発症者は増加傾向にありますが、視野が妨げられると身体には、顎が軽く上がる、眉が持ち上がる等の代償作用が働き、それにより症状の発見が遅れてしまう場合があります。

眼瞼下垂が片側のみの場合であれば、判断が比較的簡単になりますが、眼瞼下垂が両側性で、形成的に異常がある場合は判断が困難になる事もあります。

老人性眼瞼下垂症(皮膚弛緩症)

また、皮膚が加齢によって著しく伸びてしまい、上方視を中心に視野が妨げられる状態を「老人性眼瞼下垂症(皮膚弛緩症)」と呼びます。老人性眼瞼下垂の場合は筋肉等に処置は施さず、皮膚のみを切除すれば視野を確保できるので皺取り手術として美容整形外科では行われています。


眼瞼下垂の手術(日帰り手術)

眼瞼下垂の手術は、皮膚がたるんでいる場合と、まぶたの筋肉が緩んでいる場合の2種類で大きく分けることができます。

皮膚がたるんでいる場合の眼瞼下垂の手術

眼瞼下垂_皮膚のたるみまぶたの機能自体には問題ないものの、皮膚がおおいかぶさってしまい視界を塞いでしまうため、解消するための手術となります。
眼瞼下垂_切除部位
眼瞼下垂の日帰り手術は局部麻酔を用いて行われます。症状によって、切除する箇所は2種類(①眉毛の下、②まぶた)から選択します。

眼瞼下垂_眉毛の下切除

①の眉毛の下の皮膚を切除する場合には、まぶたの皮膚に影響しないので自然な見た目になる点でメリットがあります。まぶたの開き具合を見ながら切り取る量を微妙に調整しながら手術を行います。
眼瞼下垂_まぶたの一部切除

②のまぶたの皮膚部分を切除する場合には、二重のラインをどこにするか、ある程度決められる点がメリットになりますが、皮膚が厚かったり、切除する量が多くなる場合には、少し不自然な仕上がりになる可能性もあります。

まぶたの筋肉が緩んでいる場合の眼瞼下垂の手術

目を開くためのまぶたの筋肉(眼瞼挙筋)の一部が緩むことで、目が開きづらくなっている状況を解消するための手術です。

眼瞼下垂(まぶたの筋肉が緩んだ場合)こちらも局部麻酔を用いて行い、緩んだ眼瞼挙筋を瞼板(けんばん)というまぶたの組織に固定する手術を行います。
眼瞼下垂_まぶた切開二重の部分でまぶたを切開し、緩んでしまった筋肉を引っ張り出して、瞼板に縫合固定するもので、皮膚が余る場合には皮膚切除も同時に行う事もあります。

眼瞼下垂_切開部分を閉じる

座った状態で十分に目を開けることが確認できたら、切開した部分を閉じて手術は終了となります。

眼瞼下垂手術の時間

医療機関によって異なりますが、眼瞼下垂の手術は問題なく進めば両眼で20〜30分程で終了し、日帰り手術での対応が可能です。また、お風呂への入浴は手術当日から可能です。

手術後の入院も可能

眼瞼下垂の手術を自宅から遠く離れた医療機関で受けたいと考える患者さんもいます。その際には、手術後に入院する事も可能です。入院を伴う場合は治療費に入院費が加算されます。


手術の費用

眼瞼下垂に保険は適用される?

眼科にて行う眼瞼下垂の手術は、機能の改善を目的とするため、基本的には治療費用には保険が適応されます。美容外科等で、審美を目的に手術をする場合には健康保険が適用できずに自費診療となるのが一般的ですので、あらかじめ保険適用になるのかついてもご確認されることをお勧めします。

健康保険適用の場合の費用

以下に、保険適用の場合の費用をご紹介させて頂きます。窓口でお支払いしていただく費用は患者様毎に異なるので、あくまで目安となります。

健康保険が1割の場合:約10,000〜15,000円程度
健康保険が3割の場合:約30,000〜45,000円程度

自由診療の場合の費用(参考:都内の美容外科)

通常の切開手術であれば、片目で約250,000〜500,000円程度と大きく開きがありました。費用負担も大きくなりがちですので、まずは健康保険適用の範囲で何ができるのか、専門の眼科医に指示を仰ぐのがよさそうです。

手術後について

・手術終了後は、安静室で30分~1時間まぶたのクーリングを行った後、出血等の問題がないことを確認してから帰宅していただきます。
・手術当日は、帰宅後もできるだけまぶたのクーリング(水道水で濡らして軽く絞ったタオルを眼の上においていただいたので結構です)を行って下さい。
・1週間は激しい運動はお控え下さい。
・入浴は手術当日から可能です。(洗顔も可能ですが、まぶたを強くこすらないようご注意下さい)
・抜糸は約1週間後の外来で行います。
・目元のお化粧は抜糸翌日よりしていただいて構いません。

手術後の腫れ・皮下出血について

個人差はありますが、手術後のまぶたの腫れは必ず起こります。腫れは手術翌日~翌々日がピークとなり、その後急速に引いてきます。ほとんどの場合、2週間ほどで目立つ腫れは消失しますが、完全に落ち着くまでには2~3ヶ月かかります。まぶたが腫れている間は、二重の幅が非常に広く見えますが、腫れが引くと共に幅が狭くなり、術前に予測していた二重の幅になってきます。
また、まぶた周囲に青あざのように皮下出血が出ることもあり、特に血液をサラサラにするお薬を内服されている方では強く出ることが多いですが、腫れと同様に2週間ほどで下方に広がりながら吸収されていきますので心配ありません。

手術痕について

通常、まぶた周囲の傷は数ヵ月でほとんどわからなくなりますが、完全に傷がなくなるわけではありません。傷が気になるという方は術前に十分に検討されることをおすすめします。

「過矯正」と呼ばれるまぶたが上がりすぎてしまった状態に至ってしまった場合、「低矯正」と呼ばれるまぶたの上がりが不足している場合、左右で差が出てしまった場合は再度手術を行う事もあります。加えて術後に上まぶたに発生した皮膚のたるみが気になる場合もありますが、手術で皮膚のたるみを切除することも可能です。


まとめ

以上、眼瞼下垂の日帰り手術と費用、原因等についてご説明させて頂きました。これらはあくまで一般的に認知されている症状で、実際に発症する症状は患者様によって異なる場合もあります。医療機関で症状について詳細に説明し、医師と納得するまで話しあうようにしましょう。

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