2017.03.29

スマホが原因でIT眼症!?医師が解説する子供に増えている目の病気と改善方法

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

http://www.ortho-k.jp/

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「IT眼症」をご存じでしょうか。
「IT機器を長時間あるいは不適切に使用することによって生じる目の病気、およびその状態が誘引となって発症する全身症状」(日本眼科医会)です。
スマートフォンの普及によって子どもたちにもこの病気が増えており、その影響が懸念されています。

今回は、専門医の監修の元、IT眼症の原因と改善方法について説明します。


IT眼症とは?

パソコンの画面などを長時間見て作業をしていると、目が疲れてきて乾きや痛みを感じたり、ひどいときには頭痛や肩こりがしたり、イライラしたりすることがあります。
これがIT眼症で、別名「VDT症候群」とも呼ばれています。VDTとはVisual Display Terminalの略で、IT機器の表示装置を指します。テレビやスマートフォンの画面もこれに当たります。

IT眼症は眼精疲労、疲れ目が原因です。以下のような症状が出ます。
・ものがぼやけて見える
・ものが二重に見える
・ピントが合いにくい
・ドライアイで目が乾く
・目が充血する
・目の周辺や目の奥が痛む

それに付随して、様々な周辺症状が出てきます。
・首筋や肩、背中が凝る
・疲労感、倦怠感を感じる
重症になると頭痛やめまい、吐き気や食欲不振、睡眠障害などを訴えることがあります。

IT眼症の原因

光で文字や画像を表示するディスプレイを見て作業する機会が増えました。
これを凝視することで眼に疲労が溜まるのがIT眼症の原因です。

ディスプレイを凝視すると、まばたきが減ることが分かっています。
通常3秒に1回くらいまばたきが起こるのですが、4分の1以下に減ってしまい、時には1分以上まばたきがないこともあります。
まばたきは目の表面を涙で潤して保護するとともに、栄養補給なども行っています。

目が乾くドライアイの状態になると、角膜や結膜に傷がつきやすくなり、疲れ目の原因ともなります。
また、ディスプレイを凝視する姿勢が長く続くと、目を動かす眼筋が緊張して動きが悪くなり、首や肩、背中、腕などの筋肉にも緊張が広がって、自律神経の失調など全身症状へとつながっていきます。

お子さんがインターネットやSNS、ゲームに夢中になって目を酷使したり、夜更かしや寝不足が重なって目を休めることができず、疲労を溜めることが増えています。
発達段階において視覚情報がとても重要で、見えにくいことや体調がすぐれないことで集中力が削がれてしまったりして、知的発達に影響を及ぼすこともあります。

また、IT機器への依存が高くなることで、実生活での対人コミュニケーションや実体験などが不足することで、精神的発達にも悪影響が出ることが懸念されています。


IT眼症の検査

IT眼症の原因は、他の眼疾患のように明確な炎症などがあるわけではありませんので、市販の点眼薬などでやり過ごそうとしがちです。
しかし、IT眼症の根本的な治療を行うためには他の眼疾患でないことを確認する必要があるため、多くの検査が必要となります。

視力検査

30cm程度の近くを見るときの視力が十分であるかどうかを検査します。左右の目で視力に差があったり遠視などがあったりすると、眼精疲労を起こしやすくなります。
また、眼鏡を装着している場合には、度数が合っているか、レンズの中心がきちんと瞳孔に合っているかどうかを確認します。

前眼部検査(スリット検査)

眼球の前眼部、角膜(黒目)、結膜(白目)、虹彩、水晶体、硝子体などに炎症や傷、濁りなどがないかを調べます。スリットを通した光を当て、顕微鏡で観察します。
傷などを見やすくするために特殊な染色液を用いることがあります。この染色液を使って涙の成分変化などについても調べます。

眼圧検査・眼底検査

目の痛みを伴う緑内障や、視力低下を引き起こす眼内組織や視神経の異常などを調べます。

眼位検査

ものが二重に見えたり、立体感に欠ける原因である斜視を調べます。
斜視は目を動かす筋肉や神経の異常などが原因で、生まれつきの斜視から弱視につながるケースもあります。
また斜視があるとIT眼症になりやすいともいわれています。

眼球運動検査

近くのものを見る際の輻輳運動(両目が寄る)、遠くのものを見る際の開散運動(両目が離れる)に関連する外眼筋のバランスを検査します。
また、ものを追ったりする際に両目が同じ方向に動く時のバランスを確認します。バランスの崩れがあるとIT眼症になりやすくなります。

瞳孔検査(対光反射)

瞳孔は開いたり(散瞳)、絞られたり(縮瞳)して目に入ってくる光の量を調節しています。
IT眼症ではこの動きに乱れが生じます。

また、強い光に対して縮瞳する対光反射を見ることで、神経障害や脳の機能異常などの可能性がないかどうかを調べます。
IT眼症によって対光反射が不安定になることもあります。

調節機能検査

ものを見るときに網膜にピントを合わせる機能を調節機能といいます。
これには脳の様々な部位が関連して働いています。暗い部屋での作業や、長時間細かいものを見続ける、激しく動くものを追って見る、ぼけた像を凝視するなど、無理やりピントを合わせようとすると、脳に大きな負担がかかります。
そのため、眼精疲労のほかに自律神経の失調などの全身症状として表れることがあります。



IT眼症の改善方法

生活の改善

IT眼症を改善させる最重要ポイントは、パソコンやスマートフォン、テレビなどの画面から目を離すことです。
お子さんは夢中になると何時間でも画面を見続けてしまいます。
IT機器の使用時間を制限する、負担の少ない姿勢で使用する、休憩を入れるなど、親御さんの管理が不可欠です。
さらに目を休めて疲労の蓄積をさせないために夜更かしをさせない、外での運動などを促すなど、生活全般にわたって改善することが大事です。

3つの50

日本眼科医会ではIT眼症の予防のために「3つの50」を提唱しています。
・50cmの距離で楽に見える表示サイズ
・連続使用は50分以内
・50cm以上離れて電磁波の影響を遮断する
お子さんの健全な発達を守るために、こうしたルールを徹底することが大切です。

輻輳訓練

寄り目(輻輳)をして目の緊張をほぐす訓練です。
キャラクター付のペンキャップなどを50cmほどの距離から鼻先へ向けて徐々に近づけていき、それを両目で見ることで寄り目にする訓練です。
毎日5分、20回程度繰り返すことでIT眼症予防の効果が出ます。

調節訓練

眼筋の緊張をほぐす訓練です。5m以上先にある目標物を3分ほど見るようにします。
教室の壁の絵とか、自室の窓から見える樹木とか、何でもいいです。凝視するのではなく、ぼんやり眺めるようにします。

まとめ

お子さんにスマートフォンやテレビ、ゲーム機の使用を制限することはとても難しいことかもしれません。
それでも、目の健康は、お子さんの人生にかけがえのない財産です。
親御さんがきちんと管理をするとともに、家族できちんと話し合ってルールを決めましょう。

お子さんが長時間画面を見続けているような場合、目を細める、首をかしげてものを見る、顔を近づけるなど、お子さんが示す「見えにくいサイン」や、疲れやすい、集中力が続かないなどのサインを見逃さず、異常を感じたら少しでも早く眼科や小児科を受診して相談してみましょう。


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オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

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