2017.02.13

はやり目(流行目)の症状は?医師が教える流行性角結膜炎について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

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結膜炎

目が真っ赤に充血して大量の目やにが出て、まぶたが重い−−と思ったら同じ症状が家族にも次々と……。こんなことがあったら、それは「はやり目」かもしれません。感染力が強く、家族間や学校、職場などでも流行することがあるため「はやり目」といわれています。医学用語としては流行性角結膜炎といいます。
今回は、専門医の監修の元、はやり目(流行性角結膜炎)の原因と、治療法について説明します。


はやり目とは

結膜炎のひとつ

目が赤い

はやり目は、ウイルス性の結膜炎のひとつです。
結膜炎には以下のようなものがあります。

・流行性角結膜炎
・急性出血性結膜炎
・ヘルペス性結膜炎
・咽頭結膜熱(プール熱)
・アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎を除いてウイルスによって発症します。

はやり目はアデノウイルスによる感染症

はやり目は、アデノウイルスによる結膜感染症の通り名です。正式には流行性角結膜炎といいます。「はやり」、「流行性」とあるように、集団で感染することが多く、結膜炎としてはアレルギー性結膜炎と並んで患者数が多い病気です。

感染を引き起こすアデノウイルスに特効薬はありません。非常に感染力が強く、タオルなどを媒介として次々と感染します。感染した人が触ったものを他の人が触って、その手で目をこすったりするだけで感染することがあります。

また、学校などでは、プールで感染することもあります。はやり目を引き起こすアデノウイルスには数種類の型があるため、一度はやり目が治ったとしても、違う型のアデノウイルスに感染することがあります。ただし、プール熱=咽頭結膜炎はアデノウイルスの型が異なる別の病気です。

公共の場の誰もが手で触れることができるもの−−電車のつり革や、水道の蛇口、ドアノブ、共有しているパソコンのキーボードなども感染源になり得ますので、注意が必要です。
ただ、インフルエンザウイルスのように空気感染はしません。


はやり目の症状

はやり目にかかると、白目=結膜が炎症を起こして赤く充血したりします。炎症が進んで黒目=角膜にまで及ぶことがあるため、正式用語としては流行性角結膜炎ということになります。
アデノウイルスの潜伏期間は1、2週間です。感染後1週間ほどから、以下のような様々な症状が出はじめます。

目に出る症状

最初の症状としては大量の目やにが出ることが特徴です。朝起きたとき、目やにで目が開けられないくらい大量に出ることがあります。ウイルスによる結膜炎では白っぽく粘ついた糸状の目やにが多く出ます。涙が大量に出て止まらないこともあります。

また、白目の部分が炎症で赤く充血します。結膜には血管やリンパ管が集まっています。ウイルスが侵入すると、白血球やリンパ球を患部に集めるため血流を増やし、血管が太くなります。そのため白目が充血して見えます。

異物感でゴロゴロとした感じがあったり、まぶたの裏にぶつぶつができることもあります。
はやり目は「ものもらい」と混同されている場合がありますが、これは違う病気です。ものもらいはまぶたにある毛穴や皮脂腺に雑菌が入って化膿するものです。ものもらいがひどくなった場合、切開して膿を出す必要がある場合もありますが、はやり目では切開が必要になるようなものはできません。

はやり目の場合、炎症が黒目に広がったりした場合に痛みを感じることはありますが、アレルギー性結膜炎とは異なり、かゆみはほとんど感じません。

ウイルス感染であるため、免疫反応で目に近い耳前やあごの下のリンパ節が腫れることがあります。腫れを押すと痛みを感じます。

風邪に似た症状が出ることも

また、症状が重いときには風邪のような症状—発熱や頭痛、咳、のどの痛みなどの症状が出ることもあります。腹痛とともに下痢を伴うこともあるようです。発熱は39度を超えることもあり、こうした症状が1週間ほど続きます。
風邪と勘違いして感冒薬などを服用しても効果がなく、長引くことがあります。風邪との最大の違いは目やにや目の充血です。

1週間ほどでピーク、2、3週間で治癒

はやり目は、発症から1週間ほどでピークを迎えます。片目に炎症が起こると、数日のうちにもう片方の目にも症状が現れることが多いようです。やがてアデノウイルスの抗体ができることで、発症後2、3週間で炎症は治まり、治癒していきます。
炎症が角膜に及ぶと痛みを感じることもあり、角膜に傷が残ってしまったり、角膜が濁ってしまう角膜混濁を引き起こすことがあります。


はやり目の検査

眼科を受診して医師が白目の充血や目やにの有無、量、炎症などから結膜炎を疑った際、はやり目と診断する決め手はアデノウイルスの存在です。

眼科にはアデノウイルス用の検査キットがあります。点眼麻酔をした後、綿棒で結膜をこすって検体を採取すると、ほぼ10分程度でアデノウイルスの有無が分かります。陽性であれば、流行性角結膜炎の診断が下ります。
ウイルスの数が少ない場合には、試薬の感度の問題で陰性の結果が出る場合があるようです。なので、陰性の場合でも、流行性角結膜炎を完全には否定できないこともあります。

また、耳前のリンパ節が腫れ、腫れを押すと痛みを感じるかどうかも、併せて確認する流行性角結膜炎の特徴です。

はやり目の完治

炎症を抑える対処療法しかできない

はやり目の原因となるアデノウイルスに対しては、特効薬がありません。体内でアデノウイルスに対する抗体ができるのを待つしかありません。抗体ができるまでに1、2週間かかります。
眼科を受診すると、辛い症状を放置することもできませんので、対処療法として炎症を抑えるために抗菌点眼薬やステロイド点眼薬が処方されることがあります。
これには、二次感染を抑えるという重要な役割もありますので、処方された点眼薬などは必ず医師の指示通りに使用してください。

風邪に似た症状で高熱を伴う場合には、解熱剤などを処方する場合もあります。
アデノウイルスに対しては免疫力だよりですので、食欲低下や脱水などの症状がある場合には、体力低下が進まないように点滴を施す場合もあります。

休養と栄養補給で免疫力を養う

この間、大事なことは、ゆっくりと身体を休め、免疫力を高めることです。はやり目を重症化させないためにも、休息は重要です。

また、栄養バランスの取れた食事をしっかりと摂ることも大事です。とくに粘膜の材料となるタンパク質や、免疫細胞を活性化させるビタミン類を多く取るようにしましょう。中でもビタミンAやC、Eは免疫細胞の活性作用を高めます。

ビタミンA、C、Eは互いにそのはたらきを補強する役割を持っています。若返りビタミンとして注目されているビタミンEは、脂肪の酸化を防ぐなど強い抗酸化作用があります。ビタミンCと同時に摂取することでビタミンEの効果が高まるとともに、ビタミンAがその作用を持続させる効果を持っています。
これらのビタミン類を摂るには、緑黄色野菜や果物、ナッツ類、オリーブオイル、鮎や鯛、鰻などの魚類がおすすめです。


はやり目の後遺症

はやり目自体は2、3週間で治癒するものですが、適切な治療を受けないでいると、様々な後遺症が出ることがあります。

角膜混濁

アデノウイルスのタイプによっては炎症がひどく、黒目(角膜)の表面に点状の濁りが残ることがあります。濁りが残ると視界が曇ったようになることがあり、少し見にくく感じます。また、光をまぶしく感じることもあります。視力の低下を招く場合もあります。

こうした濁りは徐々に消えていきますが、完全に消えるまでに数か月から1年近くかかる場合もあります。

混濁を軽減するために副腎皮質ホルモンの点眼を行うことがあります。ただ、この薬は緑内障などを引き起こす副作用があるため、医師の指示を厳格に守って使用する必要があります。

偽膜に注意

症状が重かった場合、まぶたの裏に偽膜と呼ばれる膜が生じることがあります。とくに幼い子どもと高齢者に多く見られます。
偽膜は、ひどい炎症の結果、結膜表面につくられる膜です。結膜の癒着を引き起こしたり、角膜の表面をこすることで角膜炎を悪化させます。偽膜による偽膜性結膜炎を発症した場合、細菌により角膜がとけて孔が空いてしまう場合があります。
偽膜の除去は眼科で行います。

混合感染

ウイルスに感染して抵抗力が低下していて、他の細菌などにも感染することです。これを防ぐために抗生剤などが処方されることがあります。
結膜炎は結膜表面の炎症なので、目の内部及び機能に影響することは少なく、失明に至るような重篤な病気ではないといわれています。
ただ、角膜に炎症が及んで傷がついたりして、そこから細菌感染などが進むと角膜びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍と角膜の深層に進んでいって、角膜に孔が空いてしまうこともあります。症状が進むほど激しい痛みを伴い、視力の低下は避けられません。


はやり目の感染防止

はやり目は、体内に抗体ができることで自然に治っていきます。ただ、数週間、長くなれば1カ月以上も目に違和感を感じ、視力も落ちた状態で過ごさなければならないのは、非常に辛い状態です。できるだけ重篤化させず、早期に直すことに専念しましょう。
それと同時に気をつけなければならないのが、他人への感染です。
何度も言及していますが、アデノウイルスは非常に感染力が強く、次々と感染者が増えていく傾向にあります。まずは感染を拡げないことを考えなければなりません。

もっとも身近な家族への感染防止

アデノウイルスは空気感染はしませんので、同じ空間にいるというだけで移ることはありません。しかし、家族であれば、水道の蛇口やドアノブなど、家族の誰もが頻繁に触る場所が多くあります。感染した家族が目を触り、その手で水道やドアに触ったりすると、後から触った家族が目をこすったりすることで高い確率で感染します。

感染予防には、先ずこまめな手洗いです。炎症を起こした目が辛いため、ついつい目を触ってしまいがちです。仕方がないことですが、その手指から感染が広がることを十分意識して、手洗いを励行するようにしてください。それは未感染の家族も同じです。

タオルなどを共有していると、タオルを媒介として容易に感染します。プールでも感染するぐらいですから、お風呂からも感染します。
感染者が使ったタオルは共有しない、感染者の入浴順は最後にするなどの対策が必要です。目やになどを拭くときにはティッシュやペーパータオルなど使い捨てのものを使い、捨てるときにはビニール袋にくるんで捨てるようにしましょう。

登校や出勤について

流行性角結膜炎は、学校保健法で細菌性赤痢、コレラと同じレベルの第三種−−「医師が感染の怖れがないと判断するまで」出席禁止−−に指定されています。お子さんが感染した場合には、医師の判断をよく聞いて、学校を休ませるようにしましょう。

とくに夏季は、プールにも注意が必要です。
アデノウイルスはプールの水の中にもいて、感染することがあります。プールから感染するプール熱(咽頭結膜熱)もアデノウイルス(3、4、7型など)の感染症ですが、はやり目のアデノウイルスは8型、19型、37型、54型などで、症状に違いがあります。はやり目が完治して抗体ができていても、別の型のアデノウイルスに感染することもあります。

社会人についても基本的には同じです。ピーク時はもちろん、治りかけの状態でも感染を拡げるリスクがありますので、できるだけ休むのが望ましいといえます。
とくに飲食関係や保育園、幼稚園、学校などの教育機関、介護など対人サポートを業務とする職種では、十分に注意を払う必要があります。

アデノウイルスの潜伏期間は1、2週間あります。つまり、感染したけれど発症していない状態が1、2週間続きます。また、いつ、どこで感染したかが分かりにくいものです。外出から帰ってきたら必ず手洗いをするなど、常日頃からの衛生管理が予防にはとても重要となります。

眼帯の使用

眼帯

 

知らず知らずのうちに目をこすってしまい、その手からウイルスが拡散するため、眼帯をしていれば感染が防げるという理由で、眼帯を奨めることもありました。ただ、アデノウイルスは手や口、傷などからも感染することが分かっていて、目の周りだけを保護しても感染は防げないといわれています。
むしろ、眼帯のデメリットのほうが大きく、感染防止としては奨められない傾向にあります。
そのデメリットとは、以下のようなものです。

・眼帯内が細菌の温床となる
・とくに幼児の場合、弱視を引き起こすリスクがある
・距離感などがつかみにくくなり、外出時などに危険な場合がある

はやり目の際の眼帯使用については、眼科医によく相談してください。

コンタクトレンズの使用

はやり目になったときには、基本的にコンタクトレンズの使用は控えましょう。炎症の回復にとっては裸眼のほうが好ましいですし、レンズそのものにアデノウイルスがついている可能性も高いからです。

抵抗力が弱っていますので、細菌などによる混合感染を招くリスクもあります。
また、コンタクトレンズはドライアイを招きやすく、角膜に傷をつけやすいといわれています。角膜表面についた傷から細菌などが感染し、さらに深刻な眼病を招くケースがあります。

できれば使用中のコンタクトレンズは破棄して、治療が終わってから新しいコンタクトレンズを装着することが望ましいとされています。破棄できない場合は、消毒液でていねいに洗浄します。

まとめ

はやり目(流行性角結膜炎)についてまとめました。
アデノウイルスによる結膜炎に特効薬はなく、身体の免疫機能がはたらいて抗体ができウイルスが死滅するのを待つほかありません。
はやり目で大事なのは、体力を保ち、栄養を摂って重篤化させないこと、そして二次感染を防ぐことの2点です。
結膜炎が疑われる際には直ちに眼科を受診して、結膜炎の種類を特定しましょう。そして、ウイルス性で感染力が高いと診断された場合は、免疫機能が十全にはたらくよう体力温存に努め、医師の指示に従って登校や出勤を控えてください。


この記事の監修ドクター

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