2017.05.09

網膜動脈閉塞症って?医師が教える症状・原因・治療方法について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

http://www.ortho-k.jp/

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網膜動脈閉塞症とは、突然目が見えなくなる病気です。網膜の動脈が詰まり、早期に治療を受けないと網膜に回復不可能なダメージを与えることがあります。
今回は、専門医の監修の元、網膜動脈閉塞症の症状、原因、治療法について説明します。



網膜動脈閉塞症とは

網膜に酸素や栄養分を運んでいる網膜動脈が詰まって、網膜の細胞が壊死してしまう病気です。
心筋梗塞や脳梗塞は血管が詰まることで心臓や脳の機能に障害が出ます。
それと同じことが網膜で起こっているのが網膜動脈閉塞症です。

網膜は視力、視野、色覚を司る視細胞が密集している膜です。
網膜動脈が詰まることで網膜が虚血状態になり視細胞が影響を受けるため、視力が損なわれます。

網膜動脈のどの部分が詰まるかによって、極端に視力が落ちたり、部分的に視野が欠けたり(視野欠損)します。
閉塞した網膜動脈は、放っておいても血流が再開しますが、わずか1、2時間の虚血によって視細胞は回復不能なほどにダメージを受けます。したがって一刻も早い処置が必要になります。
網膜動脈閉塞症には痛みなどの目立った前駆症状もなく、突然目が見えなくなる、視野が欠けるという症状が出てくるため、様子見などをしている間に視力障害が残ってしまうこともあります。

網膜動脈閉塞症の症状

網膜動脈は、内頸動脈から眼動脈、網膜中心動脈と分岐し、網膜中心動脈は視神経の中を通って網膜に到達し、網膜の視神経乳頭で網膜内に分岐しています。網膜で分岐した動脈を網膜動脈分枝といいます。
網膜動脈の詰まりがどこで起きているかによって、症状に大きな差が出ます。

網膜中心動脈閉塞症

網膜中心動脈が閉塞を起こすと網膜全体への血流が滞るため、網膜が虚血状態になり、視細胞が光を受け取ることができなくなります。そのため、視力が極端に落ちます。矯正視力で0.1以下に落ちるといわれています。

眼底検査で網膜の様子を見ると、網膜全体が白く濁り、むくみ(浮腫)が広がっていることが分かります。
また、網膜動脈が細くなっているのが見えます。

黄斑だけが赤く浮き上がって見えるのが特徴的な所見の一つです(チェリーレッドスポットといいます)。
黄斑は視力を担う視細胞が密集していますが網膜の他の部分よりも薄く、網膜の後ろにある脈絡膜の血管が透けて見えるため赤く見えます。



網膜動脈分枝閉塞症

網膜動脈分枝が閉塞すると、閉塞箇所から先の網膜が影響を受け、部分的に下が欠ける状態になります。網膜の上半分が障害されると視野の下半分が欠損します。ただ、細かいものを見分ける視力の中心である黄斑に損傷が及んでいなければ視力が落ちることはありません。
眼底検査で網膜を見ると、閉塞の影響を受けた部分は網膜が白く濁って見えます。

毛様網膜動脈閉塞症

ごく稀に、脈絡膜の血流を担っている動脈が黄斑の血流も担っている構造の方がいます。
この血管を毛様網膜動脈といって、これが詰まることで視力の低下を引き起こすのが毛様網膜動脈閉塞症です。毛様網膜動脈から血流を受けている黄斑の部分は白濁します。黄斑は視力の中心的役割を果たしていますので視力へのダメージは非常に大きく、場合によってはほとんど光を感じられない状態になることもあります。緊急の処置が必要となります。

こうした構造の方の場合、網膜中心動脈閉塞症が起こると黄斑以外の網膜はダメージを受けますが、黄斑への血流は保たれるため視力が低下することはありません。

網膜動脈閉塞症の前駆症状

どのタイプの網膜動脈閉塞症も、強い痛みや目の違和感などの自覚症状もなく突然発症します。
ただ、ほんの数秒程度目の前が暗くなったり、軽い頭痛や眼の奥が痛む症状が出る場合があるようです。



網膜動脈閉塞症の原因

網膜動脈閉塞の直接の原因は次の3つが考えられています。

網膜動脈の動脈硬化

血管壁が硬くなって弾力を失ったり、血管内に脂肪などが付着して、血管の内径が狭くなるのが動脈硬化です。網膜動脈に動脈硬化があり、この状態で血圧が変化したりすることで血の塊(血栓)がつくられ、血管を詰まらせます。

網膜動脈より前の動脈硬化

網膜中心動脈が分岐する眼動脈や、その前の内頸動脈など、より心臓に近い側の動脈に動脈硬化が起こり、血栓や脂肪などの塊が剥がれて網膜動脈を詰まらせます。

網膜動脈の異常

網膜動脈が痙攣したり炎症を起こしたりし、あるいは何らかの事情で血液成分や血流などに変化が起きることで血流が途絶えます。網膜動脈閉塞症は加齢とともに増える傾向があり、また、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満など、動脈硬化を引き起こしやすい病気や体質の方に起こりやすいといえます。

網膜動脈に動脈硬化があるということは、全身の血管にもこのリスクがあるということです。動脈硬化は生活習慣病と深い関係があります。生活習慣病のリスクを高める喫煙や運動不足、偏った食事、過度のストレスなどは、心臓や血管にダメージを与え、網膜動脈閉塞症のリスクも高めています。

動脈硬化は網膜以外にも影響を与えます。
網膜中心動脈の分岐より心臓に近い部分、眼動脈や内頸動脈に動脈硬化が起こって循環障害が生じると、眼球全体に様々な障害が起こります。循環障害によって低循環網膜症(毛細血管瘤、出血、浮腫など)、虹彩ルベオーシス(虹彩に異常な新生血管が発生するもの)やそれに伴う血管新生緑内障などが引き起こされます。

これらを総称して眼虚血症候群といいます。眼球全体で血流が低下している状態です。これらは眼底の精密な検査によってある程度状態を把握することができますので、動脈硬化の傾向がある方は、定期的に眼底検査などによって状況を把握し、予防策を講じるようにしましょう。


網膜動脈閉塞症の治療方法

網膜動脈閉塞症では、一刻も早く血流を再開させて、網膜へのダメージを最小限に抑えることが大事です。

眼球マッサージ

網膜血管の循環を改善するために、まぶたの上から指で眼球をマッサージします。
眼圧の低下や、血栓をほぐして血流を再開させることが期待されます。

投薬による治療

血管を拡張させる亜硝酸薬(ニトログリセリンなど)や、血栓溶解剤、網膜循環改善薬などを使用して、血流の再開を促します。内服や点滴で行います。

眼圧を下げる処置

眼圧を下げることによって網膜の血管へ圧迫を急速に下げ、血流を再開させる処置です。眼圧降下薬を使ったり、角膜を切開して角膜と水晶体の間にある房水を抜きます(前房穿刺といいます)。

このほか、網膜の低酸素状態を補うために気圧の高い部屋に入って酸素を体内に取り入れる高圧酸素療法や、近赤外線治療器などで首にある星状神経節をブロックすることで動脈を拡張させる治療などが行われることがあります。

まとめ

網膜動脈が詰まることで視細胞などの網膜組織が壊死してしまう網膜動脈閉塞症は、発症から治療までのスピードがその後の視力の回復程度を左右します。血流が途絶えてから視細胞がダメージを受けるまでには1時間ほどしか猶予はありません。
一度死んでしまった視細胞は回復できません。突然、目の前が暗くなる、視野が狭くなる症状が出たら、一刻も早く眼科を受診してください。

また、網膜動脈閉塞症は動脈硬化と深く関わっています。ふだんから適度な運動やバランスのいい食事を心がけ、健康管理を怠らないようにしましょう。


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