2016.02.23

副作用にも注意!?医師が教える手掌多汗症の日帰り手術・費用

この記事の監修ドクター

監修ドクター
医療法人斉智会おだクリニック日帰り手術外科
小田 斉 医師

福岡市中央区高砂1-8-8 サンクス渡辺通3F, 4F

050-5281-3353

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日本人の約2%の方が、手に異常な汗をかく病気、手掌多汗症で悩んでおります。今まで累計して約5,000以上の症例数を経験された医師から詳しい治療方法と副作用、手術費用についてお聞きしました。



手掌多汗症とは

手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)とは、交感神経が高ぶって起こり、手のひら、わき、足のうらなどに異常なほど汗をかく病気です。原因は、はっきりとはわかっておらず、日本人の約2%の方が手掌多汗症に悩まされていると言われております。症状としては、手のひらが少しじんわりする程度から、水滴の汗がボタボタ落ちる状態の方もおり、緊張状態になると症状があらわれてきます。

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手掌多汗症を発症した患者様には、他の人にはなかなか分かってもらえない深い悩みを抱えているケースが多いです。手掌多汗症は、子供の頃に発症するケースが多く、隣の子と手をつなぐことができなかったり、テストの答案が汗でにじんでしまったり、なかなか周囲に相談ができずに、深刻な悩みとなって、とてもつらい経験となっている方がいらっしゃいます。

手掌多汗症の手術を行うと必ず代償性発汗という症状が発症しますので、治療前に患者様と医師がしっかりと話をして、手術内容や代償性発汗の仕組みについて患者様が納得いただけるまで話し合う必要があります。代償性発汗の理解が十分でない患者様は医師によっては手術を実施してくれない場合があるくらいです。それだけ重要な内容となります。

代償性発汗とは、手術を行うことで手の汗が出なくなる分の汗が、胸や背中、腹部、太ももなどからの発汗が増加する現象です。手掌多汗症の手術を受ける場合は、【手汗の悩み>代償性発汗】と考えられる方が受けられるべきだと考えられております。

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手掌多汗症の手術内容と効果について

手術としては、低位交感神経遮断術(低位ETS手術)という手術を行います。手のひらの汗は、第2~第4交感神経によって支配されております。そのうち、第4交感神経を遮断することで、手のひらから出る異常な汗は止まります。

手のひらの汗を完全に止めるには、第2、第3の交感神経を遮断すれば良いと考えられるかも知れませんが、この高位の交感神経を遮断した場合は、代償性発汗がひどくなるという結果が報告されております。いかに手のひらの異常な汗を止めながら、代償性発汗を抑えるかが重要なバランスとなり、手掌多汗症の手術は、世界的にも低位(第4)交感神経遮断が行われております。

監修医院である小田先生が行った多汗症の手術約5,000例の経験からも
・第4交感神経遮断⇒手のひらからの異常な汗は止まり、代償性発汗も少ない
・第3交感神経遮断⇒手のひらの汗は全くでなくなり、その分代償性発汗も他の部位で多くなります。
・第2交感神経遮断⇒手のひら・顔の汗が全くでなくなります。代償性発汗は非常に高度になり、第2交感神経は遮断しないほうが好ましいという考え方が世界的にも広がっております。

ETS手術(交感神経遮断術)の様子

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低位(第4)交感神経遮断を行うと、手のひらからの異常な汗はとまり、今まで悩まれていた手をつなげない、紙がぬれてしまうような汗は出ません。ただ、手のひらから全く汗が出なくなるというわけではなく少し出ます。

そうしないと代償性発汗が高度になってしまうからです。手汗を完全に止めたいと考えて、第2、第3の交感神経を遮断してしまうと、手が乾燥し、逆にハンドクリームなどをぬる必要がでてきます。また、代償性発汗が高度になり、体の他の部位から出る汗の量が問題となる事があります。



手術の副作用として起こる代償性発汗とは

上記にも記載しましたが、手掌多汗症の手術を行うと、必ず代償性発汗が起こり、手のひらの汗が出なくなった分の汗が、体の他の部位から出るようになります。代償性発汗の説明が難しい点は、多汗症の患者様は、手のひら、わき、足のうらなど、から今まで汗をたくさんかいていたので、体の他の部位からたくさんの汗をかいた経験が少ないことです。

実は、低位(第4)交感神経遮断術を行い、手のひらの異常な汗がおさまり、代償性発汗が他の部位で起こることは、正常な発汗作用で反応性発汗ともいいます。
代償性発汗には個人差があります。それは、他の部位から出る汗が想定していた量だったかどうかという個人の感覚の差と実際に代償性発汗が起こった際に出る汗の量の個人差です。

ですから、手術を受ける前にしっかりと医師から説明を受け、代償性発汗について理解をしていないと、他の部位から出る汗の経験が少ない分、そこから増えた汗の量によって手術後に後悔する方がいらっしゃいます。代償性発汗の程度が心配な方は、片方ずつ手術を受けて、その程度を体験しながら治療を進めるケースも多くあります。

手術内容と代償性発汗を理解して手術を受けられた方は、手の汗の悩みから解消され、とても満足されております。ただ、手術を受けられた方の中で約1%前後の割合で、夏の暑い日にでる代償性発汗の汗の量から手術を後悔されている方もいると報告されております。

手術方法について(日帰り手術が可能)

低位交感神経遮断の手術は、わきの下から約3mm程度の胸腔鏡(内視鏡)を使って行います。手術は、片方で約5分、両方でも約10分で終了となります。手術痕はとても小さくテープで固定しますので抜糸や消毒を行う必要もありません。日帰り手術が可能で、翌日からシャワー浴、翌々日から入浴していただけます。

手術後は、神経を遮断しているので多少痛みがあります。鎮痛剤を内服してください。1週間前後で再来院して患部を診察します。遠方から治療を希望され来院される方もいらっしゃいます。その場合は、医療機関にもよりますが、手術後の診察は、電話などで対応可能で、来院しない方法を案内してもらえます。

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※手掌多汗症の手術を行っている医療機関は、全国でもとても少なく、手術のために遠方から来院される方もとても多くいらっしゃいます。その場合は、事前に医療機関に相談して、治療の受け方について打合せするようにしてください。

手掌多汗症は、幼少期に発症することが多いですが、手術を受ける年齢としては、神経手術になるので、できるだけ成長されてから(具体的には中学生になってから)が好ましいと考えられております。ただし、手汗が原因で、仲間はずれにされたり、お子様が悩んでしまっていることがあった場合は、8歳~78歳まで手術は行われた実績がありますので、手術を受けることはできます。

手掌多汗症の手術費用について

低位交感神経遮断手術は、保険適用の手術となっております。
手術は、片方の場合・両方同時に行った場合ともに同じ費用となります。金額は3割負担で約8万円~9万円です。入院した場合は、入院費用がかかり、約10万円となります。

日帰り手術で行える手術となります。遠方から来られている方は、近くに1泊して、翌日来院して、その後は来院せずに経過を見るケースもあります。
手術の受け方として、手掌多汗症の手術は、代償性発汗に慣れる事と神経を両側遮断する体への負担から、片方ずつ行う方も多いです。2度に分けて手術を行うとその分費用も倍になってしまいますが、片方だけの手術であれば、代償性発汗もおおよそ半分で済みますし、神経遮断による体への影響(痛み)も少なくて済みます。

段階を踏むことで、患者様が、手汗がどのくらい止まるのか、代償性発汗とはどういうものか体験し、2度目の手術に入るので、安心して治療が受けられたという声をお聞きします。



手術の保険適応について

手掌多汗症の手術(低位交感神経遮断術)は健康保険・国民健康保険の適応となります。
また、手術を受けたことで、月の医療費が高額になった際には、高額療養費制度により手術後に一定額が戻ってきます。

任意保険に加入している方は、加入している保険の契約内容にもよりますので、対象手術となっているかどうかを保険の担当者に確認してください。対象手術となっていれば手続きできます。

手掌多汗症の治療は、外科手術以外にもボトックス注射を使った治療方法もありますが、健康保険適応外になる事と治療効果が3ヶ月~約1年と短いために保険が適応できる医療機関では、あまり実施されておりません。

ボトックス注射の治療費は、自費診療で約10万円となり、外科手術と金額が変わらないため、根本的な治療方法としては、低位交感神経遮断術が選択されています。外科手術を受ける際も健康保険適応のできる医療機関かどうか確認して受けるようにしてください。

失敗しないために注意すべき点

何度も記載しますが、多汗症の治療には必ず代償性発汗が起こります。多汗症を患っている患者様は、多汗症の症状により、手のひら、わき、足のうら、などからの異常な汗の経験はありますが、その他の体の部位から汗をかく経験が少ないといえます。そのため代償性発汗がどういうものかしっかりと理解する必要があります。

多汗症を治療する医師は、その点をとても心得ております。ですから、患者様の方でも、分からないことや今まで悩みに思っていたことなどをしっかりと医師に聞いたり、相談した上で、手汗の悩みと代償性発汗を比較して手術を受けるかどうか判断すべきです。多汗症の治療を行っている医療機関は全国的にも非常に少ないです。できるだけ多くの治療経験がある医師を選んで受けられることをお勧めいたします。

手掌多汗症の手術を受けた患者様の体験談(28歳 女性)

子供の頃から、手の汗で悩んでいましたが、誰にも(親にも)言うことができずにいました。人に触れるときも相手に気づかれないように注意しながら接するようにしていました。社会人になり、会社の人材採用に携わるようになって、面接後に候補者と握手する機会が何度かあり、相手に「汗がすごいと思われてしまったのではないか」と、とても気になり、仕事を変えるわけにもいかず悩んでいました。そんなときに、手汗を止める手術が保険適用になったことを知りました。それまでは、自由診療という枠組みで治療が高額で受けることができませんでしたが、保険適用になり少し費用はかかりますが、仕事のために手術を受けることにしました。

手術は、日帰り手術で、当日は不安でしたが帰宅しました。翌日からデスクワークが可能と聞いておりましたが、両側の神経を同時に切除したので、翌日は痛みがあり、会社を休みました。2日目から痛みはありましたが、会社にも出勤できました。痛みが完全になくなるまで3週間くらいかかりましたが、その間の仕事には支障はありませんでした。手の汗も異常にかくことはなくなり、今では手汗で悩んでいたことを周りにも話せるようになりました。周囲の人はほとんどの人が気づいていませんでしたし、私にとってとても大きな悩みでしたが、多汗症でない人からすると、あまり気にもしない病気のように話されました。自分が思っているほど、周りは汗について気づいていないし、今になっては大きな問題ではなかったのかと思えるようになりましたが、子供の頃から長い間悩んできたので、症状がなくなっていなかったら今でも悩んでいたと思います。手掌多汗症の手術を受けて私はとても満足しています。

まとめ

手掌多汗症は、保険適用の日帰り手術で治療が行えます。ただ、患者様は代償性発汗についての理解が必要で、治療を受ける前に医師からしっかりと説明を聞き、質問を残さないようにすることが大切です。代償性発汗についての理解が足りないと判断した場合は、医師も手術を行わないこともあります。

手術は、同時に行えば、片方でも両方でも金額は同じですが、代償性発汗への慣れや神経遮断による体への負担から片方ずつ行う人も多いです。手術方法としては、低位(第4)交感神経遮断術がとられる。第2、第3交感神経を遮断すると、手の汗は全くでなくなり、その分代償性発汗が高度になります。

手掌多汗症の手術は、『交感神経遮断による異常な手汗の調整と代償性発汗による影響を極力減らす』このバランスが重要となる手術となります。



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小田 斉 医師

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