2018.02.01

手首や手の甲にできるコブ・しこり「ガングリオン」の原因・症状・治療方法|医師が解説

この記事の監修ドクター

監修ドクター
池上整形外科
池上 亮介 医師

藤沢市鵠沼藤が谷2-1-21

0466-26-3711

http://www.ikegami-seikei.com/

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ガングリオンとは

ガングリオン。なんだか漫画の宇宙戦士みたいな名前ですね。いかつい名前ですが、ガングリオンは比較的若い女性に多く発症します。

このガングリオンの正体は腫瘤(しゅりゅう)と呼ばれるものです。腫瘤とは、腫(はれ)た瘤(こぶ、かたまり)という意味です。文字は似ていますが、細胞が異常に増殖して塊になった「腫瘍」とは違います。腫瘍には良性と悪性があります。悪性腫瘍の代表ががんです。がんが悪性といわれる理由は、周囲の組織に染み出るように広がり(浸潤といいます)、あちこちに転移することです。良性のものは浸潤と転移を起こしません。ガングリオンは非腫瘍性の腫瘤で良性ですので浸潤や転移は起こしません。

ガングリオンは関節を包んでいる関節包や腱鞘のある場所にできます。
関節包とは関節部分で骨をつなぎ止めている靱帯です。内部には関節の動きを滑らかにする滑液が分泌されています。
腱鞘とは、手首や足首の腱の回りを包み込んでいる鞘状の組織です。この中にも滑液が分泌されています。これがあるために指や手足の関節がスムーズに動きます。

ガングリオンは手関節の甲側にできるものが多く、手首の掌側でも親指側の付け根付近、ばね指の付け根にできやすいといわれています。
ばね指とは、指の腱鞘炎です。曲げた指を伸ばそうとしたときにピンと一気に伸びてしまい痛みを伴う症状を指していう言葉です。

ガングリオンの症状

ガングリオンの大きさは米粒大からピンポン玉大までさまざまです。こぶの袋の中にはゼリー状のものが詰まっています。柔らかいものと、線維化して硬くなったものがあります。硬い塊が出てきたケースでは、「骨が出てきた」、「骨が変形してしまった」と慌てることもあるようです。

ガングリオン自体に痛みなどの特有の症状はありませんが、神経を圧迫することでさまざまな症状を引き起こします。手のしびれや痛みなどの感覚異常や麻痺、思うように手や指を動かせなくなる、関節が固まってしまうなどの運動麻痺の症状が見られることがあります。
また、ガングリオンが腱を圧迫した場合には、痛みを感じます。
ガングリオンができてしまった場合に、手を使い過ぎると大きくなることがあるようです。

ガングリオンの原因

ガングリオンがなぜできるのかはよく分かっていません。関節包や腱鞘に発生したガングリオンは独立した瘤ではなく、長い茎で関節包や腱鞘につながっています。こぶの中はゼリー状の物質が詰まっていますが、これは関節液や、腱を包んでいる腱鞘内の滑液が濃縮されたものです。

ガングリオンといえば手首というイメージが強いのですが、実は全身の至る所でできています。手と同じように、足関節にもガングリオンはできます。
骨や筋肉といった組織、神経にできることもあるようです。これらの場合は粘液変性したものが融合してガングリオンが生じると考えられています。

ガングリオンの診断

腫瘤に注射針を刺して内容物を吸引し、確認することでガングリオンと診断できます。注射針を刺しますので、痛みはあります。
注射針を刺せないほどの小さなものは、MRI(磁気共鳴画像診断装置)や超音波で検査し、診断します。この検査はまったく痛みを感じません。

また、皮膚の上からはとくに腫れ物が認められないのに、腕立て伏せのような態勢を取ると手関節の甲側に痛みがあるような場合には、オカルトガングリオンの疑いがあります。怪しげな名前ですね。腱の下などにできているために体表からは確認が容易にはできないガングリオンです。これもMRIや超音波によって診断します。


ガングリオンの治療

検査診断の結果ガングリオンであることが分かり、とくに痛みなどを伴わず日常生活に支障がないのであれば、治療の必要はありません。また、放置しておいても自然に消失することも多いようです。一説には8割のガングリオンは3年ほどで自然消滅するといわれています。

ただ、手首がぷっくりと腫れるため、見た目が悪いこともあります。とくに若い女性に多く見られるものですから、気になって取ってしまいたいと悩む方も多いでしょう。

神経や腱を圧迫してしびれや痛みを伴い、運動麻痺を起こしているような場合や、大きくなっているような場合には治療が必要になってきます。

内容物がゼリー状で柔らかいうちは穿刺吸引が可能で、注射針を刺して吸引除去するのが一般的な治療方法です。何度か吸引治療を受けるうちに治ることもあるようです。
ただ、ガングリオンの茎や袋は残ったままですので、再発のリスクは残ります。吸引後にステロイド薬を注入する場合もあるようです。

皮膚の上から力を加えてガングリオンを押し潰すという治療法もあります。ニキビを潰すようなイメージでしょうか。ただ、これは手首の構造を熟知した専門医が行うべき治療で、筋肉や関節、腱、神経などを傷めてしまうリスクが高いため、素人が独自の判断でやるべきではありません。
これもやはり再発のリスクは残ります。

穿刺吸引や押し潰す治療を施しても、ガングリオンが再発することがあります。再発を防止するには関節包や腱鞘につながっている茎を含めて、丸ごとガングリオンを摘出する手術をする必要があります。
再発防止という観点ではガングリオン予備軍である娘シスト(シスト〈Cyst〉とは「嚢胞」を意味する英語。ガングリオンは英語ではGanglion Cystと表記します)がないかどうかも確認する必要があります。

ガングリオンは良性の腫瘤です。しかし、本当にガングリオンであるかどうかは診断してみなければわかりません。まずは診断をしてもらうことが先決です。その後の治療については医師と相談しながら決めていきましょう。

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