2016.04.01

日本人の死因第2位の大腸がんの予防大腸カメラ(大腸内視鏡検査)について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
医療法人社団善精会 鶴町クリニック
鶴町 哲也 医師

東京都世田谷区経堂1丁目14番13号

03-3425-5220

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今回のテーマは「大腸癌(がん)」の予防、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。

日本人の死因の第1位は癌です。癌にも複数種類がありますが、その中でも大腸癌は最も多くの命を奪っている病気の1つです(男性は2位、女性は1位)。

近年、日本では食習慣、生活の変化が原因で大腸癌を発症する人が増加しており、特に女性が発症しやすい病気となってきております。しかし、予防・早期発見の第一歩である検査(大腸カメラ)は「痛そう」「辛そう」といったイメージから敬遠されており、積極的に検査を受けようとする人は少ないです。しかし、もしも病気を発症していたとしたら、症状は悪化する一方です。

最近の大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は痛みや、苦しみを軽減させる技術も進歩しており、また医師の技術によっても改善されてきております。

この記事は、大腸癌(がん)、大腸で見つかる病気、大腸カメラ(大腸内視鏡)について専門の医師に詳しく聞いてみました。
※掲載内容に関しては、専門の医師に監修いただいております。



大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは

大腸内視鏡(大腸カメラ)
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは、大腸の状況を観察する為、内視鏡を肛門から挿入してカメラを使って、大腸の状況を確認する検査です。検査では、カメラ内部を見て確認するだけではなく、細胞の一部を搾取して調査を行ったり(生検)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や、ポリペクトミーなどの内視鏡的治療(日帰り手術)で病変を切除することも可能です(ポリープ切除)。

「大腸カメラ」、「大腸内視鏡検査」と聴かされると、「なるべく検査を受けたくない・・・」と抵抗を感じる人もいると思います。実際、医療機関を訪れてくる患者さんも不安を抱えていることが多々あります。

ですが、癌のような重病の予防、早期発見、治療をする為には、定期的に検査を行い、自身の状況を把握しておくことが最も重要なのです。最近の内視鏡検査は医療機器、医師の技術が向上していることもあり、痛みや異物感をほとんど感じることなく受けていただけるようになっています。

特に大腸ポリープは癌に変化する可能性が高い上、症状が悪化してからでないと自覚症状も現れません。このような病気から命を守るためにも1度医療機関で検査を行ってみてはいかがでしょうか?

健康に不安な方は年に1度のペースで受ける方もおりますが、医師と相談し、2年に1度、3年に1度のペースで受けるのが良いそうです。

大腸癌検診(便潜血検査)で問題がなかった場合でも

健康診断等で大腸癌検診(便潜血検査)を受診した際に、問題が発見されなかった場合も定期的に検査を行い自身の健康状態をチェックして把握しましょう。

大腸癌検診(便潜血検査)で排泄物に血がついていない場合でも、顕微鏡で確認すると出血していることがわかる場合があります。この検査が「便潜血検査」です。大腸癌検診とも言います。

大腸癌検診(便潜血検査)は2日連続で採便する「2日法」という手法で行われます。検査で陽性だと便に僅かな出血がある状態なので、大腸内視鏡検査が必要になります。

大腸癌検診(便潜血検査)が陰性でも大腸内視鏡検査の受診をおススメします

前項では大腸癌検診(便潜血検査)の結果が陽性だった場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が必須と記述しましたが、もし陰性だった場合も大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は受診された方がいいです。

陥凹(かんおう)した種類のポリープ等、凹んだ形状をしている病変は出血を伴わないことがあるので、大腸癌検診(便潜血検査)では陰性の場合があります。かつ、凹んだ形状の病変は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でないと発見できません。

大腸にできるポリープは約8割の確率で癌に成長する可能性があります。健康状態に不安がなくても、的年齢(35歳以上)になったら1度検査を受けるようにしましょう。

極力痛み、違和感のない大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸の内視鏡検査(大腸カメラ)に対し「痛い」「苦しい」というイメージを持っている人は少なからずいます。痛みや苦しみの原因は、腸に空気が入ったり、腸が伸縮してしまう現象にあります。

腸に空気が入りすぎてしまうと、お腹がパンパンに張ってしまい、苦しさを感じます。その状態で内視鏡を挿入すると、加えて腸が伸びてしまいます。この状態は「伸展痛」とよばれます。伸展痛により痛みが発生します。

伸展痛は無送気注水法や内視鏡用炭酸ガス送気で対策できます。

受動湾曲細径大腸内視鏡

受動湾曲細径大腸内視鏡とは、通常の内視鏡よりも細く、曲がりやすい内視鏡を使用した検査です。

受動湾曲は腸壁にかるくあてるだけで曲がる機能です。これにより従来の検査よりも内視鏡の挿入がよりスムーズになったので、患者さんの負担も少なくなります。

受動湾曲細径大腸内視鏡    画像引用元:http://www.tsurumachi-clinic.com/endoscopy/images/wankyoku.jpg

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受診した方が良い症状

以下の症状が診られる場合は大腸になんらかの問題が生じている可能性があります。1度医療機関でご相談されてみてはいかがでしょうか。

・大腸癌家系:
癌は遺伝することもあります。血族に大腸癌を発症した人がいる場合、ご自身も発症する可能性があります。今は癌を治すことができる時代です。予防、早期発見の為にも1度検査を受けましょう。

・腰痛がひどい、続く:
大腸に問題があると腰痛を発症することがあります。

・便秘気味:
普段便秘じゃないのに、突然便秘、下痢になった人は大腸に問題がある可能性があります。

・血便をする:
大腸ではなく、痔の疾患の可能性もあります。しかし、腸の炎症、虚血性腸疾患、癌、ポリープの可能性もございます。



大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でわかる病気は

大腸ポリープ

大腸ポリープ
腸にできるポリープ全てが陰性ではありません。しかし大腸にできるポリープは約8割の確率で癌に変化する可能性があります。症状が悪化した物、大きくなっている物は癌化する場合が非常に高いです。その為、手術で切除する(ポリープ切除)必要があります。検査時に発見されたら2cm以下のポリープはその場で切除を行ってくれる医療機関もあります(日帰りポリープ切除手術)。検査を受ける前に、ポリープが見つかった際の流れを医師が説明してくれます。

大腸がん

早期癌

大腸早期がん
早期癌であれば入院せずに内視鏡手術対応できるケースも増えてきております。

大腸進行癌

大腸進行がん
大腸癌は他の癌と比較すると進行がやや遅い癌です。その為、進行癌であった場合も、手術することで症状の改善を見込むこともできます。
腸管切除の手術を行う必要があるので、専門の病院で治療を受ける必要があります。

孤立性直腸潰瘍(粘膜脱症候群:ねんまくだつしょうこうぐん)

孤立性直腸潰瘍
便秘になると、排泄の際に必要以上にいきむようになります。いきむことで直腸の粘膜が圧迫されてしまい潰瘍ができます。潰瘍ができると排泄の際に出血を伴う可能性があります。治療方法は、手術ではなく便秘の治療を行います。

潰瘍性大腸炎

慢性大腸炎
潰瘍性大腸炎の原因は未だ明らかになっていません。症状は大腸の粘膜に抗体ができ、潰瘍、びらんを作り出してしまいます。これによって微熱、粘血便、下痢などを発症します。20代でも発症する例が増加しています。治療方法は、薬を使って行う内科的な治療方法をとりますが、改善が見られない場合は、手術を検討する必要があります。

クローン病

クローン病
クローン病とは慢性炎症性腸疾患のことで、前述した潰瘍性大腸炎と症状が似ています。腸の粘膜に抗体ができ、潰瘍を作り出します。潰瘍性大腸炎と同じく原因は明らかになっていません。これによって下血、腹痛、下痢を発症したり、膠原病、ぶどう膜炎、関節炎などを合併症として発症することがあります。治療方法は、栄養療法と薬を使った内科的療法があります。

腸結核

腸結核
結核菌が腸に入り込んでしまうことで、腸内に潰瘍ができる状態です。これによって腹痛、下痢、微熱などの症状を伴います。治療方法は、抗結核薬をつかった化学療法を行うことが一般的です。

憩室からの出血

憩室からの出血
「憩室」と呼ばれる大腸の一部が炎症を起こしてしまうことで出血を伴う症状です。これによって微熱、腹痛を伴います。また、症状によっては緊急手術を必要とする場合もあります。



大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の痛み・鎮静剤、麻酔について

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の痛み

大腸内視鏡検査の受診を考えている人が最も知りたい情報は、検査に伴う「痛み」ではないでしょうか。検査自体は10~15分ほど時間が必要になります。痛みや異物感に不安がある人方も多いと思いますが、検査の時は鎮静剤、麻酔を使用していますので、痛みを感じることは少ないです。また検査後の痛みや腹満感は、無送気注水法や内視鏡用炭酸ガス送気を使った方法で緩和させることができます。

鎮静剤

鎮静剤は内視鏡検査に対し不安があったり、眠気を感じている間に検査を終らせたいと思っている人に対して使用されます。大腸内視鏡検査では、鎮静剤を使って検査を行うのが一般的です。

麻酔

麻酔も鎮静剤と同様で、内視鏡検査に対し不安があったり、眠気を感じている間に検査を終らせたいと思っている人に対して使用されます。使用されるのは浅い麻酔で、意識が若干薄れるほどの効果です。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、鎮静剤や麻酔を行うことで検査中の痛みは少なくなります。

検査後の痛み・腹満感を抑える方法

炭酸ガス送気とは

送気は、内視鏡用炭酸ガス送気装置という機器を使用し、腸内に炭酸ガスを注入し、伸展痛を防ぐ方法です。空気と違って炭酸ガスは腸内に滞りません。炭酸ガスは腸管に吸収されてしまい、空気が残らないので本来であれば発生する張り、違和感、痛みを最小限に抑える方法です。

無送気注水法とは

無送気注水法は、腸に空気が入ってしまうのを予防する為に、水を注入する手法のことです。水を注入することで、腸が伸びてしまうのを防ぐことができ、伸展痛を伴うことなく内視鏡を挿入できます。


大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の流れ

大腸カメラ検査の流れを説明します。
STEP1
腸内洗浄剤を、検査前日の夕方、検査当日の朝の2回にわけて服用してもらいます。もし、なんらかの事情があって2回にわけることが難しい場合は、当日の朝に2回分を1度に服用してもらいます。

STEP2
検査の当日は朝食を抜く必要があります。水分は摂取していただいてかまわないです。

STEP1で服用した腸内洗浄剤は4~5時間で効果を発揮し、宿便が排除された状態になるので、お昼頃に検査が行われます。

STEP3
検査開始。大腸を観察するため、肛門から内視鏡を挿入します。病変が発見された場合は「生検」(細胞の検査)を行う場合もあります。ポリープが発見された場合は、その場で除去(ポリープ切除)してしまう場合もあります。

問題なければ10~15分ほどで検査は終了します。
ポリープ切除を行った場合は、約10分の時間が追加でかかります。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の費用について

大腸内視鏡検査費用は、健康保険を使い3割負担で受けた場合
検査費用:約5,000円~10,000円前後
生検費用:1臓器につき4,000~5,000円(病理組織診断料含む)

日帰りポリープ切除手術費用:約20,000円~30,000円

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の医療機関の選び方

大腸カメラの検査を受ける際の医療機関選びのポイントは症例数と、医師の経験です。

医療機関のウェブページなどで検査の実績を確認し、多くの患者さんに指示されている医療機関を選ぶようにしましょう。

あとは、上記にも記載してきた、痛みに対する取り組みを行っている医療機関を選ぶとより痛みや検査後の腹満感を抑えて検査を受けることができます。

NBIを用いた内視鏡観察について

NBIは通常の内視鏡観察よりも、より精査された検査結果を出すことができる検査のことです。通常の内視鏡検査では、腸の様子をカメラを通して肉眼で確認した情報を元に判断します。

NBIはより精密な情報を得るために特殊な照明を使用し、カメラから得られる情報をより強調します。これにより、通常の検査では見逃されてしまうような病変でも発見することが可能になりました。また、発見された病変が腫瘍か、非腫瘍なのかも判別することが可能なのです。

通常光 NBI画像
画像引用元:赤坂内視鏡クリニック



まとめ

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の技術は日々進歩しており、痛みや、苦しみが軽減されただけではなく、医療機器の進化により、これまでは見逃していた小さな病変も発見可能になりました。

大腸ポリープ等、悪化してからでないと自覚症状が現れない厄介な病気は、日頃検診を受けていないと早期発見、予防が難しいです。

健康状態に問題がない場合でも、1度は検査を受けることをおすすめします。
検査を受けるペースは医師と相談して決めていただくのが一番良いですが、35歳を過ぎたら、2年~3年に1度検査を受けることが好ましいです。

また、会社などの健康診断で大腸癌検診(便潜血検査)が陰性であった場合でも油断せず、一度は大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることをお勧めします。

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