2017.02.13

目に黒い点がちらつくのは網膜の危機!?医師が教える飛蚊症について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

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視界に黒い点や影が見える−−糸くずのように見えたり、カエルの卵のように連なって見えたりもします。鬱陶しいだけでなく、なにか重大な眼病ではないかと心配になりますね。
こういう症状は多くの場合、飛蚊症(ひぶんしょう)という老化に伴う症状なのですが、失明に至る重篤な病気の兆候として現れることもあります。なぜ黒い影が出てくるのか、何が原因なのか、直すことができるのか、とても気になります。

今回は、専門医の監修の元、視界に黒い点や影が現れる原因と、病気のリスクについて説明します。


視野に黒い点が現れる理由

外界の光は、角膜、水晶体、硝子体を通過して、目の奥にある網膜に像を結び、視神経から脳に視覚情報として送られます。この間、光学的に情報を伝える器官である角膜や水晶体、硝子体になにかの原因で傷や異物があったら、それらが視界を邪魔します。

角膜に傷がついたり角膜炎の炎症があった場合、ぼやけて見えたり、モヤがかかったように見えます。水晶体が濁る白内障の場合も同様にかすんだり、モヤがかかったように見えます。

網膜に近い硝子体や網膜そのものに異変があった場合、それが影となって黒い点や影となって見えることがあります。
その代表的な例が、硝子体の異常が引き起こす飛蚊症(ひぶんしょう)と硝子体出血、網膜の異常が原因となる網膜裂孔、網膜剥離です。これらについて見ていきましょう。

飛蚊症とは

視野に黒い点や影が見えるようなときに、最初に疑うのは加齢に伴う老化現象としての飛蚊症です。
飛蚊症とは、字のごとく、蚊などの虫が飛んでいるような黒い影が見える症状を指します。黒い点のように見える場合もあれば、ゴミや虫のように見えたり、ひも状に連なっていたりします。しかも細かく揺れたりしますので、まさに蚊が飛んでいるように感じます。目を動かすと黒い点や影も同じように移動します。
多くの場合、加齢に伴う生理的変化ですのでとくに心配はいりません。病気ではないので治療法もとくになく、鬱陶しいのですが、黒い影に慣れるしかありません。慣れてくると、普段の生活ではその存在に気づかずに過ごすことができるようになります。

飛蚊症の原因

飛蚊症の黒い影の正体は、硝子体の濁りです。
老化による飛蚊症は、眼球の大部分を占める硝子体が縮小することで起こります。
硝子体は水晶体の後ろにあって眼球の大部分を占めていて、タマゴの白身のような透明なゼリー状のものが詰まっています。99%以上が水分で、線維がわずかに含まれています。

老化に伴って、ゼリー状の物質の水分と線維が分離してきて硝子体の中に空洞が生じます。症状が進むと、硝子体が縮小して眼球内壁から剥がれてきます。これを後部硝子体剥離といいます。
これが進むと線維の塊が硝子体内を浮遊する状態となり、それが蚊のような影となって見えるのです。

活性酸素の影響で硝子体の組織が変質してしまうともいわれています。
紫外線を浴びると活性酸素が発生し、これが硝子体組織に影響を与えるリスクがあるというものです。

若い時には活性酸素を排除する抗酸化物質ルテインが網膜から分泌され、酸化を抑制してくれますが、加齢とともにルテインの量が減って、活性酸素のダメージを受けやすくなります。

老化による飛蚊症の予防対策

サプリ

飛蚊症は50代以降の人に発症しやすいといわれています。加齢による老化のほかに、ストレスや目の疲れから、飛蚊症の症状が現れることがあります。

加齢による飛蚊症に効く薬はありません。生活習慣から老化を促進するような要因を洗い出して改善していくほかありません。規則正しい生活を送る、きちんと栄養バランスを考えた食事を摂るなど、普段からの身体のケアが大事になります。

最大の敵は、目の疲れです。現代人のライフスタイルは目への負担がとても大きくなっています。パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間凝視することで眼精疲労が蓄積し、目に大きな負担を与えています。疲れたと感じたときには休憩を入れて自律神経を整えたり、点眼薬などで疲れ目を癒したり、ドライアイ予防をすることを習慣にしていきましょう。

目の負担を軽くするために、ルテインやアントシアニンなどを含むサプリメントなどを補給することも、予防策としてはいいでしょう。
ただ、飛蚊症に治療方法はありません。サプリメントの摂取で飛蚊症が治ったりするものではないことは認識しておきましょう。

症状を和らげるレーザー治療

最近、レーザーによる飛蚊症治療も行われるようになってきました。黒い点や影の原因となる硝子体内の濁りやシワなどにレーザーを照射して分散させることで、症状を和らげる治療です。完治を目指すものではなく、あくまでも症状を軽減させるための治療です。30分程度の手術となります。
ただし、後述する眼病が原因の飛蚊症に対しては、この治療はできません。


飛蚊症の症状を伴う眼病

病気の兆候としての飛蚊症

加齢に伴う飛蚊症のほとんどは放っておいてもとくに心配ないのですが、実は重大な眼病の兆候として飛蚊症の症状が現れることがあります。症状を自覚したら、一度眼科で眼底検査などを受診して原因の特定をしてもらいましょう。

黒い影の元となるものが線維である以外に、出血である場合や網膜が剥がれ落ちて影となって見える場合など、重大な眼病の際にも飛蚊症を自覚します。網膜に欠損などが起きても、網膜は痛覚を感じませんので、老化に伴う飛蚊症と区別がつきにくく、放っておくと失明に至ることがあります。
飛蚊症を伴う重大な眼病について、見ていきましょう。

網膜裂孔

網膜裂孔の原因

飛蚊症が気になって眼科を受診したら、「網膜が裂けて孔が空いています」といわれるようなケースがあります。網膜に孔が空く原因は、後部硝子体剥離です。
網膜は硝子体の後部周囲を覆っている薄い膜です。わずか0.2mmながら10層からなっていて、光、形、色を感知する視細胞が密集しています。カメラでいえば昔ならフィルム、いまのカメラならCCDに当たります。視細胞が感知した情報は電気信号として視神経から脳に伝えられて「見る」ことができます。

後部硝子体剥離を起こすと、ぴったりと網膜に接していた硝子体は萎縮して網膜から離れていきます。その際、硝子体の一部が網膜と癒着して引っ張られることで、網膜が裂けて孔が空くことがあります。これが網膜裂孔(もうまくれっこう)です。
この時、網膜の血管が破れて出血すると、血液が硝子体に流入し、黒い影となって見えます。

網膜裂孔は、加齢による後部硝子体剥離以外の原因で起こることがあります。眼球の打撲や強度近視のケースです。

眼球打撲のケースでは、急激な眼球への圧迫によって眼球の形が変形し、その圧力で網膜が裂けて孔が空くことがあります。

強度近視の場合は、眼球の長さの変化によって網膜裂孔が生じることがあります。
近視は、目の奥行きが長くなることで起こります。変形前には網膜にシャープな像を結んでいたものが、網膜までの距離が伸びることで網膜の手前に焦点が合ってしまい、シャープな像が結べなくなるのが近視です。眼球の長さが伸びると、圧迫された網膜が弱い部分から裂けて網膜裂孔を起こすことがあります。

網膜裂孔の症状

網膜裂孔が起こると、視界に黒い点や影が見える飛蚊症や、光がないところに光が見える光視症を知覚します。
光視症とは、暗い部屋で稲妻のような光が見えたり、光が点滅しているように見える症状です。飛蚊症と同じように後部硝子体剥離でよく見られる症状で、目を動かしたときに網膜が引っ張られて刺激を受け、その刺激によって光が見えるようになります。光視症を訴える方の2割に網膜裂孔があるといわれています。

網膜裂孔の治療

網膜裂孔は放置しておくと網膜剥離に進行します。網膜裂孔は網膜剥離の前兆症状だということができます。網膜剥離は失明に至る重篤な状態です。一刻も早く、網膜裂孔の進行を止めなくてはなりません。
網膜に孔が空くと、そこから網膜の裏側に硝子体の水分が流れ込み、周囲から徐々に崩れるように網膜剥離が起こります。

網膜裂孔の治療では、まず眼底検査を行って、網膜の状態を詳しく検査します。網膜の断層画像を撮影し、出血の範囲や深さなどを検査するOCT(光干渉断層計)など、最新の検査機器も開発されています。確認された裂孔は、周囲をレーザーで焼いて固めることで水分の侵入を抑制し、網膜剥離への進行を止めます。
レーザー治療は10分程度で、日帰り手術で完了します。病気の進行次第では、追加のレーザー治療が必要な場合もあります。

網膜裂孔は、早期であればレーザー光による凝固術で網膜剥離への進行を抑える効果が高いため、飛蚊症などの症状が現れたときには早めに眼科を受診して、網膜の状態を検査しておきましょう。


網膜剥離

網膜裂孔は網膜剥離の前兆症状です。したがって、加齢による後部硝子体剥離、頭部や目への衝撃、強度近視など、網膜裂孔の原因がそのまま網膜剥離の原因となります。
さらに、糖尿病網膜症などの病気が原因となります。糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症のひとつで、失明原因の1位となっています。

網膜剥離の症状

網膜剥離は、網膜の最深層にある網膜色素上皮から網膜が剥がれてしまう病気です。剥離した網膜が影となって飛蚊症の症状を知覚したり、病状が進むとカーテンが掛かったように視野が欠けていく視野欠損を起こし、視力の低下が起きます。痛みはありません。治療を行わないで放置すると、失明に至るリスクが非常に高い病気です。

網膜剥離の治療

網膜に孔が空いている段階では、レーザーによって網膜を下部組織に焼き付けて、それ以上剥離が進まないようにします。
すでに剥離が進んでいる場合には、剥がれた網膜を元の位置に戻して固定します。剥離の位置や量、症状の軽重によって、眼科医が選択する方法が異なります。おもに硝子体手術と強膜バックリング法があります。

硝子体手術

硝子体を切除して、代わりとなる還流液を充填する手術です。同時に網膜を元の位置に戻して、レーザーによって固定します。眼圧を保つため、ガスやシリコンオイルを入れることもあります。ガスは自然に水に変わっていきます。シリコンオイルは重症のケースで使用されます。状態が落ち着いたところで再手術をして取り出す必要があります。
手術時間は1.5〜3時間程度で、術後検査等も含めて4〜5時間の日帰り手術が可能です。
手術後、視力が安定するまでに1〜3ヵ月ほどかかります。1ヵ月ほどは激しい運動や車の運転などは避けたほうがいいでしょう。

強膜バックリング法

強膜バックルというシリコン製の材料を眼球壁の外側に埋め込んで、網膜剥離が起こっている部分の強膜を内側にへこませる手術です。これによって網膜裏に流入した水分が硝子体側に流出し、網膜も内壁側に復位することが分かっています。
ただ、強膜を変形さて眼球の形を変えるため、近視や乱視が強くなることがあります。

手術時間は1、2時間ですが、網膜の復位・固定されるのを確認する必要があるため、2、3週間の入院が必要です。眼内から網膜を圧迫するために気体を注入する場合があり、この場合には1週間ほどうつむき姿勢が必要となる場合があります。

硝子体出血

何らかの原因で眼底出血が起き、血液が硝子体に入り込むと、それが影となって飛蚊症の症状を知覚することがあります。
出血の原因は、外傷などのほか、高血圧、糖尿病などが考えられます。出血量が多い場合には、目の前に薄墨が垂れてきたようになったり、モヤがかかったように見えます。
黒い影が増えていくようであれば、出血が続いていることが予想されます。

硝子体出血の原因

網膜には栄養を補うために血管が通っていますが、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などで血液の流れが悪くなると、網膜新生血管という血液の迂回路がつくられます。新生血管ができた場所は硝子体と癒着していることも多く、新生血管は破れやすいため、硝子体の引っ張りによって簡単に破れてしまいます。
また、後部硝子体剥離の際に出血することもあり、網膜裂孔や網膜剥離につながるリスクが大きくなります。
加齢黄斑変性や網膜細動脈瘤などの眼病による網膜下での出血や、くも膜下出血による血液が硝子体に混入するケースもあります。
いずれにしても、重篤な病気のリスクが否定できませんので、とくに眼前に薄墨が垂れてくるような症状を感じたら、直ちに眼科を受診して眼精検査をすることをお薦めします。

硝子体出血の治療

出血量が少ない場合には、自然に吸収されて治まることもありますが、出血量が多い場合や出血の部位によっては、手術が必要となることもあります。
まずは眼科による検査で出血部位、原因を特定することが重要です。眼底検査や超音波断層検査などで網膜の状態を調べ、網膜剥離を併発しているかどうかを確認します。

網膜剥離を併発している場合には、硝子体切除と網膜の復位を行う必要があります。

まとめ

視野に黒い点や影が見える症状について、原因と病気のリスクについてまとめました。
加齢に伴う飛蚊症など、とくに治療を必要としないものもありますが、網膜剥離につながる重大な眼病や、糖尿病、高血圧などによる眼底出血など、重篤な病気が隠れているケースも多いものです。少しでも黒い影や点が見えたら、念のため眼科を受診して、原因を突き止めておきましょう。


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