2017.04.28

遺伝?病気?色の見え方が違う色覚異常って何?医師が教える症状・原因・治療方法について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

http://www.ortho-k.jp/

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信号の色が分かりにくい、路線図の色分けが分かりづらいなど、色覚異常では社会生活でも大きなハンディキャップを負っています。一方で、見え方の説明が難しいこともあり、色覚異常について誤解が広まっています。
今回は、専門医の監修の元、色覚異常の症状・原因と治療法についてご説明します。


色覚異常とは

色覚異常の実際

色覚異常とは、色覚が正常な人に比べて色の感じ方が異なることをいいます。色覚異常は以前は「色盲」「色弱」といわれ、「まったく色が区別できない」、「色の感覚がない」、「白黒の世界で生きている」などと誤解されていましたが、そうではありません。たとえば赤と緑、青と紫など、人によって区別のつきにくい色の組み合わせがあるという状態です。

先天性色覚異常と後天性色覚異常

色覚異常は先天性のものと後天性のものがあります。

先天性色覚異常は遺伝に関わるもので、日本人の男性の5%、女性の0.2%に見られるようです。生まれ持った色覚異常の程度は変化せず、視力や視野など、他の機能には問題がないことがほとんどです。色覚以外は一般の人と何も変わりません。
ただ、先天性の異常ですので有効な治療法はありません。

後天性の色覚異常は、目や視神経、脳の病気によって引き起こされます。
たとえば緑内障や糖尿病網膜症、網膜剥離、網膜色素変性症などの網膜疾患、視神経や大脳の疾患、精神的ストレスなどが色覚異常の原因となります。それまで見えていた色と異なって見えるため、症状は自覚しやすいといえます。

色覚異常と進学、就職

以前は小学4年生の健康診断で色覚検査が義務づけられていました。
同系統の色モザイクの中に、別系統の色モザイクの数字や記号が描かれた検査表を使い、それらを読み取れるかどうかを確認する検査です。色覚異常があっても学校生活や日常生活にほとんど支障がないこと、一部で色覚異常に対する誤解が広がったり、差別やいじめの対象になったこともあることから、2003年に廃止されて任意検査になりました。

軽度の色覚異常であれば、ほとんど制限なく日常生活を送ることができます。進学や就職に関しても、制度的な制限はほとんどなくなってきています。色覚異常者に対して、就職時に根拠のない採用制限を行わないよう厚生労働省が指導している一方、鉄道(運転士)・航空関係、警察官、消防官、自衛隊、調理師専門学校など、職業特性から一部で制限が設けられている職種もあります。


色覚異常の症状

日常生活での見え方

色覚異常では、どのような状況で見えにくさを感じているのでしょうか。
たとえば、次のような状態だといわれています。

・信号(特に夜間の点滅信号)の色が分かりづらい
・地下鉄やバス路線図のルートの色分けが分かりづらい
・紅葉の色の違いがよく分からない
・緑の黒板に赤チョークで書かれたものが見えにくい
・食材の鮮度の区別がつきづらい

見分けにくい色の組み合わせ

見分けにくい色の組み合わせは人によって異なります。
色覚異常でもっとも多いといわれる「赤緑色覚異常」(後述)の場合、次のような色の組み合わせは区別しにくい(色の違いがわかりにくい)とされています。

・赤と緑
・橙と黄緑
・緑と茶
・緑と灰色/黒
・青と紫
・ピンクと白/灰色
・ピンクと水色
・赤と黒

色覚異常が起こりやすい条件

・対象物が小さいとき
・ちらっとしか見えないとき
・暗いとき
・輪郭線がなく色のみで区別しなければならないとき(色グラフなど)
・疲れているとき


色覚異常の原因

人はものを見るときに、視力(細かいものを見分ける)、視野(同時に見渡せる範囲)、色覚(色を識別する感覚)を駆使しています。これらの機能は網膜の視細胞が担っています。色覚異常では、色覚について視細胞が十分に機能していない状態です。

視細胞には錐体細胞と桿体細胞の2つがあって、それぞれ役割分担をしています。
錐体細胞は色の識別をします。暗いところでは反応が低下します。
桿体細胞は光に対する感度が高く、暗いところでもものが見えるように働きます。
色の識別はできません。つまり、色覚異常は錐体細胞の機能不全が原因です。

人が見ている色は赤、緑、青の光の3原色の組み合わせでできています。
錐体細胞も、赤、緑、青それぞれの波長に敏感な3種類があります。
それぞれL-錐体(赤錐体)、M-錐体(緑錐体)、S-錐体(青錐体)と呼ばれています。
目に入ってきた光に対してそれぞれの錐体が反応して神経を通して情報が送られ、それが大脳の視覚中枢で色として認識されます。

どの錐体に異常があるのかによって、色覚異常が分類されています。

桿体1色型色覚

かなり頻度は低いケースです。錐体が3種類とも機能していない状態で、桿体細胞のみで見ている状態です。したがって、色の識別ができません。視力もかなり低下していることが多く、色覚以外の問題であることも考えられます。

錐体1色型色覚

これも極めて稀なケースです。赤、緑、青のどれか1つの錐体のみ機能している状態です。
機能している錐体によって「赤錐体1色型」、「緑錐体1色型」、「青錐体1色型」に分けられます。
「赤」「緑」については視力は維持されますが、「青」は視力が低下します。

2色型色覚

3種類の錐体のうち、2種類が機能し1種類が欠けている状態です。
赤が欠けているものを「1型2色覚」、緑が欠けているものを「2型2色覚」、青が欠けているものを「3型2色覚」と区別します。

異常3色型色覚

3種類の錐体のうち、1種類の感度が低下している状態です。
赤の感度が低下しているものを「1型3色覚」、緑の感度が低下しているものを「2型3色覚」、青の感度が低下しているものを「3型3色覚」と区別しています。

青錐体の異常(3型)や1色型は非常に稀で、色覚異常のほとんどは赤と緑の区別がつきづらい「赤緑色覚異常」です。


色覚異常の治療方法

色覚異常の検査

石原式色覚検査表や標準色覚検査表によって色覚異常があることは容易に分かります。同系統の色モザイクの中に、別系統の色モザイクの数字や記号が描かれた検査表を使い、それらを読み取れるかどうかを確認する検査です。

1つの基準色につづけて15色の色パネルを色相順(近い色の純)に並べていくパネルD-15テストを行うと色覚異常の程度を判断することができます。

もっとも正しい診断ができるのが、アノマロスコープという検査機器を使ったものです。赤い光と緑の光の混合割合を調整しながら、あらかじめ決められた黄色い光と同じ色に見える範囲を測定するものです。ただ、非常に高価なため通常の眼科にはこの検査装置はなく、また、検査機器の操作に熟練が必要であるため、検査きる医療機関は多くありません。

先天性色覚異常の治療

先にも書いたとおり、先天性色覚異常は遺伝による錐体異常で、現在のところ有効な治療法はありません。
生まれつきの見え方なので、本人にはそれが普通の見え方なのです。少しだけ、ほかの人たちと違うだけです。視力や視野に問題がなければ、ふつうに日常生活を送ることができます。

色覚異常に気づいたら、どの色の区別がつきにくいのか、その傾向を自覚してふだんの生活のなかで注意しておくこと、色が分かりにくい場合には助けてもらうように周囲の人たちに理解してもらうことが重要です。
学童などの場合、黒板の板書が見えにくいなどのハンディキャップがあるかもしれません。見えやすい色のチョークや色覚異常者にも見えやすいチョークなどを使ってもらうよう、学校に相談してみましょう。

後天性色覚異常の治療

後天性色覚異常は病気によるものがほとんどです。
したがって、原因となっている病気の治療によって、色覚異常の回復を図ります。

まとめ

先天性の色覚異常は治療で治るものではありません。
自分の色の見え方を自覚して、周囲にも協力を得ることで、ほぼ普通の日常生活を送ることができます。
進学や就職などでも制度的制約はかなり緩和されてきています。
色が区別しにくいことで社会的にもハンディキャップがあることは否定できませんが、それよりもそれを補う環境づくりをすることによって、自らの人生をより良く生きることを考えていきましょう。



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オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

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