2017.04.21

耳かきで起こる外耳道炎って?医師が教える原因・症状・治療方法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

075-752-3387

http://www.tatemoto.jp/

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耳がかゆいと、ついつい耳を触ったり、綿棒などで耳掻きをしたくなりますね。でも、ちょっと待ってください。外耳道炎だった場合、その行為が症状を悪化させることにもなりかねません。また、耳掻きが外耳道炎の原因になっているかもしれません。
今回は専門医の監修の元、外耳道炎の原因、症状、治療方法について説明します。


外耳道炎とは

耳たぶ(耳介)から鼓膜までを外耳といいます。
そこにある「道」、つまり耳の穴の入口から鼓膜までを外耳道といいます。
外耳道炎とは、この外耳道の表面に炎症が起こるものです。
細菌が感染しているケースと、細菌感染から真菌(カビ)の感染に発展しているケースがあります。

外耳道炎は、外耳道が何らかの原因で傷がつき、そこに細菌などが感染することで起こります。
外耳道に傷がつく原因で圧倒的に多いのが耳掃除です。ほかに、水泳やお風呂で耳に水が入ったり、シャンプーやヘアスプレー、毛染めの染料などの薬品が入って刺激となって、炎症を起こすことがあります。また、汚れたまま使用しているとイヤホンなども外耳道炎の原因となります。

外耳道炎は“かゆみループ”で悪化します。炎症の初期はかゆみです。かゆいのでつい指や綿棒で掻きたくなります。それで傷が広がって炎症がひどくなり、ますますかゆみが強くなって掻きたくなります。それを続けていくと、やがて痛みを感じるようになります。

外耳道炎の症状

外耳道炎の初期には軽度のかゆみを感じます。やがて激しいかゆみや痛がゆさに変わっていき、夜も眠れないほどの痛みを感じるようになります。耳に触れたり引っ張ったりすると強い痛みを感じます。また口を動かすと耳が痛むことがあります。

炎症が進むと、膿のような耳垂れが出てくることもあります。また、耳が詰まったように感じ、耳鳴りがしたり、音が聞こえにくい難聴になることもあります。
耳の詰まりは、実際に外耳道が腫れて狭くなっていることによって感じます。腫れが外耳道を塞いでしまうこともあります。真菌に感染している場合には、大きく厚い耳垢のような菌膜ができて、これが鼓膜などに及んで難聴を引き起こすことがあります。

外耳道炎を繰り返しているうちに、外耳道の皮膚とその下の骨が厚くなって、外耳道を狭めているケースもあります。外耳道炎が慢性化して、なかなか治らない状態になっています。

感染がひどくなると、顔面や頸部が腫れ、高熱が出る場合もあります。
ごくまれに、糖尿病があったり高齢などで免疫が低下している場合には、感染が脳に及び命の危険にさらされることがあります。悪性外耳道炎という緑膿菌による感染症で、外耳道から周囲の軟部組織、側頭骨、頭蓋底部へと壊死性の炎症が進行します。顔面神経麻痺や様々な脳神経症状が起こります。


外耳道炎の原因

外耳道炎の原因の第一は、耳掃除による創傷です。外耳道の皮膚は非常に薄く、綿棒や耳掻き棒などで簡単に傷がついてしまいます。そこに細菌が感染して炎症を起こします。また、とくにお子さんの場合、夏季にはプールに入ることがあります。耳に多少の水が入ったとしても通常はそのまま蒸発していきます。しかし、外耳道に耳掻き傷などがあれば、プールの水によって炎症を引き起こしやすくなります。耳に水が入るということでは、お風呂も同じです。シャンプーなどにも気をつけたいところです。
大人であればヘアスプレーや毛染めの染料などの化学薬品が刺激となって、炎症を起こすことがあります。また、音楽プレイヤーや補聴器などで頻繁に使うイヤフォンなども清潔にしていないと外耳道炎の原因となります。

耳掻きは危ない!?

ところで、耳掃除は必要ないのでしょうか?
専門医の中には、耳掃除は不要で危険なだけなので今すぐ耳掃除道具を捨てるように警告している方もいます。

でも、気持ちいいですよね。これは心地よさを感じる迷走神経の一部が耳の近くを走っているためです。また、耳には110ものツボがあるといわれていて、これを刺激するために気持ちよくなるともいわれています。

耳垢は、外耳道の入り口から3分の1付近にできます。それより深い部分に耳垢はありません。それは、この部分に汗腺の一つである耳垢腺があり、ここから出る分泌物が古くなった表皮細胞やホコリなどをまとめて耳垢として排出するからです。
そもそも外耳道はおしゃべりや食事の際にあごを動かすことで、自然に耳垢を外へと運んでいくはたらきを持っています。したがって、無理矢理耳垢を取らなくて自然に排出されるといわれています。
さらに、実は耳垢には外耳道を清潔に保つ機能があるといわれています。耳垢がバリアとなってホコリや異物の侵入を防いだり、耳垢自体が抗菌性を持っていて細菌などから外耳道を守っているというのです。

この説によれば、耳掃除は必要ないということになります。むしろ、外耳道に傷を付けやすく感染症の原因になり、また掃除をすることでかえって耳垢を耳の奥に押し込んで耳垢塞栓(耳垢が外耳道を塞いでしまう)を起こしているケースもあって、“百害あって一利なし”ということになります。

一方、その耳垢塞栓ですが、耳垢が詰まることで難聴や耳鳴り、自声強聴といって自分の声が大きく響いてしまう症状が出ることがあります。「耳が聞こえていないようなんです」といって耳鼻科にお子さんを連れてくるお母さんがいますが、診察してみたら耳垢がいっぱいに溜まっていたということもあるようです。生まれつき代謝が良くて耳垢が多い方もいます。子どもの耳掃除が怖いというお母さんも多いようです。
耳垢塞栓が大きくなりすぎたり、外耳道にへばりついてしまっている場合には、特殊な耳垢水で耳垢をふやかしてから取ることもあります。
こうしたケースからは、適度に耳掃除はしたほうがいいのではないかとも思われます。

日本人のほとんどはカサカサと乾いた耳垢をしています。こうした耳垢の場合は通常自然と表に出てきますので、ほとんど耳掃除は必要ないようです。気になるようであれば、入口から1cm程度のところを綿棒などで拭き取る程度で、十分耳の清潔は保たれます。また、年に1度くらい、耳鼻科で耳垢を取ってもらってもいいでしょう。
湿性の耳垢の方は、感性の方に比べれば耳掃除の頻度を高める必要があるようです。それでも耳鼻科で年に2、3回耳垢を取ってもらえば問題ないようです。
ちなみに、耳鼻科での耳掃除は医療行為として認められています。

外耳道炎の治療方法

外耳道炎の治療では、最初に耳垢をきれいに掃除し、外耳道を消毒します。その上で抗生剤の点耳薬やステロイドの軟膏などを使って炎症を鎮めます。炎症がひどい場合には抗生剤を内服することがあります。
耳垂れがひどいような場合には、10分ほど耳に薬剤を注入しておく耳浴を行うこともあります。ブロー液(酢酸アルミニウム水溶液)などによる洗浄を行う場合もあります。
治療を開始すれば、5〜7日程度で完治します。

外耳道炎が真菌感染に進行している場合には、症状を悪化させるためステロイド軟膏は使えません。通院して消毒と洗浄を繰り返しカビをすべて取り除いて、抗真菌剤薬を患部に塗布します。炎症がひどい場合には抗真菌薬を内服することもあります。
真菌性の炎症は治療に時間がかかります。1ヵ月から数か月かかることがあります。自己判断で通院をやめてしまうと、再発することがあります。

いずれの場合も、治療中の耳掃除は厳禁です。炎症を悪化させてしまいかねません。かゆみなどが気になるとは思いますが、極力耳で触ることも避けてください。入浴やシャワーの際にも、耳に水が入らないよう気をつけてください。また、イヤフォンの装着も、患部の乾燥に悪影響があるため控えましょう。

まとめ

耳掃除については、外耳道を傷つけ外耳道炎の原因になるものです。頻繁な耳掃除は控えたほうが良さそうです。耳鼻科に行って耳掃除をしてもらい、また、耳鼻科医に正しい耳掃除の方法を聞いてみましょう。ご自身の耳だけでなく、お子さん、家族の耳の衛生管理に役立つと思います。


この記事の監修ドクター

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たてもと耳鼻咽喉科クリニック
立本 圭吾 医師

京都府京都市東山区三条大橋東入ル大橋町94 三条鈴木ビル5F

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http://www.tatemoto.jp/

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