2016.04.26

専門医に聞いてみた!初めて大腸の内視鏡検査を受ける人に知ってほしい 6つ のこと

医師

日本人の食生活はここ数年で急速に欧米化が進みました。その結果、大腸ガンを発症する人の数が右肩上がりに増え続けています。

日本人の死因で最も多いのがガン(癌)です。そのガン(癌)の中でも大腸ガンは2番目に多くの人を死に至らせています。大腸ガンによる死者が多い理由の1つに自覚症状が現れるのが遅いことが上げられます。

大腸ガンは初期の段階だと無症状の場合が多く、症状が進行してから気がつく場合が多いようです。

ガン治療は早期発見・早期治療がポイントとなります。ガン化する前のポリープの段階で切除してしまえば、大腸がん化せず、命を落とす可能性はほとんどありません。その為には定期的(3年に1度を目安)に検査を行い、自分の体の異変に敏感になる必要があります。

大腸ガンの予防、早期発見に貢献しているのが「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」です。今回は大腸ガンの内視鏡検査、大腸ポリープ切除の専門の医師に大腸内視鏡検査、内視鏡的手術についてお聞きしました。



1.大腸の内視鏡検査(大腸カメラ)とは

大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸内に問題が発生していないか検査する為に「内視鏡」という先端にカメラがついた医療器具を肛門から体内に挿入し、大腸内の状況を確認する検査です。

検査時は、カメラを通して大腸の様子を観察するだけなく、大腸内に病変が見つかった場合には粘膜の一部を搾取し調査する「生検」を行えます。

また、切除が必要な病変(ポリープなど)が観察された場合には内視鏡的治療として粘膜の切除手術「EMR」、病変を切除する手術「ポリペクトミー」等の治療も行うことが出きます。見つかった病変の症状にもよりますが、検査時にそのまま内視鏡的治療を行うこともできます(日帰りポリープ切除手術)。

大腸の検査と聴かされると「苦しそう」「痛そう」といった理由から敬遠してしまう人も多いと思います。しかし前述したとおり、ガン(癌)を初めとした大腸の病気は自覚症状が現れるのが進行(悪化)した後なので注意が必要です。

予防、早期発見の為には、このような検査を定期的かつ自主的に受けていただく必要があります。

それに一昔前と違い、最近は医療技術、検査機器の進歩により、異物感、痛みをほとんど感じない場合もあります。医療機関を選定する際は「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の経験が豊富」な医師が在籍している医院を選ぶのがポイントです。

大腸の内視鏡検査を受けるべき人の特徴

下痢
以下の症状に心当たりがある人は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることをおすすめします。

・便潜血検査で陽性だった
・便潜血検査で陰性だったがお腹の調子が良くない人
・35歳以上の人
・血便がでる人
・突然下痢になった、下痢が長引いている人



NBI内視鏡検査について

NBIとは「Narrow Band Imaging」の略称で、日本語では「挟帯域光観察」といいます。

内視鏡のカメラがより鮮明な情報を取得できるハイビジョンスコープになっており、通常の内視鏡検査よりも病変を確認しやすく検査の精度高いです。

ポリープやガン(癌)等の腫瘍は、粘膜の状態が変化します。その為通常の内視鏡検査では判別しづらい場合があります。NBIはそのような病変を発見するのに優れている技術です。
通常光NBI光

【通常検査とNBI検査の比較】
病変の視認性が向上しているのが確認できます。

大腸ガンの予防法

定期的に検査を行う以外にも大腸ガンを予防する方法はいくつか存在します。ただし完全に予防できる方法は存在していないので、あくまで「発症しづらい体を作る」レベルでのお話になります。

一般的な方法は適度に運動して内蔵脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)を解消することです。日頃から体を動かしており、内臓脂肪の少ない人は、発症する可能性が全く運動していない人の半分以下とも言われています。

食事は魚、食物繊維、緑黄色野菜、カルシウム、ビタミンDを中心に摂取するといいでしょう。

逆に運動不足、野菜不足、加工肉、赤身肉、動物性脂肪、タバコ、アルコールを過剰に摂取していると大腸ガンを発症する可能性は高まります。

2.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用について

費用
医療費は人によってことなりますが目安となる金額を紹介します。

[初再診料・前処置薬剤・採血]
2,000~5,000円

[大腸内視鏡(検査のみ)]
5,000~10,000円

[生検(病理細胞検査)]
4,000~5,000円(※部位、個数によって金額は異なる)

[大腸ポリープ切除術(日帰り手術)]
20,000~30,000円(※入院を伴う場合入院費用が加算される)

[大腸EMR(2cm未満)]
50,000円前後(※2日間の入院を伴う場合)

[大腸EMR(2cm以上)]
60,000円前後(※2日間の入院を伴う場合)



保険適応になる大腸内視鏡検査

以下の条件を満たしている人が保険診療の対象となります。保険診療の受診は事前に保険が適応検査の対象であると診断されていることが規則で決まっているので注意してください。

・便秘、腹痛、下痢等の症状で検査が必要となった場合
・1度検査を受けており、定期健診を指示されている
・過去に検診で「要精査」と診断され内視鏡検査を受けるように指示されている
・検査が必要と判断され、かかりつけ医から紹介状を受けている

自費診療になる大腸内視鏡検査

以下の条件を満たしている人が自費診療の対象となります。

・検査を受ける段階では心身に特別な症状はない
・健康状態を確認する目的で大腸内視鏡検査を受ける

3.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)にかかる時間

時間
大腸の内視鏡検査に必要な時間は10~15分程です。症状、腸の長さによって時間は上下します。

腸内に病変があった場合、生検を行う場合は追加で5分~10分程度かかります。大腸ポリープを切除する場合は、追加で10分~15分前後かかります。

検査後は、院内の回復室等で2時間程度の療養が必要です。その後は、医師から検査結果の説明を受けて問題がなければ帰宅する流れとなります。


4.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の前日について

検査前日の過ごしかたの一例を紹介します。

検査前日の食事について

うどん
検査前日は朝食、昼食の摂取は問題ありません。夕食は気をつけていただく必要があります。検査はお腹がからっぽの状態で行われるのが望ましいです。

その為にお腹の中で影になるような食品の摂取、夜遅い食事は避けるよう指示されます。具体的には以下のポイントに注意してください。

・うどん、おかゆ等、消化によいものを摂取する。固いもの、繊維質なものは避ける
・のり、ごま等のひだが多い食品は下剤の効き目が悪くなるので避ける
・検査の数日前からマーガリン、マヨネーズ、植物油等の油っぽい食品は避ける
・食事は夜21時までに、なるべく早く済ませる
・お茶、ウーロン茶、水、スポーツドリンクはいつでも摂取できます
・水分は多めに摂取してください
・たばこ、アルコールは控える
・早めに寝る

検査前日の下剤の服用について

便秘傾向がある方は、前日より下剤を服用していただくこともあります。
医師に体調を報告して指示を受けるようにしてください。

5.大腸内視鏡検査当日について

検査当日に行われることを説明します。

検査直前の準備

[食事]
検査当日は食事を摂取しないようにしてください。

[水分]
水、ウーロン茶、お茶であれば摂取していただいても問題ありません。

[排泄]
最後にした便の状態を確認してください。血が混じっている、カスがでる、色が異様に茶色い、黄色水様、水様等の特徴を覚えておいてください。

[車・バイクの運転]
検査では、鎮静剤、麻酔薬を使いますので、検査後、ご自分で運転することはできません。

[検査直前]
検査時は身につけている貴金属はすべてはずしていただき、病衣に着替えます。

[検査本番]
診療台で横になります。内視鏡を挿入する前に、医師が指で触診を行い、異常がないか判断します。その後カメラを挿入しやすくする為、ゼリー状の液体を肛門に塗ります。お腹を楽にしてもらって鎮静剤を打ちます。腸の緊張を緩和する薬や、麻酔も使用されます。

肛門からカメラを挿入し、医師がモニター越しに大腸を隅々まで確認します。検査は何事もなければ10~15分程ですみます。


内視鏡検査後の満腹感、痛みを減少させる方法

検査前の予備知識として確認してください。

[炭酸ガス送気]
炭酸ガス送気とは、内視鏡用炭酸ガス送気装置という医療機器で炭酸ガスを発生させ、ガスを腸内に注入し予め拡張させる方法です。

炭酸ガス送気を利用することで、腸内を膨らませ、検査を行いやすくします。炭酸ガスは体内に吸収されやすいので、送気による検査後の痛みや腹満感を抑えることができます。

[無送気注水法]
無送気注水法とは、腸内に水を注入することで、腸に空気が入り発生する伸展痛を防ぐ手法です。

[受動湾曲細径大腸内視鏡]
大腸は大きく曲がりくねっております。そのためカメラがあたって痛みを発するときがありますが、腸内の屈曲に沿ってカメラを進められる[受動湾曲]の機能を搭載した内視鏡があります。

生理が検査と被ってしまった場合

生理が大腸の内視鏡検査日と被ってしまった場合ですが、検査はナプキン・タンポン等の生理用品をつけた状態で行えるので、生理中でも問題なく行うことができます。

ですが、血の量が多い人は検査で痛みを感じる場合もあります。

6.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が終わったら

検査終了直後

検査終了後は医療機関内で少し横になっていただき、体を休めていただきます。大体2時間程です。もし、体調に異変を感じたり、気分が優れないようだったら、すぐ医師に相談してください。

検査結果報告

少し休んで体調が整ったら身支度をしていただき、内視鏡で撮影した映像と合わせて検査結果をお伝えします。生検を行った場合、診断結果は後日お話させていただく場合があります。

検査後の食事

検査結果に特に問題がなければ、検査後に摂取していただく食事に特に制限はありません。

ただし、ポリープの切除を行った場合、数日間は固い物、消化に悪い物は避けて、うどんやおかゆ等の消化にいい物を食べるようにしましょう。医師から具体的な指示を受けるようにしてください。

水分摂取

内視鏡検査後の水分摂取量にも制限はありません。便秘防止のために水分はこまめに補給するようにしましょう。

入浴

シャワー程度でしたら検査当日からでも問題ありません。入浴も翌日から可能です。ただし、ポリープの切除を行った場合は1~2週間程なんらかの制限がかかる場合があります。

検査後の注意点箇条書

検査後の注意点を何点か紹介します。

・検査後はお腹が張ってくる場合があります。身体の右側を下にして積極的にガスを排出してください
・検査後当日の車の運転は禁止です。翌日からは問題ありません
・飲食に制限はありませんが、1、2時間程空けてからにしましょう
・激しい運動は1、2週間避けてください
・少量ですが便に血が混ざることがあります。気になる場合はすぐ医療機関に相談してください


最後に(まとめ)

以上、「大腸の内視鏡検査を受ける人に知ってほしい6つのこと」でした。

冒頭でもふれていますが、大腸ガンは自覚症状がでるのが遅く、症状が進行して身体的な異常が現れてから気がつくことが多い病気です。

病気を知ったときには手遅れの状態・・・なんてこともあります。ポリープの段階で発見し、切除すれば命の危険性を伴うようなことはほとんどありません。最悪の結果を避ける為に定期的、また、自主的に大腸の検査を受けるようにしましょう。