2017.02.14

目の焦点が合わなくなった!医師が教える原因と目の病気について

この記事の監修ドクター

監修ドクター
オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

0120-280-964

http://www.ortho-k.jp/

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「なんだか焦点が合わないなあ」「かすんで見えるなあ」と感じることがありますか?
疲れ目だったり、目の酷使が続いたための眼精疲労が原因で起こることが多い症状です。
でも、もしかしたら背後に重大な目の病気が潜んでいるかもしれません。

今回は、専門医の監修の元、目の焦点が合わない原因と、病気のリスクについて説明します。


目の焦点が合わない理由

ゲーム

仕事や勉強、夜更かしやゲームなどを続けた結果、目の焦点が合わない、かすんで見える、二重に見えるという症状を感じることはあると思います。目を休めれば回復するものもあれば、なんとなく不快な症状が続く場合もあるでしょう。
目の焦点が合わなくなる原因を挙げてみましょう。

目の疲れ、眼精疲労

手足と同じように、目も酷使すれば疲れてきます。
新聞や本などの小さな文字を長時間読んだり、手許で細かい作業を続けたり、パソコンやスマートフォンの画面を凝視したりすると、どんどん目が疲れてきます。

新聞を読む、パソコン、スマートフォンの画面を見る、細かな作業をするということは、ずっと一定の距離に焦点を合わせ続けている状態です。目の焦点は毛様体筋が水晶体の厚さを調節することで合わせています。
ずっと同じ距離に焦点を合わせていると毛様体筋が固まってきて、それ以外の距離に焦点を合わせにくくなるのです。
これをピントフリーズ現象といいます。

仕事や生活習慣で毎日のようにピントフリーズ現象を起こしていると、眼精疲労が蓄積し、近視度数が進むことにつながります。

ドライアイ

また、パソコンやスマートフォンなどを凝視するとまばたきが減って、涙が目を十分に潤せないためドライアイの状態になって、目がしょぼしょぼしたり、かすんで見えたりします。エアコンが効いた乾燥した部屋に長時間いても同じことが起こりやすくなります。とくにコンタクトレンズを装着している方はドライアイが起こりやすくなります。

また、長時間のドライブなども、乾燥した環境でつねに周囲の状況を気にかけて視線を配っていますので、相当な程度で目に負担をかけて、ドライアイの状態になりやすいといわれています。


視力が落ちている

視力の低下によって、焦点が合わなくなっているのかもしれません。
長時間、パソコンやスマートフォンなどの画面を見ることが生活習慣になっているライフスタイルでは、視力低下の原因に事欠きません。ものを見るときに目を細めたりすることが多くなっているのであれば、視力の低下を疑ったほうがいいでしょう。

左右の視力が大きく違っていたりすると、もともと焦点距離が違っているので焦点を合わせづらい状態になります。焦点を合わせるために余計な労力を必要とするため、目が疲れやすくなります。

また、乱視がある場合、ものが二重に見えたり、焦点が合いづらくなります。無理に焦点を合わせようとしていると、肩こりや頭痛、吐き気などを感じる場合もあります。

矯正などをしないで視力低下のまま放っておくと、眼精疲労が溜まり、ますます視力の低下を招くことにもなりかねません。眼鏡やコンタクトレンズによる矯正を考えてみましょう。

過矯正によるもの

矯正しているにもかかわらず焦点が合わないのは、矯正の度数が合っていないということです。視力低下が進んでしまったか、あるいは過矯正が考えられます。過矯正とは、過度に強い矯正を行うことです。

過矯正の場合、遠くまではっきりと見えるように矯正度数を選択しますが、その状態でパソコン画面など比較的近くのものに焦点を合わせる機会が多い場合、焦点を合わせるのに必要以上の調節が必要となるため、眼精疲労を起こしやすくなります。
眼鏡などで矯正する場合は、視力検査の結果だけでなく、ご自身のライフスタイルからどの距離がよく見えたほうがいいのかを考慮する必要があります。

40歳以降なら老眼かも

老眼

目の老化現象である老眼によって、焦点が合わなくなることがあります。
老眼は、毛様体筋の衰え、水晶体の硬化によって焦点が合わせにくくなる現象です。生活に支障がないように眼鏡などで矯正をするしかありません。

ストレスが原因かも

ストレスも目に症状が出やすい原因のひとつです。ストレスによって目の機能が低下して、焦点の調節がうまくいかなくなることがあります。
怠さ、めまい、動悸、ほてり、不眠などの症状を伴う自律神経失調症の症状のひとつとしても、ものが二重に見える、焦点が合いにくいという目の症状が出ることがあります。

目の疲れを和らげるには

 

いずれの原因にしても、焦点が合わない理由の根本は疲れ目、眼精疲労です。疲れているなと思ったら、適宜休憩を入れて目を休めるようにしましょう。休憩する際、蒸しタオルなどをまぶたの上に置いておくと有効です。
また、手許や近くを見ることが多い現代の生活では、できるだけ遠くを見る機会をつくるのも効果的です。
合わない矯正器具を使い続けていると、やはり眼精疲労が蓄積します。定期的に検査をし、自分に合った度数の矯正を行ってください。


目の焦点が合わないと現れる症状

目の焦点が合っていない場合、ものがぼやけたり、二重に見える複視があったりしますが、その他、ドライアイや目の痛みが出ることもあります。さらには目に限らず、全身のさまざまなところに症状が出ることがあります。

目の痛み

目の疲れを感じたり、焦点が合わない状態で目を酷使し続けたような場合には、目の奥が重く感じたり、鈍い痛みを感じたりすることがあります。激しくズキズキ痛むこともあります。これらは目の周りにある筋肉の疲労が原因です。

目の周りには眼球の動きを支えたり(外眼筋)、水晶体の厚みを調節して焦点を合わせたり(毛様体筋)、瞳孔の大きさを調節して光の量を最適にしたり(虹彩筋)する筋肉があります。焦点が合っていないときに無理にものを見ようとすると、これらの筋肉をつねに緊張した状態にし続けなければなりません。目にとってはハードな運動をして筋肉痛になっているのと同じことなのです。

一時的な疲労による痛みは、目を休めることで回復します。
毛様体筋は近くを見るときに緊張します。ですので、毛様体筋の緊張を解くには、遠くのものを見ると効果的です。
山や海、空など自然のものを見るのは心のリフレッシュのためにもいいのですが、オフィスなどでは難しいかもしれません。
そんな時は、3〜5メートルほどの距離にあるポスターやカレンダーなどをぼんやり見るだけでも効果があります。

しかし、慢性化して眼精疲労になってしまうと、なかなか回復しません。さらに目の奥が痛むようなら、眼科の受診をおすすめします。

ドライアイの症状

パソコンやスマートフォンの画面などを凝視し続けるとドライアイの状態になることは先に述べました。ドライアイになると目が疲れやすくなったり、ものがかすんで見えたり、光がまぶしく感じたりと、見え方に違和感を覚えるようになります。

目に現れる症状としては、目にかゆみを感じたり、充血したり、また、乾きから風が目にしみる、乾きをカバーしようとして涙目になる、目やにが出る、まばたきが引っかかるような違和感を覚えるなど、さまざまな形で不調が現れます。

頭痛や吐き気、めまい

めまい

目の焦点が合わない状態が続くと、肩こりや首のこりを訴える人が多くいます。首筋のこりはやがて頭痛にもつながっていくことがあり、さらにはめまいや吐き気などを伴うこともあります。
何かを凝視しているときには、目だけでなく身体そのものも固まって同じ姿勢でいることが多いようです。そのため目の疲労とともに、肩や首の筋肉も固まって、こりにつながっていきます。

肩や首のこりがひどくなると、頸椎の横にある椎骨動脈が圧迫されて脳の血流障害が起こることがあり、この時めまいを感じることがあります。また、頸椎周辺の交感神経への刺激によってもめまいが起こります。

目の疲れを感じたときには、ストレッチなども組み合わせて身体全体を動かすようにしましょう。とくに肩を上下したり回したり、首を前後左右に動かして、固まったこりをほぐします。
パソコン画面を見ながらの仕事が続く場合は、画面をやや見下ろすような位置に置き、姿勢良く座ることが大事です。


目の焦点が合わなくなる病気

目の疲労や視力の低下のほか、病気が原因で焦点が合わなくなることがあります。
この場合、先ず疑われるのが緑内障と眼筋麻痺の2つです。

緑内障

緑内障画像

緑内障は視神経の機能的・構造的異常から起こる障害です。日本では視覚障害の原因疾患の第1位が緑内障です。おもな原因は眼圧の上昇と見られています。
角膜と水晶体の間には房水が流れていて、眼球前面の張りを保っています。房水の排出路の目詰まりや、過剰に房水がつくられたりすることで、流入と排出のバランスが崩れると眼圧が高くなって眼球が硬くなり、視神経を圧迫することで障害が発生します。

一方、正常範囲の眼圧であっても、視神経が眼圧の影響を敏感に受けやすいために起こる正常眼圧緑内障もあり、最近の調査では緑内障患者の7割が正常眼圧緑内障であるといわれています。

緑内障では徐々に見える部分が欠けていって視野が狭くなり、放置しておくと失明に至ることもあります。両目同時に進行することは少なく、片方の目に異常があっても両目で見ることで脳が情報を補ってしまうため、早期には自覚症状がなく進んでしまうことが多い病気です。

緑内障の場合、目の焦点が合わなくなるとともに、光視症といわれる光が見える症状が現れます。眼圧が急速に上昇するような場合には、激しい頭痛や充血、目のかすみ、急な嘔吐を伴うのが特徴です(急性緑内障発作)。

日本緑内障学会の調査によると、40歳以上の日本人の5%に緑内障があるとされています。また、年齢とともに有病率が増加していることも分かっています。一度障害された視神経は元には戻りません。早期に発見・治療することで進行を遅らせたり、失明のリスクを下げることができますので、定期的に眼科の検査を受けることをおすすめします。

眼筋麻痺

ものが二重に見えてふらつくような場合には眼筋麻痺の疑いがあります。眼筋麻痺は、目を動かす筋肉が動きにくくなったり、麻痺したりすることをいいます。
私たちは2つの目から得た画像を脳内で合成して、立体感や距離感、奥行きなどを認識しています。さらに視覚情報を元に垂直・水平の方向感覚を知り、耳からの情報と合わせて身体のバランスを取っています。眼瞼麻痺では、この画像調節がうまくできず、ものが二重に見える複視が現れます。
こうなると目の焦点が合わないだけでなく、真っ直ぐに歩けなくなったり、車の運転などもできなくなります。目の奥で痛みを感じたり、まぶたが腫れたりすることもあります。

眼筋麻痺の原因は2つに分けられます。ひとつが眼球運動に関わる筋肉の障害、もう一つが筋肉を動かす神経の障害です。
筋肉の障害の場合には、外眼筋炎や筋ジストロフィー、ミオパチー、甲状腺眼症などが疑われます。
神経障害の場合には、筋無力症や、脳腫瘍、脳動脈瘤などの脳の病気が疑われます。また、動脈硬化、高血圧、糖尿病など生活習慣病が眼筋麻痺の遠因となることもよくあります。

いずれにしても、ものが二重に見える複視があるようなら、早急に眼科を受診してください。眼科的に異常がない場合でも、脳神経外科の受診が必要になることもあります。

レーシック手術の後遺症

角膜をレーザーで形成して視力矯正するレーシック手術を受けたあとは、視力が安定しないために焦点が合いにくくなります。また、ドライアイ、光がにじんで見えるハロー、グレアなどの症状が出やすくなります。
これらの症状は時間とともに治まってきますが、焦点が合わない状態が続く人もいます。

レーシックで過矯正がある場合には、やはり目が疲れてものがにじんで見えることもあります。

まとめ

目の焦点が合わない原因や、疑われる病気についてまとめてみました。
目の疲れなどで一時的に現れる症状であれば、目からの「休め」というサインですから、休憩を挟むなどして、眼精疲労にしないよう気をつけてください。

一方、緑内障や眼筋麻痺など、重篤な原因が潜んでいる場合もあります。
とくに嘔吐を伴ったり、複視がひどいような場合には、必ず眼科を受診して早めの治療を行ってください。



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オガタ眼科クリニック
緒方 譲二 医師

福岡県福岡市中央区天神2丁目2-12T&Jビル3階

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