慢性副鼻腔炎について
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは

慢性副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれる病気です。鼻の中には副鼻腔いう空洞がありますが、そこで炎症を起こしたものが副鼻腔炎です。
副鼻腔炎は急性と慢性の2種類があります。大人だけでなく子供でもかかります。年間で約1500万人近くの人が、この副鼻腔炎の症状を感じているとも言われております。
放置しておくと、中耳炎などの二次疾患を発症したり、鼻茸という鼻にポリープができてしまうこともあるので、鼻づまりが気になったり、鼻水に色がついていたら、早めの受診を心がけましょう。
慢性副鼻腔炎の症状について
慢性副鼻腔炎の原因について

副鼻腔炎は、鼻腔という鼻の空洞で炎症が生じ、膿が副鼻腔にたまってしまうことで起こります。副鼻腔には、頬の奥の上顎洞(じょうがくどう)、眼の間にある篩骨洞(しこつどう)、眼の上にある前頭洞(ぜんとうどう)、鼻腔の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)があり、全ての副鼻腔は小さい通路で繋がっています。
急性副鼻腔炎は、風邪に引き続き菌が感染することで発症します。
慢性副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎が繰り返し起こったり、扁桃腺の炎症、大気汚染など、原因は様々です。虫歯や歯周炎の菌が副鼻腔に入り込むことで起こることもあります。
慢性副鼻腔炎の症状
主な症状は鼻づまり、粘り気があって黄色っぽい鼻水、いびき、嗅覚障害、頭痛や顔面痛があります。後鼻漏(こうびろう)という喉側に鼻水が垂れる症状もあり、咳や痰の原因にもなります。また鼻の粘膜が水ぶくれのように膨らんだ鼻茸ができることもあります。
鼻茸(はなたけ)について
鼻茸とは、慢性副鼻腔炎に付随する症状の一つです。鼻ポリープとも言われます。鼻の粘膜に白くふくれあがったぷにぷにした塊のようなもので、大きくなると鼻の入り口から見えることもあります。鼻の中にできたポリープが、鼻の気道を塞ぎ、鼻づまりなどの症状を引き起こします。嗅覚障害や頭痛の原因にもなります。
慢性副鼻腔炎の治療
保存的療法
手法 | 内容 |
---|---|
薬物療法 | 膿を薄めて溶かし、鼻水が出やすくする薬を服用します。粘膜が腫れている場合は、腫れを抑える薬も使います。現在最も一般的なものがマクロロイド系の抗生物質による治療で、大体3~6ヶ月ほど服用します。 |
ネブライザー | 霧状の薬剤を口や鼻から直接吸入する治療法です。霧状にして取り込むことで、薬が直接患部まで届きやすくなります。効果としては、鼻の通りをよくし、鼻水がでやすくなったり、粘膜の腫れを鎮めます。 |
外科手術
手法 | 内容 | 日帰り |
---|---|---|
内視鏡下副鼻腔手術 | 薬での治療効果が乏しい場合や、鼻茸ができている場合は手術治療を行います。内視鏡を使うことで細かい部分を確認しながら、患部や鼻茸を取り除きます。術後の痛みや腫れも少ないですが、重症例には適さない場合もあります。 | 可能 |
経上顎洞的副鼻腔手術 | 上唇と歯肉部の間を切開し、炎症を起こしている粘膜を切除する方法です。従来からある手術法ですが、内視鏡手術の普及に伴い少なくなってきました。日帰りでの手術はできません。 | 不可 |
治療・手術の流れ
1初診
問診・診察を行います。
2検査
鼻鏡検査、内視鏡検査、細菌検査、CT検査などを行います。
3検査結果の説明・治療方針決定
検査結果の説明をします。軽度の場合は保存的療法をとりますが、鼻茸がある場合は手術が望ましくなります。
4手術
手術内容によって入院するか、日帰りで行えるかが決まります。事前に確認をしましょう。手術時間は1~2時間ほどです。
5術後
休憩をして、手術の結果の説明を受けてご帰宅いただけます。入院の場合はそのまま入院になります。
6再診・退院
術後の経過を観察します。入院期間は医院によって異なります。
治療費について
慢性副鼻腔炎の治療は保険の適応がされます。
治療法 | 保険適用 | 治療費(3割負担) | 入院する場合(3割負担) |
---|---|---|---|
内視鏡下副鼻腔手術(片側) | ○ | 3~10万円 | 15~20万円 |
経上顎洞的副鼻腔手術(片側) | ○ | 5~10万円 | 20~25万円 |
※両側を手術する場合は治療費が倍になります。
※内視鏡下副鼻腔手術で入院する場合は3泊での目安になります。入院日数により額は変わります。
※経上顎洞的副鼻腔手術で入院する場合は7泊での目安になります。入院日数により額は変わります。
医療費控除
慢性副鼻腔炎の手術は、高額療養費制度の対象になります。これにより自己負担額が軽くなります。詳しくはお住まいの地域の役所にお尋ねください。
任意保険の手術給付金について
任意の保険会社により詳細は異なりますので、慢性副鼻腔炎の手術を受ける際は事前に給付金が受け取れるか確認しましょう。