2016.04.15

妊娠中は注意!医師が教える妊婦の下肢静脈瘤症状と治療方法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
梅田血管外科クリニック
古林 圭一 医師

大阪市北区曽根崎2-1-12 国道ビル5F

050-5828-4782

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妊娠中

妊娠中の女性の体はとってもデリケートなうえ、ホルモンバランスがくずれるため、身体に様々な症状があらわれやすくなります。

足の病気である下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)も発症しやすい症状の1つで、妊婦さんの20%ほどが下肢静脈瘤を発症するという統計もあります。さらに高齢出産が増加傾向にある近年は、下肢静脈瘤を発症する妊婦さんの数も増えてきていると言われています。

下肢静脈瘤は、足にむくみや、痛み、だるさなどの症状を引き起こすだけでなく、その見た目のわるさから「はやく治したい・・・」と悩まれるかたが多いのですが、治療には手術が必要になる場合もありますし、妊娠中は基本的には麻酔を使った治療は行わないので、症状に不安になる方もいらっしゃいます。

今回は「妊娠中に下肢静脈瘤になったら・・・」をテーマに、以下について説明したいとおもいます。

・下肢静脈瘤とはどのような病気なのか
・妊娠中の下肢静脈瘤症状はどうすればいいのか?
・妊婦が下肢静脈瘤になる原因
・妊婦の下肢静脈瘤治療方法
・妊婦の下肢静脈瘤手術
・妊娠中のトラブルを避ける下肢静脈瘤の予防方法
・下肢静脈瘤の治療相談ができる医療機関一覧

「最近妊娠していることがわかったけど、下肢静脈瘤が心配・・・」「妊娠中はどうやって予防すればいいの?」「妊娠中に下肢静脈瘤の治療をしてもいいの?」「下肢静脈瘤になる原因は?」というお悩みをおもちの方にぜひ読んでいただきたいです。


下肢静脈瘤とは


下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の静脈の逆流をとめる静脈弁が機能しなくなり血液が逆流し、足の静脈内に血液がたまってしまいます。その影響で静脈が拡大して皮膚の表面にボコボコと浮かびあがってしまったり、血管がクモの巣状に浮かびあがってしまう病気です。

下肢とは「足」のことで瘤は「こぶ」とも読みます。下肢静脈瘤は、発症している人もおおく、良性の病気なので「命にかかわることはすくないので放置しておく」という方もいます。

しかし症状が重度になってしまうと色素沈着してしまい肌がくろずんでしまったり、血栓がのこるなどの合併症をひきおこすこともあります。

加えて下肢静脈瘤は放置しておいても自然に治癒することのない病気です。放置すれば放置しただけ症状は悪化します。

「あきらかに足がむくんでいる」「だるくてしかたない、重い」「痛みが気になる」という症状にお悩みでしたら1度病院でお医者さんに相談することをおすすめします。それに早期に治療したほうが症状の改善期間も短くできます。

妊娠中の下肢静脈瘤症状は?

 

下肢静脈瘤の分類

下肢静脈瘤は以下の4種類に分類されています。種類毎に治療法がことなるため注意してください。

・伏在静脈瘤
・側枝静脈瘤
・網目状静脈瘤
・クモの巣状静脈瘤

[伏在静脈瘤(ふくざいがたじょうみゃくりゅう)]
血液が静脈を拡張し、蛇行した太い血管が肌の表面にうきでる種類の静脈瘤。

[側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)]
伏在静脈瘤とくらべると、若干細めの血管が肌の表面にうきでる種類の静脈瘤

[網目状静脈瘤(あみめじょうじょうみゃくりゅう)]
肌のうえから細い血管がすけてみえる種類の静脈瘤

[クモの巣状静脈瘤]
まるでクモの巣のように放射線状にひろがった毛細血管が皮膚のうえからすけてみえる種類の静脈瘤

妊娠中の下肢静脈瘤の症状


妊娠中の下肢静脈瘤症状はどのような症状をひきおこすのか説明します。主に以下のような症状が発症します。

・足がむくむ
・足がつりやすくなる
・足が疲れやすくなる
・足がつねにだるい
・湿疹(しっしん:肌の炎症)ができ、かゆみがおさまらない
・曲がった血管がうかびあがってくる
・太もも、ふくらはぎ、ひざの裏の血管がボコボコともりあがってくる
・皮膚が黒ずむ

特に足の表面の問題を気にされる患者様がいらっしゃいます。下肢静脈瘤になると色素沈着(しきそちんちゃく:皮膚に色がついてしまうこと)したり、湿疹ができて皮膚のかゆみがおさまらなくなったりすることがあります。

すでに「足の血管が最近気になってる・・・」という方は早めに病院でお医者さんに相談しましょう。


妊婦が下肢静脈瘤になる原因

妊娠することで、女性の体内ではエストロゲン(卵胞ホルモン)とよばれる女性ホルモンが分泌されます。このエストロゲンには以下のような効果があります。

・血液をかためる作用があり、出産時の止血を助ける
・妊娠中の血液の増加にあわせて血管を拡張する

エストロゲンがもつ“血液をかためる作用”“血管を拡張する作用が”はたらくことで、静脈にある血液の逆流をふせぐ役割をしている「逆流防止弁」のはたらきを鈍らせてしまいます。

逆流防止弁は正常な状態であれば足の血液を心臓に送りもどし、血行を促進するのですが、はたらきが鈍くなることで血液が静脈内で逆流し、血行がわるくなり、本来であれば心臓にもどっていくはずの血液が足に滞るようになってしまいます。

それに加え、妊娠すると胎児が成長するにつれて子宮がおおきくなります、おおきくなった子宮は腹腔内(ふくこうない:腹部内のくうどうのこと)の静脈を圧迫します。

腹腔内の静脈が圧迫されると、心臓に血液がもどるのを妨げてしまいます。このように血管が太くなったり、血液が固まりやすくなったり、静脈が圧迫されたりするため、通常時よりも妊娠中のほうが下肢静脈瘤になる可能性がずっと高くなります。


妊婦の下肢静脈瘤治療方法


妊娠中に下肢静脈瘤になると心配ですよね。

あわててインターネットで検索・・・調べているうちにもっと不安になって「すぐに治療したい!」と、なってもちょっとまってください。妊娠中の下肢静脈瘤は、ただ手術すればいいというものではありません。

適切な手順、タイミングを説明します。

妊娠中の下肢静脈瘤は出産後自然に治る場合がある

妊娠中に発症する下肢静脈瘤はエストロゲンが分泌され、ホルモンバランスが変化することが原因で発症することが考えられます。

出産がおわると、このエストロゲンの分泌量がへるため、ホルモンバランスが元にもどり、下肢静脈瘤が自然に治るケースがあります。

妊娠中の治療

妊娠中に下肢静脈瘤になり、お医者さんに相談したとしても、「出産が終わるまで様子をみましょう」といわれる場合があります。

妊娠中は、お腹の中の赤ちゃんによる血管の圧迫やホルモンバランスが崩れることで、下肢静脈瘤が悪化しやすくなります。しかし、出産後、症状が軽減することが多く、手術に使う薬剤や麻酔がお腹の中の赤ちゃんに対してリスクになりうるので、妊娠中は弾性ストッキングによる圧迫療法を行います。できるだけ手術は避けた方が良いでしょう。

出産後、症状が改善しない場合は、超音波検査を受け、医師と相談して治療方針を決めましょう。

妊娠中のトラブルを避ける下肢静脈瘤の予防方法

妊娠中は下肢静脈瘤になりやすいとはいえ、予防する手段はあります。妊娠中に病気を発症して余計なストレスをためないために予防法を紹介します。主な方法として以下の4つがあげられます。

・血行をよくする
・体温管理を徹底し体を冷やさない
・適度に運動を行う
・衣類で対策する

血行をよくする

体に負担がかからないていどにマッサージやストレッチをおこない、血行の改善をはかりましょう。日常的に弾性ストッキングを着用して、足に血がとどこおらないようにして予防しましょう。

適度に運動を行う

妊娠中の適度な運動(歩行等)は効果的ですが、激しい運動は逆に静脈を傷つけてしまうようなことがあるので危険です。そのため妊娠中の運動は安定期にはいってからするようにしましょう。さて、運動の具体的な内容ですが、以下の運動がおすすめです。

・軽いウォーキング
・ウィンドウショッピングなどをしながら散歩
・入浴後のストレッチ
・マタニティスイミング、マタニティヨガ

[注意]
軽い運動でも出血があったり、お腹が痛くなったり張ったりするような問題が発生した場合は、運動を中断し、お医者さんにすぐに相談してください。

衣類で対策する

身にまとう衣類にこだわることで血行をよくしたり、冷えの対策ができたりします。具体的には以下のようなとりくみがおすすめです。

・マタニティウェアを着用する、ジーンズやガードルのようなしめつけの強い衣服の着用はさけ、ゆったりとした大き目の服装をする
・レッグウォーマーを着用し、足をあたためる

・血行を改善させる効果のある弾性ストッキングを着用する
・ヒールのような高い靴は出産がおわるまで履かない



まとめ

妊娠中の女性の体はひじょうにデリケートになっています。「下肢静脈瘤かもしれない・・・」とおもってもあせらずに、まずはお医者さんにちゃんと相談して、最良の方法で下肢静脈瘤とつきあっていきましょう。

重要なことなのでくりかえし記述しますが、妊娠中の下肢静脈流は、出産後に自然に治ることがおおいです。

妊娠中の下肢静脈流は、多量に分泌されるようになる「エストロゲン」が原因になっていることがおおいです。出産がおわるとこのエストロゲンの分泌量がへるため、下肢静脈流も自然になおるのです。

手術が必要だと判断されることもありますが、これは極稀なケースです。基本的には弾性ストッキングを着用するなどして進行を遅らせ、出産後に症状がまだ残っているようだったら治療を検討するようにしましょう。

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