2016.03.07

医師が教える鼠径ヘルニア(脱腸)日帰り手術方法と費用

この記事の監修ドクター

監修ドクター
薬師台おはなぽっぽクリニック
野口 泰芳 医師

東京都町田市薬師台1−25−12

050-5281-3351

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腹

鼠径ヘルニア・・・“ヘルニア”と聴くと腰の病気を連想してしまう人が大多数かと思われますが、“鼠径ヘルニア”は『脱腸』のことです。

『鼠径(そけい)』とは太もものつけ根部分、『ヘルニア』とは“体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出・突出した状態”のことをさします。

『鼠径ヘルニア』は男性の27%がおちいってしまう病で、症状によっては壊疽(えそ:くさってしまう)をおこして生命を脅かすこともあります。

※掲載内容に関しては、専門の医師に監修いただいております。


鼠径ヘルニア(脱腸)とはどのような病気なのか

鼠径ヘルニア

前述しましたが『鼠径ヘルニア』は鼠径・・・つまり、太もものつけ根にある『腹膜』や『腸』が本来あるべき部位から『脱出・突出』した状態になってしまう病気です。

『脱腸』と呼ばれているのは、お腹の中から腸が『脱出・突出』してくるためです。症状が進行すると『小腸』などの臓器もでてきます。これが原因で痛みや不快感が徐々に高まってきます。

 

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術適応ガイドライン

鼠径ヘルニアに関わらず、病気の治療や手術には、本来の目的や方法から逸脱しない為に『ガイドライン』が存在します。ガイドラインには手術の目的や方法などに関して“守ることが好ましいと思われているルールやマナー”が記載されております。

『鼠径ヘルニア(脱腸)の手術適応指針』は聖路加国際病院ヘルニアセンター消化器・一般外来科の『柵瀨信太郎』氏が作成した『成人男性鼠径ヘルニアの手術適応:特に無症状またはわずかしか 症状がない男性鼠径ヘルニアに対するWatchful Waiting(注意深い経過観察)に関して』 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcs/39/4/39_814/_pdf)を参考にしてみてはいかがでしょうか。

こちらのガイドラインでは以下について説明がされています。

・鼠径ヘルニアの手術目的

・高齢者の鼠径ヘルニアに対する待機手術後の死亡率

・鼠径ヘルニアの今後の対応


鼠径ヘルニア(脱腸)手術内容

手術

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術に至るまでの経緯や、方法は年齢や性別によってちがうので以下に記載された情報を参考にしてください。

手術は基本的に全身麻酔(軽い)をかけてから行います、時間は30~40分ほどで、長くても1時間。入院期間は2~3日程。最近では日帰りで手術をおこなう患者も増えています。

成人の鼠径ヘルニア:日帰り手術が可能

小児と成人では、鼠径ヘルニアになる原因も治療法もことなります。成人の鼠径ヘルニアは、後天性で、内鼠径ヘルニアがおおいです。また、鼠径ヘルニアになる人の8割は男性です。

治療ですが、放置して自然に回復することはなく手術が必要です。一般的にはメッシュの人工補強材をつかった手術がおおくの病院で採用されています。

手術方法には、クーゲル法、ダイレクトクーゲル法、メッシュプラグ法、これらは日帰り手術が可能です。また、腹腔鏡(内視鏡)を使ったTAPP法、TEP法があります。

クーゲル

小児(1~15歳)の鼠径ヘルニア

小児の鼠径ヘルニアは、先天的で、外鼠径ヘルニアがおおいです。治療も必ず手術が必要なわけではなく、経過をみる場合もありますし、人工補強材をつかわずに手術をおこなう場合もあります。

乳児(0~1歳)の鼠径ヘルニア

赤ちゃん

乳児の鼠径ヘルニアは4対1の割合で男児におおいです。生後1年以内に自然になおる可能性もあります。治療には外科手術が必要で、手術をおこなうか否かの判断は早ければ早いほど良いです。

手術は『脱出・突出』してしまった腸を本来あるべきである場所に戻し、開いた腹膜を縛って完了です。手術は乳児でも全身麻酔をかけますが、手法は比較的簡単なので生後2~3ヶ月の乳児でも受けることが可能です。

妊娠中の女性の鼠径ヘルニア

妊婦

妊娠中に鼠径ヘルニアになってしまった場合、手術は分娩が終るまで待つ必要があります。しかし、症状が極端につよく、どうしても治療が必要な場合、お腹が大きくなりすぎる前の妊娠4~6ヶ月の時期を目安に子宮収縮の予防策を講じながら手術をおこなう場合もございます。


鼠径ヘルニア(脱腸)手術の保険適応

鼠径ヘルニアの手術には保険が適用されます。そのため、費用は総額の3割負担となります。手術を受けたことにより、月の医療費が(他の治療費も含め)一定額をこえると、高額療養費制度で給付を受けることができます。年収によって金額は異なります。

また、任意保険の加入の方は、契約内容をご確認いただき、手術が給付対象であれば、保険が適用されます。保険の担当者の方に確認してください。

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術費用

かね

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術をする場合に必要な費用を紹介します、あくまで参考金額なので実際は異なる場合がございます。

手術+入院(2泊3日又は3泊4日)の場合

支払費用:60,000~90,000円(3割負担額)
総額:170,000~280,000円

日帰り手術の場合

支払費用:40,000~70,000円(3割負担額)
総額:180,000~230,000円

日帰り手術は入院しないため、通常の手術より安く済ますことができるメリットがあります。患者様の症状によって適用できる手術方法が異なってきます。そのため、治療費に幅があります。


手術後の生活、合併症

鼠径ヘルニアの手術は、メッシュを使った手術方法では、再発率は1%以下と言われております。また、鼠径ヘルニアの術後は合併症が起こる可能性があります。発症率は低いですが、鼠径ヘルニアの手術を受ける際は、術後の合併症についても知っておきましょう。

漿液腫(しょうえきしゅ)

太もものつけ根に体液が溜まり、「こぶ」や「しこり」ができてしまう合併症です。手術の際にヘルニアの原因となった筋肉の隙間をきちんと閉じたとしてもスペースがのこり、そのスペースに体液が溜まってしまうケースがあります。結果、体液が溜まった部分が膨んできてしまい、「鼠径ヘルニアが再発した!」と勘違いしてしまう人もいます。

発生頻度

ヘルニアだった時期が長く、かつ症状が大きかった場合に発生しやすいです。小児におおくみられる「外鼠径ヘルニア」よりも、成人におおい「内鼠径ヘルニア」が漿液腫になるケースがおおいと感じています。

発症時期

手術当日から、術後2週間程が目安です。

対応策

漿液腫の症状が軽かった場合、自然に回復する場合があります。自然に回復しなかったら、注射器をさして体内に溜まった体液を抜き取る『穿刺吸引』を2、3回行うことで回復可能です。

血腫(けっしゅ)

『血腫(けっしゅ)』は傷の内部で再出血してしまった状態のことです。傷の内部で出血している為、手術した場所が腫上がり「鼠径ヘルニアが再発した!?」と勘違いしてしまいます。手術の際に念入りに確認しても再出血することが稀にあります。出血が少量であれば腫れは自然にひきますが、出血がひどい場合は、再度傷を開いて止血します。

発生頻度

止血が必要になることは非常に稀で、確率としては0.1~0.5%ほどです。ただし、血液がサラサラになる薬を飲んでいる場合確率が上昇する可能性もあります。

対応策

前述しましたが、出血が少量であれば腫れは自然にひくので経過観察、出血がひどい場合は、再度傷を開いて止血します。

細菌感染

なんらかの原因で細菌に感染してしまい、炎症をおこすケースもあります。手術で使用される器具はもちろん滅菌されていますが、患者自身の皮膚など、いたるところに雑菌は生息しているので手術は“完全な無菌状態”ではございません。そのため細菌に感染し炎症をおこしてしまうこともあります。

発生頻度

メッシュの人工補強材を使用した手術で0.2~0.5%

発生時期

手術直後から、術後数週から数年後に発症する場合もあります。

対応策

医師に診察してもらい、傷の浅い部分から膿がでているなどの軽い症状であれば、洗うなどして清潔に保つことで次第に回復していきます。症状が重い場合は、麻酔をかけてから再度傷口を開き深いところまで洗う必要がでてきます。

手術の際につかわれたメッシュ自体が細菌に感染していたと判断されるとメッシュそのものを摘出することも検討されます。そうなると患者への負担が大きくなるため、年月が経ってからのメッシュの摘出は難易度が高くなります。

細菌感染のリスクを下げる手段の1つとして『腹腔鏡手術』がある。腹腔鏡手術は傷とメッシュまでの距離が切開法と比較すると遠いため、感染の頻度を低くできる可能性があると考えられています。

医師に診察してもらい、傷の浅い部分から膿がでているなどの軽い症状であれば、洗うなどして清潔に保つことで次第に回復していきます。症状が重い場合は、麻酔をかけてから再度傷口を開き深いところまで洗う必要がでてきます。

手術の際につかわれたメッシュ自体が細菌に感染していたと判断されるとメッシュそのものを摘出することも検討されます。そうなると患者への負担が大きくなるため、年月が経ってからのメッシュの摘出は難易度が高くなります。

細菌感染のリスクを下げる手段の1つとして『腹腔鏡手術』がある。腹腔鏡手術は傷とメッシュまでの距離が切開法と比較すると遠いため、感染の頻度を低くできる可能性があると考えられています。


疼痛(とうつう)

疼痛

ある程度の痛みは手術後数日間ともなう可能性があります。しかし、昨今は鎮痛剤の効果も進化しているので、のたうち回るほど苦しむような患者様はほとんどいないと思います。

ヘルニアの治療で問題視されているのは、術後何週間も時間が経過したにも関わらず、痛みや違和感が治まらず日常生活に支障をきたしてしまうことです。この問題は解明されていない部分がおおいです。一説では太もものつけ根の神経障害や、メッシュの異物感が原因ではないか? と言われています。

発生頻度

手術方法によって異なります。メッシュをつかわない手術をおこなった場合、太もものつけ根につっぱり感を感じるケースがおおいです。

メッシュをつかった場合、古い「プラグタイプ」のメッシュをつかって手術をおこなうと、痛みや、違和感がでるケースがあります。

腹腔鏡手術の場合は、疼痛がみられるケースがほとんどないです。

発症時期

手術後数週で発症する可能性が高いです。

対応策

症状が軽ければ鎮痛剤をしばらく使用していただき、自然に疼痛がおさまるのを待ちます。鎮痛剤で痛みがおさまらない場合は麻酔科医師に相談し、必要に応じて『神経ブロック注射』をおこないます。

手術後の仕事・運動

運動

術後、お仕事に復帰するタイミングですが、デスクワークでしたら手術後2~3日後から復帰可能です。力仕事でしたら1ヶ月は待ってもらったほうがいいかもしれません・・・。

運動は、あまり動かない軽いものでしたら2週間からはじめられますが、やはり力むスポーツは1ヶ月ほど時間をあけるのが無難です。

手術失敗のリスク

例えば手術がうまくいかず、ヘルニアが再発したり、術後に激しい疼痛に悩まされる・・・などが考えられます。このような症状は術後すぐに現れるケースもありますが、数週間後、または数年後にあらわれるケースもあるため、手術後も経過観察として通院しましょう。

また、腸がはまってしまう『かん頓』状態になるまで放置してしまうと手術を数時間以内におこなわなければ後遺症がのこる可能性も高まり、命の危険性もでてきます。健康な生活をおくるためにも下腹部に痛みや違和感がある場合はすぐに病院にいき、医師に相談するように心がけましょう。


まとめ

鼠径ヘルニアについて手術に関する情報を中心に綴りましたがポイントをまとめさせていただきます。

・鼠径(そけい)ヘルニアとは脱腸のこと
・主に腸が本来の位置からはみ出てしまった状態
・手術までの経緯、治療方法は成人、小児、幼児、妊娠中の女性で異なるが根本的な解決には手術が必要
・鼠径ヘルニアの治療は保険が適用される
・日帰りでの手術も可能

最近、下腹部に違和感がある30~40代の男性の皆様・・・「もしかして鼠径ヘルニアなんじゃあ・・・?」と思ったならばお医者さんへの相談をおすすめします、その際はこの記事を参考にしてみてくださいね!

この記事の監修ドクター

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野口 泰芳 医師

東京都町田市薬師台1−25−12

050-5281-3351

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