2017.04.25

鼻水がノドにたれる後鼻漏って?医師が教える症状・原因・治療方法について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

075-752-3387

http://www.tatemoto.jp/

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後鼻漏という症名を聞いたことがありますか? 鼻からのどに何か流れ落ちる感じがして、のどにつかえ感があって頻繁に咳払いをしたり、ゴロゴロして咳き込んだり、痰が溜まったような違和感を感じるものです。これはのどの病気ではなく、鼻水がのどに大量に流れ落ちるために起こる症状です。
今回は、専門医の監修の元、後鼻漏の症状、原因、治療方法について説明します。


後鼻漏とは

鼻炎や風邪を引いたときの鼻水って、煩わしいですよね。次から次へと出てきてティッシュが何枚あっても足りません。
鼻水は、鼻腺や杯細胞から分泌された粘液と、血液からの滲出液などが混ざったもので、吸気に適度に湿り気を持たせ温度を上げたり、鼻から侵入してきたゴミやホコリ、細菌やウイルス、花粉などのアレルゲンといった異物を洗い流したりする役割を持っています。また、肺やのどの粘膜の乾燥を防いで病原菌から守ったりしています。なので、風邪の細菌が侵入してきたり花粉が飛んできたりすると鼻水の量が増えて、これらを排除しようとするんですね。

鼻水は、ほとんどが鼻の穴から出てくると思いますよね。でも、これが鼻から出ないで、のどに垂れていってしまう症状があります。後鼻漏といいます。人は健康な時でも1日に2〜6リットルも鼻水がつくられています。そのうちのおよそ3割は鼻腔につながっているのどに落ちてい飲み込まれています。
後鼻漏は健康な人にも普通にある現象ですが、鼻水がまったく前に出てこないで、のどに垂れて困っているという方がいらっしゃいます。のどに違和感を感じてとても不快で、頻繁に咳払いをしてみたり、咳き込んだり、仰向けでは安眠できなかったり、口に溢れてしまって食べ物の味が分からなくなったりします。

後鼻漏という名前はほとんど知られていませんが、一方で、成人の3割に後鼻漏の疑いがあるという調査もあります。理由が分からず咳や痰など、のどの不調に悩んでいる方が多いということですね。
とはいうものの、後鼻漏はのどの不調ではありません。ここまで説明してきたように、何らかの理由で大量の鼻水がのどに垂れてしまっていることが原因です。

後鼻漏の症状

 

健康な人でも鼻水の3割ほどは後鼻漏がありますが、ほとんど意識しないうちに飲み込んでいます。後鼻漏がひどい方では、鼻水がのどに垂れていくのを感じるといいます。その結果、様々な不快症状を感じています。

代表的なのが咳き込みや咳払い、むせる、痰がからむ、エヘン虫などの、のどの違和感です。異物感を感じることもあります。さらに鼻水が口に回ることで口の中がネバネバしたり、口が臭ったりすることもあります。また、食事が美味しくない、変な味に感じるなどの味覚障害を訴える方もいます。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の方で鼻水が増えると後鼻漏の量が増えるため、のどの違和感はさらに増すことになります。とくに、仰向けに寝たりするとストレートにのどに落ちて溜まっていきます。
就寝中にのどに溜まった後鼻漏は粘り気が増し食道へ流れ落ちないために、横向きになって気道を確保しないと苦しくて寝られないという方もいて、後鼻漏が気になって睡眠不足になるなど睡眠障害を生じる方が多くいらっしゃいます。朝になると、溜まった後鼻漏をはき出すために咳き込むことも多いようです。

炎症で粘膜下の毛細血管が腫れたりすると鼻が詰まってますます後鼻漏が進みます。口呼吸になって乾いた空気を気管に送り込みますのでのどの乾燥を促し違和感が増すだけでなく、細菌やウイルス、アレルゲンなどの侵入を容易に許してしまいます。
お子さんの場合には扁桃が腫れやすく、高熱を出す扁桃炎になることもあります。さらに、子どもの耳管は短くて真っ直ぐなため鼻をかんだりした拍子に鼻水が入りやすく、その結果、中耳炎を併発することもあります。

咳が治まらない、痰がからんでのどを鳴らす、口臭を感じる、味覚障害や睡眠障害を生じるなど、様々な症状に悩まされるだけでなく、周囲の人への気遣いなども負担となって、後鼻漏の患者さんはQOL(生活の質)に多大な影響に苦しんでいます。


後鼻漏の原因

後鼻漏はのどの異常ではなく、鼻の異常です。何らかの原因で鼻水が大量に発生しています。この原因を絶つことが第一です。
鼻水が増える原因として考えられるのは風邪やアレルギー性鼻炎です。また臭うような鼻水であれば副鼻腔炎(ちくのう症)が疑われます。鼻粘膜が炎症を起こすことで鼻腺が刺激され、大量の鼻水が生じます。

後鼻漏の治療方法

まずは原因となっている鼻の疾患を治すことです。耳鼻咽喉科で適切な治療を受けてください。
症状が重いケースでは、炎症などによって鼻粘膜が変性して鼻腺が増殖してしまっているために、鼻水の量が増えていることがあります。この場合はアレルギー性鼻炎などへの抗アレルギー薬による治療では改善が見られないことがあります。

鼻粘膜の変性に関しては、レーザーによる粘膜焼灼やメスによる粘膜切除術がありますが、どちらも加湿、加温、除菌などの粘膜の機能を担う上皮を大きく損なってしまいます。
近年、注目されているのが粘膜注射です。鼻粘膜内に直接薬剤を注射します。主成分のエタノールは凝固作用を持っていて粘膜を収縮させ減量させることができます。増殖した余分な鼻腺や血管、神経がある粘膜の下層部分だけを取り除きます。バリア機能を持つ粘膜上皮はそのまま残されるため、粘膜本来の機能は損なわれないという利点があります。
局所麻酔が必要で、施術に数時間かかりますが、入院の必要はありません。

市販の薬で症状を抑えようとする方もいらっしゃると思いますが、それには注意が必要です。まず、のどへの対処療法では根本原因を取り除けないため、症状が長引きます。
また、盛んに咳が出ることがあるため、自己判断で咳止めを服用することがあるかもしれません。これはかえって逆効果になることがあるので避けましょう。後鼻漏での咳は、のどに溜まった鼻水を出そうとする生理反応の咳ですから、これを抑え込むと出すべきものが出て行かないために、のどの違和感の原因である後鼻漏を長引かせることになります。
まずは耳鼻咽喉科を受診して、医師の指示に従ってください。

まとめ

後鼻漏はまだまだ認知が進んでいない症状です。鼻水がのどに流れ込むことで起こる様々な不快感はなかなか理解してもらうことが難しく、咳き込む、痰がからむ、のどを頻繁に鳴らすなどが気になって人前に出ることを憚るようになったという人が結構います。睡眠障害や味覚障害など生活全般への影響も多く、QOL(生活の質)を損なう大きな原因となります。
鼻水がのどに垂れていく感じがあって、咳や痰などの症状があり、仰向けでよく眠れないというようなことがある場合には、まずは耳鼻咽喉科を受診してみましょう。


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たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

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