2017.04.13

片側顔面痙攣って何?顔の片側だけピクピクけいれんする病気について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

http://www.ortho-k.jp/

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片側顔面痙攣とは、意思とは関係なく片側の顔の筋肉がピクピクと引きつったり、痙攣したりする病気です。
最初はまぶた周辺に症状が現れますが、やがて片側の顔全面に症状が出るようになります。
今回は、専門医の監修の元、片側顔面痙攣の症状と治療方法について説明します。



片側顔面痙攣とは

「目の回りがピクピクと痙攣する程度だったものが、やがて顔の半分が痙攣をするようになってしまった」「痙攣が始まると目を開けていられない」など、気がつくと激しい痙攣をたびたび起こすようになる病気が片側顔面痙攣です。
40代以降の中高年、とくに女性に多いといわれています。

引きつって顔がゆがんだり、片目を開けていられないほどになるため思うように目が見えない状態になります。
ひどいときには歩行もままならず、車の運転や調理時などに危険を感じて生活に支障をきたすだけでなく、顔に症状が出るため、人前に出にくいなど精神面での影響も出てきます。

片側顔面痙攣は、顔面の筋肉運動を司る顔面神経を血管が圧迫することで起こるとされています。
血管が顔面神経を圧迫すると異常な神経回路が生じ、顔面の痙攣につながっていると考えられています。
高血圧や高脂血症の患者さんがなりやすいことが分かっており、血管の動脈硬化との関係が疑われています。

また、脳腫瘍や動脈瘤が神経を圧迫しているという説や、顔面神経麻痺の後遺症だという説もあります。
精神的ストレスや疲労、睡眠不足など、現代人が抱えている様々なストレスが誘因となっているともいわれています。

片側顔面痙攣の症状

目の周辺から始まることが多く、初期症状としては片目のまぶた周辺が時折ピクピクする程度ですが、進行すると頻繁に痙攣が起こり、しかも痙攣の範囲が口元の方に広がっていき、あご下の筋肉まで痙攣するようになります。
起きているときだけでなく、就寝中にも現れます。文字通り、その範囲が顔面の片側であることが特徴的な疾患です。

痙攣が内耳に伝わることで、耳鳴りが起こることもあります。


片側顔面痙攣の検査

問診・視診

まずは、いつごろから痙攣の症状が出はじめたのか、どんな時にひどく痙攣するのかなどを問診します。
この病気では目を強く閉じてぱっと見開いたり、口をイーッと横に開いたりするとまぶたの下に痙攣を起こしやすいことが分かっているため、痙攣の状態を確認するために、あえてこうした行為をしてもらって痙攣を誘発して診断することもあります。

また、片側顔面痙攣とよく似た症状を起こす他の病気があるため、それらと区別を付ける必要があります。
たとえば、眼瞼痙攣、顔面神経麻痺後の異常共同運動、眼瞼ミオキミア、チックなどで、原因や対処法が異なります。
したがって、これらと混同しないよう、正確な診断が必要となります。

画像検査

どの血管が神経を圧迫しているのかを確認するためにCT(コンピュータ断層診断)、MRI(磁気共鳴画像)、MRA(磁気共鳴血管造影)などの画像診断を行うことがあります。
とくに、手術による治療を前提としている場合には、MRIなどによる3D画像を作成しておきます。

また、動脈瘤や脳腫瘍が顔面神経を圧迫している原因である可能性もあるため、画像による診断は重要になってきます。


片側顔面痙攣の治療方法

片側顔面痙攣の治療は以下の3つの方法が行われています。
医師とよく相談の上で、ご自身の症状の程度、ライフスタイルに合わせて、治療法を選択してください。

薬物内服療法

症状が軽度の場合には、薬物によって改善を計ります。
精神的な緊張から症状が悪化するケースもありますので、抗不安薬や抗てんかん薬、鎮静薬などを使用します。
ただ、めまいや眠気、だるさなどの副作用が見られるケースも多く、別の選択をせざるを得ない場合もあります。

ボトックス注射治療(ボツリヌス療法)

A型ボツリヌス菌から抽出された毒素製剤を顔の筋肉に注射します。
この毒素製剤は筋肉の収縮に関係する神経伝達物質アセチルコリンを抑制して、筋肉を司る神経を麻痺させます。
それによって筋肉が弛緩して、痙攣を抑えます。効果は3、4ヵ月続きますが、効果が切れるとまた症状が出てきます。
症状が出るごとに再注射する必要があります。片側顔面痙攣のボトックス注射治療には健康保険が適用されます。

ボトックス注射では、脱力感を感じたり、まぶたが閉じにくくなる、口角が下がるなどの副作用が出ることがあります。
また、胎児・乳幼児への影響が分かっていないため、妊婦や授乳中の方はボトックス注射治療は受けられません。

安全性を確保するために、所定の研修を修了した専門医以外は施術することができません。まずはかかりつけの医師に相談してみてください。


手術

手術によって顔面神経を圧迫している血管を移動させます。片側顔面痙攣のもっとも根本的な治療法です。
この手術は脳神経減圧術と呼ばれていて、全身麻酔で行われ3、4時間かかります。
脳幹から伸びる顔面神経は耳の内耳のそばを通って顔全体に枝分かれしていきます。
血管による圧迫は脳幹近くで起きますので、脳の深部での施術となります。
事前にMRIで圧迫している血管を特定しておきます。

手術の手順

1. 痙攣を起こす側の耳の後方を5cmほど切開して頭蓋骨に穴を開けます。
2. 小脳と頭蓋骨の隙間を辿りながら、顔面神経が脳幹から枝分かれした場所まで到達します。
3. 顔面神経を圧迫している血管を探し、これを遊離します。
4. 再圧迫しないようフィブリン糊(血液から抽出した成分でつくった糊)で固定します。
5. 縫合して終了します。

術後の経過

手術直後から、ほとんどのケースで痙攣がなくなります。
ただ、圧迫によって神経が過敏になっていることですぐに痙攣が治まらないケースもあり、1年ほどかかる場合もあります。

手術後1、2日はめまいと吐き気が出ますが、徐々に治まります。術後1、2週間で退院となります。1週間程度は自宅での静養が必要になりますが、その後は社会生活へ復帰できます。
手術の切開創は髪の生え際となりますので、髪が生えてくれば目立つことはありません。

手術の合併症リスク

全身麻酔をおこなう上、脳の深部での手術であるため、十分にリスクの説明を受けた上で手術に臨んでください。この手術を普及させたジャネッタ博士のグループによれば、手術10年後に治癒または改善した率は91%となっていて、一方で死亡率は0.1%ということです。
この手術の患部近くには聴神経があるため、手術によって聴神経が障害を受け、聴力が失われたり、大幅に低下するリスクがあります。ごく稀に、顔面神経や喉の神経の麻痺が起こる可能性があります。また、手術の際に脳の硬膜を切開するため、脳髄液が漏れ出て皮膚の下に溜まり、脳が細菌感染のリスクに曝されることもあります。

まとめ

血管が顔面神経を圧迫する片側顔面痙攣ですが、動脈硬化やストレス、疲労など、生活習慣病の原因が誘因となっているともいわれています。青魚や食物繊維を多く含む食材を中心に動脈硬化の予防に適した食事を心がけ、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を取り入れるようにしましょう。また、十分な睡眠を取ること、リラックスできる時間を持つことも大切です。

片側顔面痙攣は、放置しておいても生命に関わる病気ではありませんが、精神的および社会的生活上のデメリットはとても大きいものです。気になる症状が出たら、早めに眼科、神経内科、脳神経外科を受診しましょう。


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オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

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